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狂い
「や、やめろ!」
奏が、ドアノブにしがみつく様にして立っていた。
「ゆずが犯人だったのか……」
当のゆずは、無表情で奏を見つめている。
「犯人なんて言わないでよ。どうせなら、ヤクちゃんって呼んで?」
笑っているが、前までのゆずの面影は消えている。
「奏君、君はまだ後の予定だったけど、まとめて消すのもいいかもね」
フラフラと奏の前に近寄り、そっとナイフを首に近づけた。
「功が邪魔しなかったら、こうやって君をあの時出来たのに……」
きっとゆずには、後ろが見えていない。私はゆずの両手を伸ばす。後ろから抱きつくようにして、下に体重を思いっきり掛けた。
「きゃっ」
ゆずはバランスを崩し倒れた。
「どいつもこいつも、邪魔をするな!」
大きな声を上げ、私に向かってきた。だが生憎、ゆずの手にはナイフが握られていない。私はゆずに足を掛け、身体を押さえつけた。
「離せ!」
ゆずは、大きな音を立てて暴れている。私の力も、そろそろ限界だった。




