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モブの聖女に転生したのですが、18禁BLの主人公を私が癒してもよろしいのですか?  作者: 矢間カオル


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11話 手には手を

私が自分の身体を支えられなくなったことに気付いてくれたのか、シューク様は私の腰に手を回し、グイッと引き寄せた。

お陰で倒れずに済んだけれど、身体はシューク様に密着してしまう。

シューク様の熱が、服越しに私に伝わってくる。


だけど、ますます身体の力が抜けていき……ふらりと倒れそうになって……

思わず私は倒れないように、自分からシューク様の首に手を回してしがみついてしまった。


お互いが身体に手を回し、身体をぎゅっと密着させたまま、むさぼり合うような激しいキス……

ああ、キスがこんなに気持ちが良いなんて……、私、知らなかった……


私が快感に酔っていたら……


―終ったよ― 

私の身体が、治療が終わったことを告げた。


えっ?これって治療だったの? 

いきなり現実に引き戻されて、私の方が驚いてしまった。


それと同時に、シューク様は何かを感じたのか、唇を離した。


私はまだ身体の力が入らなくて、シューク様にしがみついたまま。


シューク様は、そんな私をひょいと抱き上げた。


「えっ、ええ? お姫様抱っこ?」


「歩けないのなら仕方あるまい」


「あ、あのっ、で、でも……」


シューク様は、私を軽々と抱き上げて、高級な椅子に座らせてくれたのだ。


もう、何が何だかわからないまま、私は恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にして俯いてしまった。


シューク様は向かいの椅子に座って、私をじっと見つめているのが、俯いていてもわかった。


「エクレーヌ、すまなかった。そしてありがとう」


「えっ? そ、それは……?」

私はシューク様の言葉の意味がわからず、思わず顔を上げた。

シューク様は、私の顔を見て、理由を話しだした。


「クリードに聞いたのだ。あの場にいた騎士たちやあなたは、クリードが俺の手の呪いの文様を消したと思っているようだが、クリードが手を握る直前に、文様が消えたのだそうだ。そのままあなたに言われるままに、俺の手を握り続けたそうだが、クリードは、聖女のあなたが俺の手を握ったから、手の呪いが解けたのだと思っている」


「でも……、私は殿下の首の文様に手を当てて、神聖力を流し込もうとしましたが、それはできず、文様は消えませんでした」


「ああ、そのようだね。だから、俺は考えたんだ。手には手を、口には口ではないかと……」

その言葉に、私はハッとした。


キスの最中に身体の力がどんどん抜けていき、立っていられなくなってしまった。

そして最後に感じた ―終ったよ― 


あれは、私の口から神聖力がシューク様の口に流れ込んでいた証だったのだ。


「あの……、そのお言葉通りだと思います」

私は恥ずかしさのあまり、また俯いてしまった。


だって、あのキスの最中、私は夢中になってしまって、神聖力の流れに気が付かず、治療だなんて思いもしなかったから……。

それに、初めてなのに、キスを気持ちいい……と感じてしまった……。


「あなたに黙ってキスしたのは、もし俺が口に出して頼んだら、きっとあなたは返事に困ってしまうと思ったからなんだ。だから、強行させてもらった」


確かにそうだと思う。

今から治療のためにキスしたいと言われたら、私はどんな顔をしただろう。

王太子だから断れないことは初めからわかっている。

だったら、あのいきなりのキスは、私的にもきっと良かったのだ……。


「俺に怒っているなら、顔をひっぱたいてくれ。拳で殴ってもいい」


「いえ、そんな……。初めてだったので驚いたのですが……」

シューク様のキスが気持ちよかったです、なんて、恥ずかしすぎて言えない……。


「殿下の呪いが解けて良かったです」


「ありがとう。そう言ってくれるのだな」


もう、これ以上キスの話は苦しいので、私は別のことを聞くことにした。


「あの……、竜の呪いの文様は、どこまで消えたのですか?」


「口の中は消えたな。それから、首から耳にかけても消えた」


顔を上げてよく見たら、首の文様が消えている。

あの時、直接手を当てても消えなかったのに……?


「あなたが俺の首にしがみついてくれただろう? おそらくその時だろう」

カッとまた私の顔が熱くなる。


だけど、ふと思った。

これは、本当はクリード様の役割だったはずなんだけど……。

原作の強制力は、どこへ行ってしまったのだろう?



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