「ソウル•ビート!」
「次のバンドは今売り出し中の4人組バンド「RED•LOSTです!」司会のアナウンスが入るとライブハウスに集まったファン達が熱狂する。そして4人の派手な男達が現れる。「お集まりの皆様今晩は、RED•LOSTの慎也です!今日もテンション上げて盛り上がろうぜ!」リーダーの慎也の演説に更にボルテージが上がる。
「それじゃあ一曲目、マカティ!」その言葉と共に慎也がベースを狂ったように弾き他のメンバーも合わせ初める。そしてファン達も狂気乱舞で答える。
「相変わらず凄いなRED•LOST、来月にはメジャーデビューでしょ?」私は盛り上がるライブをカウンター席から見ていた。
「何?まさか自分じゃ無理だって弱気になってるのかい?」私の一人事に対してオーナーのジンさんが言って来た。
「だってジンさん、RED•LOSTはうちらと同期なのに今じゃあ飛ぶ鳥を落とす勢いじゃないですか?正直自信無くしちゃいますよ」私は溜息をつきながら言った。池袋にあるこのライブハウスでバンド活動を始めて5年私は高校時代の友達4人でロックバンドを始めたのだが一人また一人と辞めていき今では私一人になっていた。
全盛期の頃はそれなりにファンが居たのだが、今ではソロで週2でやっているのだが毎回来てくれるのは2,3人程のコアなファンだけだった。
今ライブを演っているRED•LOSTは同期であり私達の世代では一番の出世頭になっており、毎週ライブの日には箱がいっぱいになる程お客さんが来ていた。
「皆に報告したい事がある、俺達はこのライブハウスで5年間バンド活動をやらせてもらった、その間に俺達はお世話になったオーナーを含めファンの皆にも感謝して居る。そして俺達は皆に支えてもらった結果来月にメジャーデビューする事が決まった!」
慎也の言葉にファンが反応する。
「俺達がここまで来れたのもファンの皆、そしてオーナーであるジンさんのおかげだ。だが俺達はメジャーデビューするに当たってこのライブハウスに来れなくなるだから次に歌う曲がここで歌う最後の曲だ。俺はこの曲をジンさんに捧げたいそれじゃあ新曲、フォーエバー•レイン!」慎也の感謝の言葉と新しい挑戦を聞きRED•LOST最後のインディーズライブは過去最大に盛り上がり終わった。
「ジンさん、5年間本当にお世話になりました!」
「皆本当に頑張ったね、でもメジャーデビューがゴールじゃないからな目指すは日本いや世界一のロックバンドだよ?」RED•LOSTの一同がオーナーのジンさんにお別れの言葉を言っていた。
「リン!お前も必ず来いよ?同期だし応援してるぜ!」
「分かったよ、いつか私もデビューして見せるよ、でもまずはメンバー探しからだけどね」
慎也が私に最後の激励を送りその日は終わった。
2ヶ月後私は一人ソロで舞台に立ち弾き語りをしていたお客さんは相変わらず高校生位の女の子3人程だった。私がソロライブを終えると拍手を送ってくれる。
「何時もありがとう、また来てね」私が手を振ると嬉しそうに喜んでくれていた。
「リンちゃん今日も良かったよ?」カウンター席に着くとジンさんが飲み物を出してくれた。
「ありがとう、でも相変わらずメンバーが見つからないんだよね」私はジンさんに呟いていた。
RED•LOST最後のライブから早2ヶ月慎也達はメジャーデビューを果たすとオリコン初登場ながら3位になるなど、順調に売れていた。それに比べ私は今だにメンバーが見つからずソロ活動をしていた。
その間にもメンバー募集を行ったり、募集しているバンドに面接しに行ったりしたのだが、方向性が違ったり、冷やかしの連中が来たりと上手く行かなかった。
「私、人望無いのかな?」
私は泣きそうになりながらドリンクを飲んでいた。
「そういえばリンちゃんに話があるんだよ。」
「何ですか?」私が聞くとジンさんが一枚の手紙を渡した。
「何ですかこれ?」私は手紙を見ながら言った。
「実は今日朝からお店の準備をしてた時にリンちゃんに会いたいって人が来てね、丁度居なかったからこの手紙を渡してくれって頼まれたんだ。」
「どんな人でした?」
「普通の女の子だったよ?このライブハウスによく出入りしている様な」
私はファンレターと思い開けてみた。
すると中には一通の手紙とアドレスが描かれた紙が入っていた。
始めまして、私は下北沢でバンドを演っているエリカと言います実はリンさんが今ソロ活動でメンバーを募集して居ると聞き会いに来たのですが、丁度居なかったのでオーナーさんに手紙を渡しました。詳細な話をしたいので良ければですが私のアドレスを同封しましたのでそこからお返事お願いします。
手紙はそこで終わっていた。
「せっかくだし連絡してみれば?」ジンさんに促され私も話を聞いてみたいと思いアドレスからメッセージを送った。
次の日私は下北沢の駅に居た。
「送付された場所は駅から出て右に進んだ先の通りか」私は昨日メッセージを送信したすると向こうから直接会って話がしたいとの事で向こうから送られた住所を検索して来ていた。
「ここね、建物の名前も間違いない」私は駅から10分歩いた所にある雑居ビルに来ていた。ビルには幾つかテナントが入っており丁度3階に私の目的地が入っていた。
私はエレベーターに乗ると3階行きのボタンを押して向かった。エレベーターが3階に着きドアが開き私は降りて右手側のドアの前に立った。
「ブルーナイト、ここで間違いないようね」私はドアに貼られた名前を確認するとドアを開けて入った。
「いらっしゃい!入店は初めてよね?」ドアを開けて少し進むとライブハウスのホールがあり直ぐ入り口側に受付があり、そこから女性が話しかけてきた。
「はい、ちょっと人と会う約束をしてまして」私が答えると女性が直ぐにカウンターから出て来て私の所に来た。
「もしかして貴方がリンさん!?」女性に名前を呼ばれ私は軽く頷いた。
「待ってたのよ!直ぐにあの子達を呼ぶわね」そう言って彼女は店の楽屋へと入って言った。
「リンさん!?本当に来てくれたんですね!」そう言って一人の女の子が私の手を握る。
「初めまして、貴方がシイナさん?」私は喜ぶ彼女に聞いた。
「そうです!わざわざ来てくれてありがとうございます!」彼女はそう言って後ろに立っていた他のメンバーを紹介する。
「左の子がドラムのエリカ、真ん中がベースのアンナ、そして私がバンドリーダー兼ギターのシイナです。」シイナが他のメンバーを紹介した。
「初めまして二人とも、私今回シイナさんに誘われたリンですよろしくお願いします。」私が二人に声を掛けたが反応がなかった。
私は気分を害してしまったと思い焦ったのだが。
「本物のリンさんだ、、」
「私リンさんがバンド組んでた時からのファンなんです!」二人が同時に私に話しかけて来た。
「え?私のファンなの?」
「はい!私ファーストシングルの「ビートスロー」を初めて聴いた時からリンさんの虜なんです!」エリカが興奮して言ってきた。
「私もリンさんのソロデビューの最初に歌った「夢の続き」今でも聴いてます!バンド時代と打って変わって優しい曲調が大好きです!」
私は二人のその言葉を聴くと自然と涙が出ていた。
「え!どうしました!?何か失礼な事でも言いましたか?」二人が慌てて居たが、私は首を振りながら。
「違うの私の音楽を聴いてくれていた人が居ると分かって、感動しちゃったの」私がそう答えると二人も顔を見合わせ泣き出した。
「それでは本題に入りますね、率直に言うと私達リンさんと一緒にバンドを組みたいんです」シイナが真剣な顔で言った。
「私で良ければ良いですよ」
「そうですよね流石のリンさんも、え?今良いって言いましたか!?」
「ええ、私で良ければ」私がそう答えるとシイナを含め他の3人も喜んでいた。
「それじゃあ、改めてよろしくお願いしますリンさん!」
「よろしく!皆!」こうして私達4人で新しいバンドを組む事にした。
ソウルビート! 完
次回「ジョン•ウェインによろしく」




