第81話 六属性変換魔法
(*´ω`*)プリムたんはクートの女の中では一番成長してますね。伸び代はデカいですね。
「冒険者ギルドへの正式な入会は認められないが、特別枠としてなら行けない事も無い」
「そうなんだ」
「そうなんですのね」
冒険者ギルドの受付カウンターで感心するクートとプリメリア。
「へぇー」
「そう云うのも有るんだ」
「知らんかった」
話が聞こえていた他の冒険者達も感心している。其れを見た支部長は呆れる。
「おい、お前等なぁ。⋯まぁ此の支部は基本人間しか居ないしな。知らなくても仕方無いか。同じ理由で定年退職や年齢制限も無いぞ。年食ってもキリキリ働けよ?百歳のエルフの新人冒険者とかも居るからな」
「獣人に、エルフかぁ⋯」
獣人もエルフも出会った事が無い。ちょっとした制度の話で世界の広さを実感するクート。
「おっと、話が逸れたな。つまりだ、プリメリア嬢が冒険者に成る事は出来なくはない。但し」
「但し?」
「ただし?」
此処で支部長はクートからプリメリアへ向き直る。背筋を伸ばして真剣な眼差しを向ける。
「此の私を納得させられるだけの何かを見せて下さい」
「何か⋯」
「はい。でなければ領主様の御親戚の娘さん、しかも未成年の方を私の判断で冒険者には出来ません。特例措置を取れる程の実力が有るならば私も考えましょう。此処が絶対に譲れないラインです」
「畏まりましたわ」
(門前払いは不味い。道筋を示して道理で断る)
支部長はプリメリアの不興を買わない様に特例措置の話をしたのだ。偶にだが、血気盛んな貴族の僕ちゃんが冒険者ギルドの門戸を叩く。其の場合に、実力不足を解らせてお帰り願うのだ。いくら支部長と云っても平民だ。貴族が強権を振り翳すと弱い。話をわざと大きくする事で我儘を封殺するのがベターである。
(平民に面子を潰されたとか騒がれたくないからな。其の面子を利用するのさ)
魔法士ギルド程ではないが、冒険者ギルドや冒険者個人にも貴族のスポンサーは居る。貴族は面子が命。平民に無理を通す事と、有力貴族の後ろ盾が有る組織の代表に我儘を言うのは意味が違って来る。そんな振る舞いは其の有力貴族の顔を潰す事に成る。敢えて口に出していないが支部長は今、冒険者ギルドのスポンサー⋯有力貴族だけでなく各国の王族の後ろ盾⋯の力を使う素振りを見せた。余程の馬鹿でなければ解るだろう。
(まぁ嬢ちゃんはクートに唆されて此処に来たっぽいからな。多少魔法が使えて冒険者の適性が有ろうが家の方から圧力掛かるだろうよ)
支部長は舐めていた訳ではないが、プリメリアの実力は疑問視していた。
(クート様が望むのなら応えたい)
プリメリア自身は愛する男の求めに応じたいと思っていた。が、しかし⋯
(プリメリアなら鍛えれば連れ回せるぐらいには成るかな?)
クートはプリメリアを非常食ぐらいにしか考えていなかった。実力的にはショコラが一番なのだが、上級魔法士はしがらみも多い。実際今、魔法士ギルド上層部からの仕事が下りて来て凸凹コンビは此処数日は忙しいらしい。
「クート氏の勉強を見てやりたかったが」
「プリメリアに教わるよ」
「年増よりも若い女のが良いか?おおん?」
「キュート君の浮気者ぉ〜」
「クートです」
先日別れた時の会話である。二人共クートを強引に魔法士ギルドに入会させた代償を支払っているらしい。只クートの件を除いてもかなり好き放題してるコンビらしいので、クートの件は切っ掛けに過ぎないだろう。今まで溜めていた上級魔法士としての務めを果たしてるだけである。
「どうぞ此方へ」
クート達が場所を変える。以前レナとルカがフラッペに解らせられた場所である。冒険者ギルドの裏、訓練場と呼べる程ではないが、少し運動出来る程度の広場である。今日は特に誰も居ない。
「えーと、何か的に成る物は⋯」
支部長が端に置いて有った、弓矢の試射で使う木の的を起こそうとする。
「いえ、不要ですわ」
「え?」
「土よ」
「!?」
プリメリアが手を翳すと、広場の奥の土が盛り上がり、人の背丈程の的が出来上がる。
「土魔法?」
(発動までが早い。しかもほぼ無詠唱じゃねぇか)
支部長が驚く。御貴族様の魔法科分校生の場合、長々と詠唱をする物だとばかり思っていた。
(離れた場所の土を操った?いや、違う―――)
クートが魔力感知で捉える。プリメリアは足から魔力を伝播させて離れた場所の土を操り的を作ったのだ。
「水よ」
プリメリアが手を振るうと水球が撃ち出される。水球は土の的をボゴンッと撃ち抜く。
「炎よ」
更に其の的を炎が覆う。
(また離れた場所に―――今度はまた違うな?)
水球を放った時に別の魔力―――火属性の魔力を纏わせておいたのだろう。水球がヒットした瞬間に其れを的に移し、時間差で炎を発生させたのだ。
(いや、だとしてもおかしい―――早過ぎる)
「風よ。ふっ」
燃え上がる炎に向けてプリメリアが息を吹きかける。其の動きはブラフでパフォーマンスなのだろう。クートの魔力感知はプリメリアの魔力反応を引き続き捉えていた。炎で生まれた空気の流れを利用して風を増幅したのが解った。
「なっ!?風までっ!?四属性だとっ!?」
支部長が驚く。小さな旋風がメキメキと的をひしゃげさせる。そして的が落下する。其の瞬間、地面に伸びていたプリメリアの影が更にぐんっと伸びた。
「影よ」
(!見誤った!?土も使ってるが、自分の影に魔力を溜めて放ってたのかっ!随分溜めが早いと思った!此れなら脳内の詠唱速度を圧縮出来る!魔術式構築も影を利用すれば良い!)
崩れる土塊をプリメリアの広がった影が飲み込む。
(自分の魔力を―――喰った!?)
プリメリアの魔力が循環した気配がする。放出系の魔法を連発したのにプリメリアの魔力のロスが最小限に抑えられているのは其の所為だろう。自分で放った魔法を吸収する事で無駄遣いを抑えているのだ。しかし一度放った魔法を完全に取り込む事は出来まい。一発撃った魔法を循環させる事で変化させている。つまり―――
「光よ」
「マジかよ」
支部長の目が点に成る。土属性から始まり、水、火、風から闇、そして光だ。生み出された光球がくるくるとプリメリアの周囲を回る。
「六属性の魔法使いっ!こんなの居るのかっ!少なくともうちには居ないぞっ!」
魔法が使えない支部長だと今一ピンと来ないが、例えるなら剣も斧も槍も弓も盾も体術も其れなりの技術を持っている様な物だろう。才能が有るなんて物じゃない。
「其れだけじゃない」
「えぇ?」
クートが補足する。
「プリム。影に魔術式を流して溜めてるよね?何でそんな―――そうか、杖代わりか」
「あら?流石はクート様ですわ」
プリメリアが嬉しそうにする。影の使い方に違和感を感じたが、ストンと納得した。アレは杖代わりなのだろう。
「後は魔力を再利用してる」
「再利用?」
支部長がクートを見る。
「魔法は基本的に弓矢みたいな物だから。使ったら飛んで行く。帰って来ない」
「まぁそりゃぁな」
「だからそうだな。あ、コレが解り易いか」
クートは腰のチャクラムを手に取るとピュンと投げる。チャクラムはくるくる回るとクートの手に戻って来た。
「こんな感じだな」
「いや、解らんが」
「影を杖代わりにして魔術式を構築し、土、水、火、風と次々に魔力の属性を変換して最後は光。勿論完全に使い回しは出来てないが、具現化した事象が元に戻る瞬間の雲散霧消する魔力を吸収してる。影を使って」
「ふふ、正解です」
プリメリアがパチパチと手を叩く。嬉しかった。クートからもっと必要にされたいと思い、コッソリ練習していたのが役に立ったからだ。
(*´ω`*)プリメリアの使った技は五行相生に近いですかね。影に魔術式を込めて補助にして、四属性を自在に作り変え、最後は光にして締めます。多分練度が上がると影から分身作ったりしそう。で、其の影は勿論六属性の魔法を使うと。




