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第二十一話 暗闇と見知らぬ存在

本日二話目になります。

前話をご閲覧前の方はそちらを先によろしくお願い致します。

もう何度目となるであろうか。

幾度となく感じた世界、空間、そして景色、ふと気がつくとそこに立つ自分がいる。


否、自分とは何か、その世界ではそれすらも一時曖昧に感じさせてしまう程の世界。

そして幾度となく訪れている世界。

ジュナスはようやく自分がその世界にいることに気付く。


自分がその世界にいることに気付いたということは、自分がいったい何者なのかも思い出す。

自分を思い出した彼から、その後出てきたのは、ただただ溜息であった。


「また暗闇の世界か。こっちに来てから一体何度目になるだろうな・・・」


ただそう呟いて自身の体を見る。

拷問され、実験台にされ、死にかける度に何度もこんな感じの世界は経験していた。

その度に本体は瀕死の重傷だったため体は見た目は無事でもいつも動かない。


唯一ドラゴンと出会った時は万全の体調からだったため体が動いていたのだが、あの時の記憶はあまりにも色々とありすぎて記憶が欠如しているのかジュナスが思い出すのはいつもの拷問の後の暗闇の世界だけであった。


まぁあの時はいつもよりも闇が濃すぎて自分の体すら見えていなかったが。

今回も死にかけからなのか、見た目は無事だがいつも通り体は動かない。


無事なのに動くことのないその現状を、だが既に何度も経験したことにより焦るようなことはなかった。

今のこの場所は所謂夢のような世界のものだ。


自分しかいないこの世界でただ自身のみが存在している。

何故そんな世界に来ることになったのか、そのことをゆっくりと思い出し、そしてまた溜息を吐いた。


「結局あの良く分からん光に巻き込まれたってことか。オフィーリアは無事なんだろうか」


自分のやったことに対して、結果がわからないのでどうしようもない。


ただ自分が無意識に、いや実際は心の奥底で意識しているのであろうが、自分では無意識だと認識したいジュナスは、自分がオフィーリアの心配をすぐにしたことで、意識していることに気付いてしまう。


「恩人に対して恋心とか・・・不心得者もいいところだな。しかもアグスティナさんの様子を見る感じ、オフィーリアって多分いいとこのお嬢様っぽいし、身分違いの勘違い野郎以外の何者でもないな。ハァ・・・自分で言ってて結構辛い・・・」


とにかく今はどうなっているのか、死んだのか生きてるのかわからないが、こんなくだらないようなことを考えることが出来ている辺り、多分死んではいないだろうと以前にも同じようなことがあった為、漠然とそう感じていた。


そしてそう感じたのであればそれ以上考えることなどない、もはやこの世界に用はないと言わんばかりに意識の覚醒に集中する。


具体的に何をどうするという程の事はない。

ただ、夢から目を覚まそうとするかのように、目を開けようと、これは仮の世界、夢の世界であって現実は別にあるのだ、と。


そう念じるのみ。

そうするだけのはずだった。


「ほう?ようやく我の声が聞こえる者が現れおったか。」


そう・・・自分しかいないはずの世界に、自分以外の声が聞こえるその時までは・・・


ドクン!!!


と自分の心臓が鳴るかのような大きな音が聞こえた気がした。

この世界でこれまで一度たりとも声など聞いたことがない。

そもそも自分の声ですらも聞こえないのだ。


声を出そうとしても聞こえるのは無音。口をただ動かしているだけだ。

自分が発しようとしたことを、頭の中で思い浮かんでいるからこそ、自分の声が聞こえなくても自分の発言がわかる。


だがこの世界は自分の夢のような世界のはずだ。

故に他人が介入するという事態にはなるはずがなかった。

少なくともこれまではそうだったのだ。


つまりここはこれまでとは違う場所ということなのだろうか?

そんな考えを頭に思い浮かべながら、ジュナスは焦る気持ちを落ち着かせて、再び耳を澄ます。


もしや今聞こえたのはただの空耳なんじゃないだろうか、そんな淡い期待は脆くも崩れ去ることになった。


「どうした?我の声が聞こえたことがそんなに不思議か?このような暗闇の世界など初めてであろう?なら

ば何があろうともおかしくはあるまい」


謎の声は今の状態をジュナスが初めて体験していると思っているようだ。

つまり通常の人間は普通こんな体験をするようなことはない・・ということだろうか。


色々なことを考えつつも、ジュナスの頭は既にこの手の展開を必死に思い出していた。

そして放った言葉が


「あんたは一体何者だ?そして俺に何の用だ?どんな目的があって俺に話しかけたんだ?」


そう、ジュナスの出した答えは、この手の存在は話しかけた相手に対して何かしらの用があって語りかけてくるはずだ。


相応の対価を出すタイプか、脅すタイプか、無償で助けてくれるタイプは・・・ゲームや小説では存在するけどこの世界ではありえないな。


そんなことを思って自嘲気味に苦笑いをしつつ、どのパターンかはわからないが、間違いなく何かこの存在自体にも目的が存在する。


その踏み台として利用としているのか、それとも協力を求めているのか、どちらのタイプかわからないがもし脅すタイプだとしたらかなり危ない・・・まずは様子見だな・・・


「ほう、思ったよりも混乱しておらんな。貴様、自らがこの様な場所にいることにあまり動揺してはおらんな?」


ジュナスが問いかけた答えとは別の言葉が紡がれる。

それに対してジュナスは・・・

話の区切り方がどうにもうまくなさそうです。


いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。


楽しんでいただけましたら、感想や誤字訂正、ブックマークや評価などして頂けますと大変うれしく思います。これからもどうぞよろしくお願い致します。

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