55話最終話 最高に幸せな結婚式
「あなたは新婦エクレーヌ・マドレを、病める時も健やかなるときも、富めるときも貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「あなたは新郎シューク・モナクを、病める時も健やかなるときも、富めるときも貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「それでは誓いのキスを」
シューク様は、私の唇にチュッと優しいキスをしてくれた。
「これにて、お二人は正式な夫婦となりました」
神官様の言葉に、私は感動して涙が出そうになった。
この結婚式、おばあちゃんにも見てもらいたかったな……
ずっと私の幸せを願ってくれたおばあちゃん……。
私の祖母は小学二年生の冬に私を引き取ってから、ずっと大事に育てて可愛がってくれた。
千代子ちゃん、幸せになってねって、そう言って頭をなでて、にっこり微笑んでくれた。
だけど、私が就職して二年目の冬に、癌が見つかってあっけなくこの世を去った。
病院で意識がなくなる最後の瞬間も、私の手を握り、千代子ちゃん、幸せになってねって言ってくれた。
祖母のことを思い出して、ほろりと涙が零れた。
「エクレーヌ、泣いているのか?」
シューク様がハンカチを取り出して、私の涙を拭いてくれた。
「私の大切な人にも、この結婚式を見てもらいたかったって思ったら、涙が出てしまったの」
「その人は?」
「もう、この世にはいないの……」
「そうか……、きっと天国から見てくれているよ」
シューク様と一緒にしんみりしていたら……
私の耳にはっきり聞こえた。
「千代子ちゃん、結婚おめでとう。幸せになって良かったね」
「えっ? 千代子って、前世の私の名前……って、誰?」
びっくりして声がした方を見たら、神官様がにっこりと微笑んでいる。
この笑い方……、顔は違うけど、祖母と一緒……。
「お、おばちゃん? ど、どうして?」
「私もね。竜トワのファンだったのよ」
「お、お、おばあちゃんなのね。いつから? いつから私だって気がついてたの?」
「ふふっ、あなたが世界平和を祈った時からよ」
「お、おばあちゃん!」
私は神官様の首に手を回して抱きついて、オイオイ声を上げて泣いた。
「おばあちゃん、私、幸せになったよ!」
シューク様は私の隣でおろおろしているし、お祝いに来てくれた人は驚いて騒然としているしで、大変な結婚式になったけれど……
私とシューク様の結婚式は、最高に幸せな結婚式になった。
星の数ほどある小説の中から、この作品を見つけて最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました。面白かったと思っていただけたら幸いです。
前世でも働き者の千代子が、エクレーヌになっても一生懸命に働いて、最後は愛する人と幸せになりました。大好きだったおばあちゃんにも祝福されて、最高に幸せな結婚式を迎えることができて、書いている自分まで幸せな気持ちになりました。
面白かったと思っていただけたら、ブックマーク、評価よろしくお願いいたします。




