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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第54話 

(*´ω`*)ふぁふぉふぉ

「ふっ!」


 クートがチャクラムを投げる。ゴブリンプリーストの頭部に深く突き刺さる。クリティカルヒットだ。


「お、ラッキー。一匹目」


 クートは幸運に喜ぶ。しかし―――


「ラッキーショット⋯ではないぞ」


 フラッペは本人よりも冷静にクートの技能を分析していた。


「弱体化されたダンジョンモンスターとは云え連戦に継ぐ連戦。戦い方も向上するだろう」


 フラッペが最初に見た時よりもチャクラムの投げる速度や精度が上がっている。頭部にチャクラムが突き刺さったゴブリンプリーストは即死だった。床に倒れ伏し、動かなくなる。


「戻れ」


 クートは鋼糸を操りチャクラムを回収しようとする。


「おっと」


 そんなクートに向かって火の玉が飛んで来る。ゴブリンメイジからの攻撃魔法だ。


「此れが攻撃魔法か」


 クートが火の玉を避ける。火の玉は壁にぶち当たり派手に火の粉を撒き散らして消える。壁に薄っすらと焦げ跡が残る。クートは走りながら鋼糸を手繰る。ゴブリンプリーストの首をチョッパーで断ち切り、頭部ごとチャクラムを回収する。


「一、ニ、三、四⋯」


 クートは数を数えながらゴブリンメイジに肉薄する。其の前に立ちはだかるゴブリンナイト。クートがウルミを振り回すが盾で防がれる。剣を振り被って来たので手斧で斬り結ぶ。ガキィンッ!と鈍い音を立て剣と斧の間で火花が飛び散る。


「邪魔だな」


 ゴブリンナイトは今さっき生まれたばかりとは思えない技巧を披露する。盾で此方を押し出して来ながら剣を巧みに操る。


「ちょっと動かないでて貰える?」


 其のゴブリンナイトの腕が上がらなくなる。右手と右足を鋼糸を絡ませ結び付けたのだ。腕を振り上げようとすると足も引っ張られる。転ばぬまでもゴブリンナイトの動きがおかしくなる。


(殺せるか?)


 クートはナイフで攻撃しようか迷うが、其処に氷の塊が降って来る。


「今度は氷かよ」


 オークメイジからの魔法攻撃だろう。


「ゴブリンメイジとオークメイジの魔法は厄介だが、修練度が低い。威力も速度も低い。君なら目で見てから躱せる。落ち着いて捌け」

「了解」


 クートがゴブリンナイトから距離を取る。別方向からはオークナイトが迫って来ていた。動きは其処まで早くないが、大剣を振り被って迫って来る。クートにあの大剣は防げない。押し潰されるだろう。


「お、来たか」


 距離を取ったクートに二発目の火の玉が向かって来た。難無く避ける。


「四十秒」


 一発目から二発目までのタイムラグだ。ゴブリンメイジはゴブリン語?らしき物をムギャムギャ言いながら魔法を使って来ていた。無詠唱は出来ないらしい。


「数えていたか。抜け目無いな。相手を油断させる為に敢えて弱い魔法を遅く放つ事も有るが、まぁそいつ等にそんな知能は有るまい。攻撃魔法が来たら四十秒以内に仕留めろ」

「了解だ」


 またオークメイジから氷の塊が飛んで来た。一発食らっても死にはしないだろうが、五対一だと命取りだ。負傷して倒れたりすれば一気に袋叩きにされるだろう。


「お?」


 オークプリーストがブギブギと鳴くと、オークナイトの動きが早くなる。脂肪の下の筋肉が盛り上がっている。バフ魔法だろう。筋力上昇とかだろうか?


「おお、流石はプリースト。治癒魔法以外も使えるか」


 最初に仕留められなかったのが悔やまれる。そしてゴブリンプリーストを初手で殺せていて良かった。


「階層ボスが複数現れるのは珍しい。大体強い個体が一体出て来るからな。クート氏の討伐数が多かったから六体になったのだろう。だが其の分メリットも有るな。強さが分散されている。恐らくボス顕現のリソースが限られているのだろう。強力な一個体よりもそこそこな複数体のが君は戦り易いだろう?」

「まぁね。俺は火力不足だからな。無茶苦茶固いのが出て来たら詰んでたかな」


 例えばボスモンスターが更に上位種たるゴブリンジェネラルやオークジェネラルだった場合、クートの攻撃は全て鎧や筋肉に弾かれていただろう。


「ポジショニングは完璧か?其れで良いのか?」


 クートがニヤリと笑う。ゴブリンナイトはゴブリンメイジを守る位置取りをしている。オークプリーストはオークメイジの後ろに下がり、オークナイトが此方へと突っ込んで来る。ゴブリンナイトに絡ませた鋼糸は既に解かれている様だ。


「攻略法は三つ。一つは前衛を避けてオークプリーストを狙う。二つ目はオークナイトを倒してから後衛を潰す。三つ目は私達に助けを求める」

「一だな」


 クートは即答する。


「守る者が居ると大変だな」


 まるで人間の冒険者パーティーの様な動きをするモンスター達を嘲笑う。此れでは逆に自分が討伐される側な気がしたからだ。


「オークナイト六体、ゴブリンナイト六体だったら俺は負けてた」


 パワーのオークナイト、攻守のゴブリンナイト。此れが六体、又は三体ずつ現れ物量で攻められていたら負けていた。


「大切な仲間なんだろ?いや同時に生まれてたし兄弟かな?返してやるよ」


 クートは鋼糸を振り回しチャクラムを⋯チャクラムが突き刺さったゴブリンプリーストの頭部を投げ付ける。オークナイトは振り被っていた大剣を振り降ろしチャクラムを弾く。ゴブリンプリーストの頭部は木っ端微塵に成り脳漿を飛び散らかす。チャクラムは鋼糸が切れ明後日の方向へ飛んで行った。


「頭が悪いな。俺の攻撃なんざ其の見事な肉体で防げたろうに」


 クートは隙を突いてオークナイトの横をすり抜けていた。手には鋼糸。引っ掛けたのは右足と右腕、右足と左足。


「ブゴォォォォォォォォォッ!」


 オークナイトが雄叫びを上げる。サイズの大きい大剣では鋼糸を断ち切る事は出来まい。直ぐに引き千切られるだろうが。しかし其れで十分。


「二匹目だ」


 位置取りを上手くする。オークナイトの体を盾にして、攻撃魔法の射線を遮る。此れで邪魔はされない。


「死ね豚」


 クートはチョッパーをオークナイトの首筋に叩き付ける。だがしかし―――


「ちぃっ!?硬ぇっ!太ぇっ!」


 一撃で首を落とせない。だがオークナイトの頸動脈を断ち切り大出血をさせる事は出来た。普通なら勝ち確である。しかし向こうにはオークプリーストが居る。首を落とすまで安心出来ない。オークナイトはリーチの長い大剣を手放す。そしてクートに掴みかかって来た。右手は右足と鋼糸で絡ませてあるが左手は自由に動く。


「ジタバタすんなっ!早ぉ死ねぇっ!」


 クートは鋸の要領でギーコギーコとチョッパーを前後させる。チョッパーが首を斬り進む度に出血量が増す。オークナイトは右手で首を抑え、左手でクートを攻撃して来る。顔を殴られ鼻血が出た。口に入る自分の血の味に興奮する。


「後少しっ!」


 クートが勝利を確信し―――フラッペが叫び声を上げた。


「クート氏っ!離れろっ!」

「っ!?」


 想定外だったのは、モンスターは人間ではないと云う事。いかに人間のパーティーの様なポジショニングを取ろうとも、其の本質は自分本位な魔の者達なのだ。


「!?」


 クートが光を感じた瞬間、一気に熱が押し寄せて来た。

(*´ω`*)あいー

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