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=敷かれた線、詰まれた夢、従う鉄籠=


「これは何?」

道の端にすらりと生えている細い柱。

その上端部には淡白な図の描かれた板が取り付けられているのだ。何らかを示されている様な気がする”ソレ“を握りこむ。

「それ?標識。」

「さっきのとこにも赤とか青とか黄色とか色んな絵柄があったよな。よくわからんけれど。」

「ヒョーシキおもしろ!」

「事故を減らそうと、道路の状況に応じて案内とか注意喚起のために設置されているんだってさ。町の中にあるありがたい存在だよ。」

「じゃ、これを見ればこの道の成分がわかるんだね」

「ま、そうとも言えるか……」

「道一つににやたら色んな要素がごちゃついてるんだ。やっぱり事故起こるよね、地球こえぇ。」


「じゃあ、これも標識?」

「標識というか看板だね。似たようなもんだよ。」

「イッキュウカセン……」

「一級河川って言って、その下を流れてるのは僕らの暮らしを支えている川らしいね。」

「おお!これが!」

よじ登れば落ちれてしまう、こんなむき出しの姿の川は地球ならではだ。

原始的で物騒だけれどこうやって確かな自然を感じることができる。

こんな光景初めてだった。


……


「あ、ほら、また看板だ」

「またイッキュウカセン!?」

「ここら辺は川が多いからなぁ」

道に沿って何度も現れる似たような川には飽き飽きしていた。


「もうっ、ここで何度目なんだよ!」

「……6つ目。だったはず。」

どれだけ川に支えられてるんだ。しかもそれぞれに名前が用意されてやがって。


この足でいくつもの橋を超えた。


頼りないフェンスのすぐ向こう。

無骨に角ばった大量の砂利。

やたら長く続く錆びた金属の筋。

「これは線路。」

「センロ……」

「駅と駅を繋いでる。この上を人や貨物を乗せた列車が走るんだ。」

「この上でしか動けない存在なのか?」

「……動いていたらうるさそう。」

「実際割とうるさいよ」

「ここに音がなくて良かったねぇ。」

「ということはここの上を辿ったら駅につくのか。」

「え!まだまだ歩くの?」

「そんな……」



そうして私たちは足がマクラギになるかと思うほど歩いた。

「奥に見えてきたのが駅?」

「あそこから入れるんじゃない?」

「ようやく」


今までと違う変わった雰囲気の建物に潜入。

「ここをよじ登って、」

……よいしょっと。


「なんだここ!?すげぇ。」

「はぁー休憩休憩。」

「広ーい」

いつのまにか皆と砂利道をずっと歩いてきた。

電車を眺めながら人々の大群を背に、”駅のホーム“とやらに着くと並んで座ることができた。

ひと休み。

動くところを見たかったな。


ここまでたくさんの地球を知ることができた。

「あっちにも人がぎっちぎちだなぁ」

「こっわ。」

少し奥に佇んだ電車に向けた言葉だ。


詰め込まれ……止まった人々……


皆動かないまま閉じ込められてるんだ──。


楽園凍結中の両親のあの姿がふと過った。

シアターでの表情に変化のない顔。

返事の無かったやり取りの履歴。


はぁ。なんでこんなとこでも思い出しちゃうんだろ。

そんなこと今は忘れていたいのに。

心の奥ではでまた現実で会いたいと、他愛ない話をしていたいと、

思っているのだろうか。


自分に二つの思いが混在していて辛かったんだ。


「あー、どこを見ても顔、顔、顔。」

「そりゃあ、こんだけ人が密集していたら人間は人間を嫌いになるのもわからなくはない」

「ネットの普及によって人とコミュニケーションが薄れていくなら尚更だ」


ビストが嘆く。

どうしてだろうか。実際はラノハクトの方がよっぽど酷いのに。


地球にある物は時間の摩擦によってすり減り、やがて朽ちていくようなそんな気がする。ラノハクトの物は違うのかというとそうではないのだけれど、あっちでは圧倒的な技術によって抗い始めてはいるのだ。

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