第22話:フェルミナ様のおかゆ
太陽が燦々《さんさん》と降り注ぎ朝が体から溢れ出すこの季節。
お父様、お母様いかがでございましょうか。
私はただいま全力疾走をしています。
まさか授業が終わっているなんて思っていなかったんですもの。
私そんな長く眠っていたと思ってなかったんですもの。
けれどこんな言い訳フェルミナ様の前では禁句ですわ。
そんな事考えずに今は早く学寮に帰らなければ。
前からなんかイノシシみたいな生物が出てきたけどそんな者ぶっ飛ばして全速で!
鬱蒼とした森を抜けて、少しだけ明るくなり、ようやく学寮が見えてきたところで
フェルミナ様の部屋に明かりが灯っていることに気がついた。
フェルミナ様がなにかしてる?
帰宅は少し遅くなりますがしょうがない。
『水鏡』
水を望遠鏡のようにして使う。本当は反射で敵の動きを掴むための魔法なのだけど。
台所と窓をいったり来たりしているわね。なにか作ってるのかしら。
もしかして私になにか作っているのかも。
いえ、もしかしたら別の人へのものかもしれませんわ。
私のものと決まったわけではありませんし。
ま、ルースト様だったら私がいただきますけど。
それ以外の方でしたら別に、良くはないですけど文句は言いません。
あれは卵おかゆね。風を引いた方がいるのかしら。
フェルミナ様の様子は見終わりましたしそろそろ帰りましょう。
「フェルミナ様帰りました。授業いかがでした?」
すっかりいつもの服に戻ったフェルミナ様は少し焦ったようにこちらを見る。
「おかえり、ユーリ。今日の授業マンドラゴラに関するものだったの。」
まぁ!私がマンドラゴラが苦手なこと覚えていたのね!
深く言及してないから違うかもしれませんが、きっとそうに違いないわ!
「ノートは取ってあるからこんど貸すね。」
奥の方から卵おかゆのにおいがするわ。自分で食べるようだったのかしら。
体調不良に気がつくことができないなんて、なんて失態。
「あと、ユーリ最近体調悪そうだからおかゆ作ったの。後で食べてね。」
優しい!優しい!優しいですわぁ!フェルミナ様が天使にしか見えないわ!
「ちゃんとご飯食べたら寝てね。おやすみ、ユーリ」
「はい!もちろんです!また明日会いましょうね。」
体調にも気を使ってくれるなんて天使様優し過ぎはしませんか?
早く自分の部屋に戻って食べなくては。
今晩食べるようにマグロのお刺身を用意していましたし、
マグロを刻んておかゆに混ぜて食べましょう。
けれどせっかくフェルミナ様が作ってくださったんだもの!
単品で食べないなんてもったいないわ!半分は普通に食べましょう!
授業はフェルミナ様と受けることができなかったけれど、
フェルミナ様のご飯を食べる事ができるんだから最高よ!
倒れてよかったわ!いいことではないけどね。




