厄
「由佳さん、何してるんですか?」
よほど大きな音だったのだろう。麻那とちひろが駆けつけた。そして、麻那が青ざめた顔で私に問うた。
「ゆずが犯人だったの。ヤクちゃんだったのよ」
急に大人しくなったゆずを押さえながら答えた。
「違いますよ。ゆずはそんな事しません。ゆずを話してください」
麻那はガクガクと震えている。
「麻那」
とても優しい声。懐かしい声がした。
「ゆず?」
麻那がゆずを見る。その時、私の身体がふわりと浮いた。
ゆずはゆっくりと身体を起こし、麻那に近づいた。
「私の事、信じてくれてありがと。」
にこりと微笑み、麻那の耳元で囁いた。
「え?」
麻那がきょとんとした顔をしている。
一瞬の事だった。赤い液体が飛沫をあげる。
「麻那!?」
私が近付くと、首を真っ赤に染めた麻那が倒れている。
「お前、あんなに信頼していた奴に何してんだよ?!」
ちひろが声を荒らげた。
「黙れ」
ゆずがちひろを睨む。
「ちひろってさぁ、ウザイよね」
ちひろを的に決めたのだろう。ゆずはちひろにナイフをあてる。
――グチャ――
嫌な音がした。恐る恐る見ると、刺されていたのはちひろではなかった。
「奏? お前……」
薄らと笑を浮かべ、奏は目を瞑った。
「由佳ぁ♪」
狂った様に笑いながらゆずが私に近付いて来た。震えている肩を、ゆずがゆっくりと掴む。
「安心して。全部私が何とかするから」




