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その少女・異世界でも非常識  作者: フラック
2章 脱・勇者
27/50

3話 病気

 



 鈴は寝る間も惜しまず

神殿騎士の食堂にある全ての食材や調味料等を

焼いたり蒸したりと試していく。


 そして、結果


「おいしくなーーーーい!!!!」と


1人叫びを上げるのだった。


 ただ、その姿を目にしたのは

ドラゴニーズ1人だけである。


 最初は、なんちゃってハンバーガーを

無理やり毒見をさせられたドラゴニーズと、コックの弟子達

当初は、その美味しい料理に喜んで居たのだが

次から次に出される

試作段階の料理を次から次に食べさせられ

コックの弟子達は

毒見で満腹で幸福で睡眠不足で、すでに椅子を並べて寝ていた。


 そして時間はすでに明け方

ドラゴニーズは、胃丈夫なのか

最後まで鈴の料理の毒見を続けていたのだが

それも限界があり、満腹のままゲップを繰り返していた。


 ドラゴニーズ、そしてコックの弟子やお手伝いの人間達にとって

鈴の作る料理は、全てにおいて美味しいかったが

人間の食べれる量には限界というものが存在する

それでも、最後まで食べていたドラゴニーズが異常ではあったが

ドラゴニーズが食べるのを止めても

料理を作り続けた

鈴が非常識なだけである。


 この異世界の料理は、肉が主流であった

小麦を使ったパン等もあるが

日本の様な、甘く柔らかいパン等は無く

保存の利く、固く味の無いパンが、安くて一般的である。


 そして、肉料理となれば

基本【焼く】である

臭みを抜くではなく臭みを隠すである

濃いいソースや

ニンニクに近い物で

臭みを隠す

当然味付けは濃くなるのだ


鈴の得意料理は【和食】であり

素材の味を最大限にいかす料理である

そして、この世界に無い

【出汁】や【うまみ】が命とも言われる料理が得意である。


食文化の違いと言えばそれまでだが

この調理場に、鈴の求める食材は限りなく少なかった。


 そう、朝日が昇る頃


とうとう鈴は


理想を現実に出来ない不甲斐なさに


料理をする事を


あきらめたのだった・・・。



 鈴が、一人で調理場を片付けている時

食堂に現れ、そして、食堂の現状を見渡し

呆れた顔をしたのは、マフであった。



 マフは、朝一で

第4の塔の塔神官長であるオーデンに起こされた

それは、オーデンが鈴を起こそうと

部屋のドアをノックしても反応無く

もしもの事がと、合鍵でドアを明け

部屋に入るが、鈴の姿はなく

マフに助けを願ったのだった。


 マフは

オーデンから話を聞いた瞬間

もしかしたらと、食堂に足を運び

食堂に来るやいなや

立ち込める、いい匂いと

食堂の机と言う机の上に並べられた料理の数々・・・。


 500品は有るだろう料理

20数種類程の料理が20品ずつ有るだろう数が

食堂のテーブルの上を占領していた


そして、その机の上にあった品々が

この世界には無いだろう、日本で知られている

ジャンクフードだろう品の数々

だからこそマフは

この全ての品を鈴が1人で作ったと一瞬で理解してしまったのだった。


 そして、呆れた顔で・・・。


「これって・・・・」と・・・呟くと


 マフを認識した、ドラゴニーズ

すでに腕は再生し、その厚い胸板の前で

偉そうに組まれ、視線だけをマフに向けると


「あぁ、全てあの、ちっこいのが作ったぞ

 それなりには、食べれる程度の品だ

 白いのも、食べてみたらどうだ。」


「あ、ドラゴニーズさん

 おはようです。

 それにしても、いっぱいつくったなぁ~

 あ! 

 もしかして、アレってハンバーガー?」


それは、最初に作った【なんちゃってハンバーガー】では無く

少し改良を加えた【なんちゃってダブルバーガー】である

どこが違うかは・・・その名の通りだ!


 それに導かれるように

マフの足が、進みだした。


 食堂で声が聞こえたことで

鈴は、食堂に顔をだし


「マフ君おはよ~~~

 朝ごはんの準備は出来てるから

 全部たべてね~~~」


マ「むり!」


鈴「ふふ

 ウソだって

 好きなの食べてね~

 でも、日本人のマフ君には

 ちょっと美味しくないかも?

 食材の関係で、和食は作れないし

 肉料理は臭みが残るんだよね~~~」


マ「和食って、食べた記憶もないよ

 それに、日本じゃ10年以上固形物食べてないし

 もともと、味なんて分からないかったからね~

 でも、ハンバーガーは夢に見た食べ物かな

 これ、もらうね~~。」


 マフは、マフにとって、当たり前の事を

普通に語り、なんちゃってダブルバーガーに手をのばす

ただ、イッテンポ遅れてその意味を理解しきれなかった鈴は


「え?

 なんで?

 どういう事?」


マ「これが、ハンバーガーの味かぁぁぁ

 美味しいね!

 どういう事って

 言ってなかったっけ?」


鈴「しらない?

 きいてないよ?」


マフは、口に含んだバーガーを美味しそうに飲み込み

生まれて初めて食べた、夢にまで見た【ハンバーガー】を

嬉しそうに見ながら


「僕は生まれながらに【無痛症】って病気なんだ

 たしか5歳くらいの時

 他の病気も併発してね

 全身麻痺になったんだよね~~

 病名は忘れたけど、珍しい病気で

 完全隔離で10年くらいベットの上

 その病気の原因や治療法を見つけるために

 僕は病院のモルモットと言うか実験体に志願したんだ

 無痛症もあって、実験をするには最適な体だったからね

 だから、僕はこっちの世界に来るまで

 10年近く食事を口にしてなかったんだ~

 でも、こっちの料理を食べた時は

 僕の舌はバカになったんだと思ったけど

 キュロスさん達にきいたら

 やっぱり、味付けが濃くて

 舌に合わなかっただけで

 普通に味を感じれてたよ。

 あ、無痛症にも色々あってね

 僕は舌の感覚も無くて

 味っていうものも感じれなかったんだ

 だから、5歳までは基本離乳食や、栄養剤

 ICUでは点滴しか覚えないや。」


 マフにとって、生まれながらにそれが、普通であり

自身の置かれた立場や現状に文句を言ったことはない

高額な治療費も、自身が被検体になることで補え

生きるだけの屍状態であったが

その精神は、フルダイブ式のヴァーチャルリアリティで

つねに楽しく遊べていたのだ

その世界では、母や父も顔をだし

家族と言うものも味わえた

ただ、刻一刻と近づく死に

悲しむ両親だけが、心残りであった事はたしかである。



 そんな、悲しい事実を聞かされた鈴・・・・



 ドラゴニーズも言葉を理解するが

専門的な言葉や、知らない病名を理解出来はしない。


 そして、病気の事は

キュロス・クラリス・D達には教えてはあるが

本当の意味で、その現実は3人には理解出来ない

病気で10年以上、ベットの上で過ごしていた・・・程度でしか。



 鈴は


 それなりに病気の知識はある


 なんでも知る兄や


 脳に特化した科学者である母がいる為


 脳や、神経にまつわる病気は


 ほぼ網羅していると行ってもいい


 だからこそ


 無痛症と呼ばれる病気が


 DNAや、脳に関する神経などが原因だと知っているし


 その症状もある程度把握している


 だからこそ


 マフに


 掛ける


 言葉は



「よかったね!

 美味しいって感じられて

 これからも、美味しいものいっぱい作ってあげる!

 でも、試作段階のソレは、50点だと思ってね

 やっぱり、自分で買い出しに行かないと

 おいしい食材は見つけれないか・・・

 それに、ここに無い食材にも興味あるし・・・。」



ニッコリと笑いながら言い

次なる料理に頭を悩ませる鈴に

マフは


「すごいね、鈴ちゃんは。」と


嬉しそうな顔で答えるのだった。


「すごい?

 え? なにが?」と


鈴は、頭の上に【?】を乗っけて

マフに問いかけるが、マフは嬉しそうに笑うだけだった。


 マフは、まだ年齢も感情も幼かった頃

当然、自分の置かれた現状を

【第7世代・加速式フルダイブVRMMO】のゲームの中で

他人に話した事がある

それを聞いた半分以上が「嘘」だと笑い

また「かわいそう」と、蔑み、そして笑う

そして、いつしか自分から離れていった

いや、まるで

【悲劇の主人公を演出している中二病の人間】を見るような

冷ややかな他人の視線と態度に

マフが、離れ、他のゲームに移っていった事もしばしばあった

だが、多くの事を経験してきた、今のマフは

自分を見る人の目は些細な事と気にしなくなったが


鈴はちがった


自分が歩いている姿に

その事実が嘘なのか本当かなど

いっさい考えもせず

私に出来ることは

料理を作って食べさせる事だけと

僕の病気より、僕に美味しいものを食べさせる事しか頭にない

いうならば、完全なる自己中

その清々しいまでの料理脳に

マフは、笑ってしまったのだった。



 

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