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モブの聖女に転生したのですが、18禁BLの主人公を私が癒してもよろしいのですか?  作者: 矢間カオル


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12話 許されたいの?

シューク様とのお話から、私はクリード様の役割を奪ってしまったのだと思った。


自分に呪いを解く力がないと思い込んでいたから、クリード様がシューク様の手を握る前に、私が握ってしまったのだけれど……。


これって、原作の強制力を変えてしまったことになるのかしら……?





シューク様とお話が終わった後、私は神殿に戻って祈りを続けた。


目を瞑って指を組み、跪いて神様に祈っているのに……

思い出すのはあの濃厚なキスシーンのことばかり。


祈りながら赤くなるのは変だから、必死になって頭から追い出そうと努力した。

だけど、努力しても頭から離れないので、別のことを無理やり考えることにした。


そうだわ。疑問に思ったことを、整理してみよう。


クリード様は、シューク様の手の呪いを解いたのは私だと、思っているらしいけれど……

あのとき、私の身体は終わりを告げなかった。

だから自分が呪いを解いたのだとは思わなかった。

シューク様の手を離した後、すぐに首の文様に手を当てたから、終わりを知らせるタイミングがずれて、わからなくなったってことかしら?


それからもう一つ、首の文様が消えたのは何故? 

あのとき、直接手で触れて一生懸命念じても、消えることはなかったのに……

キスして、しがみついたら消えるなんて……。


いろいろ考えたけど、結局謎は謎のままだったので、私は考えることを放棄した。




「聖女様~。僕もお祈りします」

後ろから可愛らしい声が聞こえてきた。


この国の王子で、八歳になるフィナン・モナク殿下だ。

金髪のおかっぱ頭で、色白に青いつぶらな瞳がとっても可愛らしくて……。

思わず抱きしめたくなっちゃう。

だけど、我慢我慢。

そんなことしたら不敬の罪になっちゃうわ。


「殿下、今日も一緒にお祈りしましょうね」


「はい。僕はシュークお兄様のために祈りたいのです。早く竜の呪いが消えますようにって……」


はあ、なんて健気でかわいいの。


フィナン様は、側妃様の子どもで、シューク様とは母親が違う。

だけど、シューク様のことがとっても好きなのよね。

私がお祈りを捧げているときに時々やってきて、一緒にお祈りを捧げるんだけど、その内容はいつもシューク様のことばかり。


お兄様がケガをしませんようにとか、お兄様がいつも元気でいられますようにとか……。


だから、私もお祈りするの。

フィナン様がケガをしませんようにとか、フィナン様がいつも元気でいられますようにとか……。


お祈りが終わると、フィナン様は満足した顔で、彼の侍従と一緒に神殿を出て行った。

私はその小さな背中を見送った。

ああ、幸せな癒しのひと時だったわ。




翌日、市中の患者を診て欲しいという依頼があったので、私は馬車に向かった。

今日の護衛騎士様は、ガトーさんとロミアスさん。


ガトーさんは、悪竜討伐の日から一度も治療に来なかったから、どうしたんだろうって実は心配してた。


「お久しぶりです。最近お会いしてなかったから、心配していたんですよ」


「聖女様に心配していただけるなんて光栄です。ですが、治療に行かないと言うことは、ケガをしていないと言うことですから、ご心配していただく必要はないかと……」


「えっ? まあ、そ、それはそうですね」

私、ずいぶんと失礼なことを言ったのではないかしら?


「あの、気を悪くさせてしまったらごめんなさい。でも、いつもお話していることですが、青あざもケガも、一生懸命に練習した証ですから、遠慮なく来てくださいね」


「気を悪くなんてしていません。聖女様、お心遣いありがとうございます」

少し、ガトーさんの顔が赤くなっているように思うんだけど、やっぱり少し怒っているのかしら?




目的地に向かう馬車の中で、私はガトーさんの姿を目で追っていた。

子どもを助けたあの日から、私にはガトーさんがキラキラ光って見える。


でも、私がシューク様とキスしたなんて知ったら、彼は私のことをどう思うのかしら。


ふしだらな女だと思われるのかしら、それとも、殿下を救うためなんだから仕方がないと許してくれるのかしら……


許す? 


私の思考はここで止まった。

私はガトーさんに許されたいの?



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