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モブの聖女に転生したのですが、18禁BLの主人公を私が癒してもよろしいのですか?  作者: 矢間カオル


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48話 助けてください

私たち三人は側妃宮に向かった。


王宮には国王と王妃が居住し、隣接する側妃宮には渡り廊下で行き来する。


シューク様は、フィナン様と仲の良い関係を築くために、今までに何度も側妃宮に出入りしていたそうだ。




「ただいまシャルロット様はご病気です。たとえ王太子殿下でいらしても、お入りになることはできません」

シャルロット様の部屋の前で、侍女が仁王立ちで私たちの侵入を止めた。


「ご病気だとは聞いていませんが……。本当にご病気なら、私が癒してさしあげます」

ここは聖女の力を表に出して、強行突破よ。


「で、ですが……、誰も入ってはいけないと言われております」


「あなたは、自分の主人の身体を心配しないのか?」

シューク様も引く気はないようだ。


「いったい誰が、あなたにそのような命令をしたのだ?」

これはクリード様。


「そ、それは……」


私たちの言い争いが聞こえたのか、フィナン様がドアを開けて現れた。


「お義兄様、聖女様、お願いです。僕のお母様を助けてください。ずっとお母様の様子がおかしいのです」

すがるような目で、シューク様と私を見ている。


「子である第二王子が助けを求めているのだ。あなたには我々を止める権限はない。入るぞ!」

シューク様がドアを勢いよく開けた。


私たちが中に入ると……


シャルロット様は寝着のまま、ベッドに座っていた。


本当にフィナン様が言うように、シャルロット様の様子がおかしい。


一人でブツブツと呟いていて、目の焦点が合っていない。


「シャルロット様?」

私は彼女のそばに近寄って、何を言っているのかを確かめた。


「わたくしは、クリードに竜の呪いを掛けなくてはいけない……。わたくしは、クリードに竜の呪いを……」


「シャルロット様!」

声を上げて意識をこちらに向かせようとしたけれど、シャルロット様の視線は変わらず、私の声なんて聞こえないみたいに、ブツブツと同じ言葉を繰り返している。


シューク様もクリード様も、心配そうにシャルロット様を見たその瞬間だった。


「あ、あなたはクリード……」

シャルロット様が、突如、クリード様に向かって手をかざした。


「クリード様、危ない!」

私はクリード様の前に出て、シャルロット様に向かって手をかざす。


闇魔法と神聖力が、激しくぶつかり合う。


ううっ、圧が強い……


私は闇魔法に打ち勝つイメージを頭に描き、闇魔法を押し返す。

私の方が強い、私の方が強い、私の方が強い……


私は闇魔法を打ち破り、神聖力をシャルロット様の身体に浴びせた。


「あああああああー」

シャルロット様が、突然頭を抱えて叫んだ。


「シャルロット様、大丈夫ですか?」

私は駆け寄り、声を掛けたけれど……


シャルロット様は頭を抱えていた手を下ろし、ぼーっとした目で私を見た。

だけど、目の焦点は合っていない。


「シャルロット、私の声は聞こえるか?」

シューク様も声を掛けたけれど、無視された。


「お母様、どうかもとに戻ってください」

フィナン様が、泣きながら訴えた。


ピクッと目が動いたけれど、それだけだった。


「シャルロットは正気を失っている……、これはいったい……」


シューク様は、変わり果てた姿のシャルロット様を目の前にして、どうして良いのかわからないようだった。


でも、私、前世のテレビ特番でこういうのを見たことがある。


有名な催眠術者がゲストに催眠術を掛けたら、こんな風にブツブツ言って本当に命令されたことをしたわ。


あの時は猫のマネだったけれど……。


ヤラセじゃないの? と思って見ていたんだけれど、今思えば、あれって本物だったのかもしれないわ。


術者は、最後にゲストの催眠術を解いた。


私はシャルロット様に術者と同じことをすると決め、シャルロット様の目の前に立った。



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