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=キボウのキ=

──あそこへ行くぞ!大丈夫だ!」


そう言われ、目の前に現れたのは、これまで私が見た中での一番大きな木だ。正面に植えられていた他のそれらとは太さも高さも一線を画していた。

そんながっしりとした木が奥に一本生えていた──


「ほっ、ほぉっ、よっと。」


足元が最悪の中、そこまで手を取り合い進み、ようやくたどり着いた。

その間十歩程度の短い距離、にも拘らず。

「平気?具合は大丈夫?」


……大丈夫じゃ、ない。

はぁ、はぁ。

何が何だかわからないままだ。


「ちょっと無理かも。私気分悪い。これが夢だったら良かったんだけれど、そんなことないみたい。」

そう、本当のことを言った。

こんなにも頼りなくなってしまったのか私は。


どうしてこんなことになったのだろう。

「休憩しようにもこの景色じゃあなぁ。」

「……うぅ。」

余計に気分が悪くなる気がする。ゆらゆらと頭が空回りしている。理解が……。


光線を食らったあの瞬間がフラッシュバックする。


── ──、


見渡すと建物も電柱も道も地面さえも、目の前の全てがさっきの光線の瞬間から変色し、ドロドロに溶け、支えられずに歪んでいる──。


ひどい、ひどすぎる。


……地球側が我々を襲うとは思えない。


そもそもその地球自体の地形がめちゃくちゃじゃないか。


私たちは十日後に帰る筈で……

授業も受けて……

いっぱい話して……

あんなに楽しみで……

どこまでが本当で、どこまでが嘘……なの?


こんなの、ひどいよ。


今までの体験を──、

私の生き甲斐を──、

ぐちゃぐちゃにされた。


私の大切にしたかった夢を、

打ち砕かれた。


「こんなことが起こるとは思ってなかったんだろ?」

思った矢先の一言が来た。


「うん……あれについて本当に知らないし聞かされてない。信じて欲しい。……残念ながらこれじゃ私は役に立ちそうにない。」

心配そうな顔が見え、私はそう答えるしかしかなかった。


「そういえば、なんでここだけ歪んでないんだ?」

「そう、それは私も気になってた。見た限りだけど、何か条件があってあの光で歪ませられたものとそうじゃないものがあるんじゃないかって。」

ぽつりと、ここだけ。


なぜだろうか。

こんなにも大きな木。

それに古ぼけた建物と同じ太い紐が一周、巻かれている。

どれくらいの長い年月、ここに居たのだろう。


「もしかすると……だよ?」

「何?」

「あの飛行物体が出した光線によって人工物だけを変形させたんじゃない?今までに地球人が作り上げたものだけを狙って。」


!?


「え?言われてみれば……でも、なんでそんなことをするの?多分あのトリアンドルスは惑星ラノハクトの上層機関が管理してるはずなんだけど。何で地球をそんな風に攻撃したのかな、あぁ、はぁ、わかんない、全然わかんないや……」

咄嗟に否定した。したかった。


「でも、そのトリアンドルスが君たちの装置だって確証は地上から見えた遠くの見ためだけだよね。」

「うん、もしも……あれがそうだとしても……、そんなわけないけど……私たちの星の人たちはこんな野蛮なことしないって……信じてたのに。」


「……その言いぐさだと今までの君たち、そっちの歴史ではこんなことは起こさなかったんでしょ?」

「無いよ。少なくとも私たちが教えられた歴史の中では。それももう正しいのか分かんなくなっちゃったけれど──


「……ズシン、バチャッ」


今度は何!?

唐突に鈍く大きな音が響きわたった。


音の鳴った方を反射的に振り向いた……

「は?」


大きく黒く艶のある気味の悪い怪物のような正気じゃない巨体が聳え立っていた。

その姿を見て、声も出なかった。

いつのまに居たんだ?

瞬間的に現れたのか?


なんだありゃ……


とんでもない音を出しながら遠くの溶けていた建物が引きちぎられていく。


……私は気を失ってしまいそうだ。

一瞬にして現れたのだろうか?

何がどうなればそうなるのか。


──あぁ、まだ壊している。

───止まる気配はない。


地球を壊している災いの姿が、どこかにいるであろう反逆者が、私には許せなかった。

一方で地球に来て初めて見た動きのある構造物に震えていた。


「嘘だ……ろ?待って、悪い夢だと言ってくれよ。」

「……は、はは。どうしよう……ね」


彼の首筋の隙間から覗く。

あの化け物は何度 目を擦っても消えてくれないようだ。


「このままじゃ……三人の様子を見てくる、ここで待ってて。」


あ……。

私の友人たちのことか。

そうだよね。


「大丈夫なの……?」

「……。分からないけど、待ってて。」


顔は見れなかった。


「あ、まだ通話してた方がいい?」

「うん、私も様子を見たいから……でも、無理しないでね」

迷惑だろうか……。


彼が気にかけていてくれたことが嬉しかった。


ありがとう。

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