高崎LOVERS 11 浜川プール
田中サン浜川プールデモイッテキタラ?
慈光通りにある馴染みのケバブ屋ミールズで
昼間からケバブサラダをつまみに白ワインを舐めつつ
暑い暑いと言っている田中に
優しいイラン人のママが声をかける
浜川プールか
久しく行ってないなぁ
浜川プールは
高崎の郊外にある市営のプールだ
通年で営業している屋内プールと
夏季のみ営業する屋外プールがある
特に広大な流れるプールがある屋外は
高崎市民の避暑地としての地位を確立している
田中も娘が幼い頃には夏になると毎週のように通ったものだ
パパ見てて
と言いながらウォータースライダーから滑り落ちる奏の弾ける笑顔が今でも目に浮かぶ
いやぁ、ジイサン1人で行ってたらおかしいでしょ
ダレモ見テナイヨ、田中サンノコトハ
そりゃそうか
翌日田中は意を決して浜川プールへ赴いた
近くのケインズホームで浮き輪も購入し
家族連れの周囲に臆する事なく
プールに飛び込もう
とした瞬間
あら田中さん?
と声をかけられた
小学生2人を連れた女性
一瞬分からなかった田中だが
遠い記憶の中から何とか思い出した
奏の同級生の母親だよな確か
こんにちは。ご無沙汰してます。
暑いですねぇ。私は孫にせがまれて、子守ですよ
いや〜とんでもない所見られちゃったなぁ
私はあんまり暑いもので1人で来ちゃいました
良いじゃないですか〜。私も出来れば1人でのんびり入りたいくらい
バァバァ〜
と呼ぶ声に惹かれるように
それでは。奏ちゃんとご家族によろしく
と言うと彼女は去っていった
これだから地元は怖いんだよなぁ
なんて思いつつ嫌な気分ではない
田中は気を取り直してプールに飛び込む
予想外に冷たい水温が体を冷やしてくれる
大きな新品の浮き輪に体を預けつつ
まだまだ高い夏空を眺めた
高崎の夏は暑い
でも暑い夏も悪くないじゃないか
しばらく浮かんで体を冷やしたら
昔のようにアイスでも食べようか
そして奏に電話してみよう