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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第44話

(*´ω`*)おぱようございみゃふ!

「魔石は要らないのかい?」


 クートは床に転がる魔石を一瞥もしない。


「小粒だし。俺が倒した訳じゃないし。時間が勿体無いし」


 だから、要らない。


「魔石やモンスターの魔力が籠った素材は一定時間は存在するが、其れを過ぎたら順次吸収される。ダンジョンに依っては荷物持ちや魔石回収の為のメンバーが必要になる理由だね」

「其れは知ってる。知識だけだけど。⋯成る程ね」


 フラッペが叩き潰したモンスターの死体は直ぐにダンジョンに溶けて消える。魔石や⋯一定確率でドロップしたらしき素材が転がっている。角や牙だ。アレも時間が経てば吸収されるのだろう。


「人間の遺体もそうだね。損傷の激しい物は直ぐに吸収されるが、綺麗な死体は割と長くダンジョンに吸収されない。まぁ綺麗な死体でも直ぐにモンスターに食い荒らされるがね。後排泄物もそうだね。ダンジョンが吸収してくれる。安全地帯のキャンプにはトイレも有るぞ」

「そっか」


 クートがジッと魔石や素材を見つめていると、先ずは骨や牙等の素材が溶けて消える。その後に小粒の魔石から吸収されて行く。


(時間差が有るな。魔力含有量の有無かな?)


 余り差は無いが、より大きな素材、より大きな魔石の方が吸収されるのが遅かった。


「ダンジョンが割と綺麗なのは此の所為か」


 モンスターの死体も素材も、人間の死体も排泄物も綺麗に片付けてしまう。大量の人間が挑み、死んでも死体は残らない。死体が腐敗して疫病の温床には成らない。クリーンだが、恐ろしさも有る。先程までモンスターで溢れ返っていた通路は何事も無かった様に静かだ。もしもあのモンスターの群れにクートが敗北し、死体を食い荒らされていたら、其のままダンジョンに吸収されモンスターの材料にされていた。


「まるで胃袋だな」

「ふふ、言い得て妙だな」


 フラッペの先導で階段に辿り着く。降りると今までと余り変わらない景色が広がっている。


「着いたぞ。第一層の地下二階部分だ」

「一層二階」

(と云う事は先程まで居たのは第一層地下一階。目隠しを外されたのは地上一階か)


 クートが脳内でダンジョンマッピングをする。するとモンスターが現れる。


「うおっ!?」


 スライムが襲い掛かって来た。ゴブリンも粗末な棍棒を振り降ろして来る。難無く回避は出来たが、先程まで無防備棒立ちでクート達に狩られていた筈なのに。


「こっからが本番か」


 とは云えクートの敵ではない。クートはチョッパーを背負うと、手斧でゴブリンの頭をかち割る。スライムにウルミを叩き付ける。二体共魔石を残して消える。


「Fランク下位って所か」


 Fランクモンスターも個体に依りピンキリだ。人間との戦闘経験の有る個体は手強い。今の奴等は地下一階の奴等よりマシだが戦い方に工夫が無い。通常の繁殖結果ではないだろうが、生まれて間も無い個体なのだろう。


「コイツ等食糧はどうしてるんだろう?」

「共食いか。もしくは餓死したらダンジョンリサイクルシステムに戻るだけだろうね」

「成る程。無駄が無いな」


 クートは襲って来たマーダーウルフ三匹にチャクラムを投げる。一匹の顔面にヒットした後、結んでいた鋼糸を操りもう一匹の前脚を斬る。どちらも致命傷ではないが怯んで動きを止める。クートは無傷の一匹に手斧を振り降ろして一撃で仕留める。そして負傷した二匹の胸にナイフを突き刺しトドメを刺す。鋼糸を手繰り寄せてチャクラムを回収する。


「ほほう、其れがクート氏の普段の戦闘スタイルなのかね?」

「いや?何時もは鋼糸で予め罠を張って誘い込む。討伐クエストばかりだったからね。ダンジョン探索用の戦法が要るな⋯」


 ダンジョンでは待ちでいる事等ほぼ無い。突き進んで未知を開拓する突破力が要る。


(⋯火力不足だな⋯)


 攻撃魔法とか有れば確かに嬉しいが、今の今まで魔法等使えていないクートに其の才覚が有るとは思えない。


「火力不足だ」

「そうかねぇ?」

「そぉですかねぇ〜?」


 思い悩むクートを見てフラッペとショコラが首を傾げる。クートの戦闘能力は異常だ。


(鑑定系スキルは感知能力の底上げと云うパッシブスキルは有るが、其れだけで此処までは戦えまい)


 ダンジョンモンスターとは云え殺害に躊躇が無い。冷静に追い詰め的確に削りトドメを刺す。チョッパーの使用を止めたのは、言葉通り試し斬りが終わったからだろう。


「そう云えば、此の魔石は貰っても良いの?」


 今更だがフラッペに確認する。クートは今フラッペに雇われている形だ。戦果は全てフラッペの物の筈だ。


「構わんよ。私の目的は最下層のモンスターの素材と云うか食材だ。そいつも仕留められたら魔石は君に上げよう」

「そっか」


 クートのモチベーションがまた少し上がる。確か今回の指名クエストの報酬は、フラッペが冒険者ギルドに支払った額から、手数料やら諸経費を差し引いた物がクートの口座に振り込まれる筈だ。クエスト中の拾得物に関しての言及は無い。後は全てフラッペの采配となる。


「有り難う。頑張る」

「頑張り給え、少年」


 金目当てや魔石目当てではないが、頑張り次第で報酬が増えると云うのは単純にやる気が出るものだ。かなり大量の魔石をゲットしているが、動きを阻害する程ではない。重くなって来たら捨てる⋯のも勿体無い。


(投げて使うか⋯)


 革のベルトの予備が有った筈だ。スリングでも作ろう。


「おお、其処まで複雑な分岐ではないが、一発で当たりを引くか。流石だな」

「モンスターがたくさん出る方向に進んだだけだよ」


 地下一階よりかは多少強くなった⋯普通よりもまだ弱いぐらいだが⋯モンスターが多くやって来る方へと進んでいたら階段の有る部屋に到着した。此処から下に行けるらしい。


「ダンジョンに依ってはダミーの階段も有るから気を付け給えよ?階段を降りたら其のまま落とし穴だったり、袋小路のモンスター部屋とか有るからね」


 フラッペの蘊蓄を聴きながら階段を降りる。此処までは順調だ。

 

「次は第一層地下三階⋯」

「うむ。手に余りそうだったら言ってくれ。ショコラに戦わせる」

「わ、私ですかぁ〜?私の固有スキル〜防御結界魔法なんですけどぉ〜?」

「何を言う。肉弾戦でもクート氏よりも強いだろう。其の胸と腹の贅肉は飾りかね?」

「ああ〜そう云うの、同性でもセクハラですよ〜?」

「最近は煩いねぇ。私も若い頃は散々チビだ何だと言われて来たよ。言った奴等は言った事を後悔しただろうがね」


 凸凹魔法使いの漫才を聴きながら降りて行くと、階段の終わりが見えて来た。次だ。次の冒険だ。


「さて、何が出る?」


 クートは予備の革ベルトで作った即席のスリングの具合を確かめながら、次なるフロアへと降り立った。

(*´ω`*)お読み頂き有り難う御座いみゃす!

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