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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第77話 プリメリア御嬢様御乱心

(*´ω`*)むっつりプリムたん。夜目が利くからクートの体をガン見してましたとさ。

「プリメリア様っ!?」

「ご無事だったんですねっ!?」

「良かったですっ!」


 洞窟から出ると、プリメリアを見捨てて逃げ出した取り巻き達がダンジョン前で固まっていた。彼等彼女等は命惜しさにプリメリアを見捨てたは良いものの、ダンジョンを出た辺りで我に返り恐怖した。プリメリア本人は爵位を持たずとも貴族の御令嬢。此の町の領主の分家筋の娘でしかないが、そんな彼女の家に仕えているのが自分達なのだ。貴族にとって上下関係は絶対だ。主たる彼女を見捨てた事実は断じて認められない。否定しなければならない。


(良かった!未だ助かるぞっ!)


 彼等はプリメリアが助かった事で自分達も助かるものだと思い喜んだ。プリメリアはクートに片手で抱きかかえられている。髪もボサボサで衣服もボロボロだが怪我は無い様に見える。そしてプリメリアは別に怒っている様に見えない。其の事にホッとする。


「ぼっ!僕達は助けを呼ぼうとっ!」

「そうですっ!ええっ!いえっ!魔力の回復に努めていましたっ!今ならオーガだろうと僕等の敵では有りませんっ!」

「はっ!はいっ!私達は決してプリメリア様を見捨てた訳では―――」

「馬鹿っ!言うなっ!」

「ひっ⋯ご、ごめんなさ―――」


 嘘八百を並べ立て何とか取り繕う少年少女達。プリメリアがオーガに食い殺されるのが最悪のシナリオであったが、プリメリアを見捨てた事を咎められるのも非常に不味い。本当なら彼等は直ぐにプリメリアの屋敷へ知らせ、魔法士ギルドへの救援要請をすべきだったのだ。だが彼等は馬車の待つ道まで戻る事も出来ず、立ち止まっていた。怒られるのも知られるのも自分達の美味しいポジションを失うのも怖い。だが、ダンジョンに引き返してオーガと戦うのももっと怖い。そんな保身と打算と言い訳に満ちたジレンマで動けなくなっていたのだ。


「おい、お前、プリメリア様から離れろっ!」

「無礼だぞっ!平民っ!」


 彼等は矛先を変え、プリメリアを片手で抱きかかえるクートに食って掛かる。そもそもクートの様な異物が現れたのが悪いのだ。此の平民が魔法士ギルドに入り、剰え魔法科分校の前を横切らなければこんな事には成らなかった。プリメリアが見咎める事も、自分達が巻き込まれる事も無かった。本当だったら貴族街へ繰り出し、観劇をして新作スイーツを食べに行く予定だったのだ。攻撃魔法を持たず、ダンジョン未探索の者が混じっていたのは其れが理由だった。


(私達は只っ!プリメリア様の御機嫌を取るだけで良かったのにっ!)

(皆で美味しいお菓子と紅茶で楽しく過ごせてた筈なのにっ!)   


 プリメリアは自身の婚約者探しの為に両親が都に行っている事にナイーブになっていた。彼等の親は、そんなプリメリアの御機嫌を取っておく様に指示を出していたのだ。ダンジョン探索に行くのは予定外だった。


(私達は別にダンジョンなんか行きたくなかったし!モンスターなんて如何でも良いのにっ!)


 恐ろしいモンスターが現れプリメリアを置いて逃げてしまった。其れは失点だがまだ何とか巻き返せると信じていた。信じたかった。何故ならプリメリア御嬢様は無事だったのだから。


「あら?貴方達、まだ居ましたの?もう帰って宜しくてよ」


 彼等は気付かない。どうやってプリメリアがオーガから逃れられたのか。クートが何故、片腕でプリメリアを抱えているのかを。


「プリメリア様、お召し物が汚れます。早く此方へ⋯」


 取り巻き達が呼び掛ける。クートはプリメリアの尻に腕を回し足を支えている。プリメリアはクートの腕に腰掛け首に腕を回している。顔が近い。貴族令嬢としては宜しくない体勢である。


「ああ、私はクート様と一緒に帰るの。お前達は歩いて帰って」


 クートを見つめるプリメリアの視線が熱い。


(不味い、不味いぞ―――あの平民、オーガからプリメリア様を連れて逃げた事で調子に乗っているっ!)

(排除せねばっ!)


 火魔法と水魔法の使い手である二人の少年が、実力行使も考える。二人は特にプリメリアに好意は無い。我儘に振り回されている分苦手意識すら有る。だが其れでも主家の娘だ。当主が婚約者探しに出掛けてる間に、一人娘が平民の下男と火遊びをする等許されない。此の辺りは未だ処女信仰が強い。嫁入り前の貴族令嬢が婚前交渉等とんでもない事だ。クートは殺されるだろうし、彼等自身も罰を受けるだろう。下手をすれば廃嫡され放り出される。否、怒った当主に殺されるかも知れない。プリメリアの婚約者には都の本家筋の男が充てがわれると噂されている。プリメリアの親の顔どころか、町の本来の領主の顔も潰す事に成る。


「ああ、そうだ。此れ居る?俺はプリメリアに魔石貰えたから別に良いんだけど」

「え?」


 黙って成り行きを見守っていたクートが、プリメリアを抱えていない方の手で掴んでいた物を⋯掲げる。


「うひゃぁぁあああああああああああああっ!?」


 其れを見た取り巻き達は絶叫して腰を抜かす。クートが片手で軽々と持ち上げていたのは、一抱えは有ろうかと云う人型の頭部―――オーガの生首だったからだ。オーガの顔は酷い有り様だった。眼球は片方飛び出し、もう片方は爆発でもしたかの様に焼け焦げ抉れている。頭蓋骨も歪に歪み、顔中の穴から血を流している。其の血も既に赤黒く固まりつつある。

 

「クート様」

「⋯様?様付けは嫌だな」

「では旦那様で」

「⋯⋯クート様で良いや」


 貴族令嬢に旦那様と呼ばせるのは流石に不味いとは解る。クートはプリメリアを抱き上げながら歩き出す。取り巻き達はオーガの首は要らないらしいので其のまま持ち帰る事にする。


(記念に持って来ちゃったけど、嵩張るなコレ)


 馬車の待つ道まで戻り乗り込む。御者は御嬢様の姿にギョッとし、取り巻き達が居ない事に戸惑うが、彼にとってもプリメリア御嬢様が無事ならば問題無い。黙って馬車を出す。取り巻き達は置いていかれる。暗く成る前には町に帰れるだろう。


「今夜と云うか、暫くはパパもママも居いないの。都に出掛けてるから」

「ふーん」


 プリメリアはクートにしなだれ掛かり上目遣いで見上げて来る。完全にメロメロである。クートはプリメリアを抱き寄せる。抱き寄せる時に胸を掴んだが、感触は硬い。

 

(胸無いな。まぁ未だ小さいし)

「あんっ、もぉ⋯」


 プリメリアはお返しとばかりにクートの下腹を弄る。夜目の利く目で見たクートの腹筋や胸板が忘れられない。力強い男に包み込まれる様に抱き締められた。幸せだった。


(まぁもぉ二、三回抱いておくか)


 抱いた分だけ魔法耐性が上がるのは確実だ。夜目が利く事も聞いたので、プリメリアが六属性に覚醒したのは知っている。中々レアである。甘えて来るなら追加で頂いておいて良いだろう。


(繋がってる時に自己治癒強化すると痛みが和らいだよな?もしかして肉体を拡張したと誤認したのか?俺の体液を媒介にしたのかね?)


 未だ体が出来てないプリメリアはかなり痛がり泣いていたので、クートは駄目元で治癒力強化を施した。未だ他者への治癒魔法を行える程の実力の無いクートとしては苦肉の策だったが効果は有ったらしかった。

(*´ω`*)プリメリア御嬢様大スキャンダルでつね。

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