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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第43話

(*´ω`*)メタ的に魔法使いは料理人、魔法士は調理師みたいな感じです。魔法士は資格の有無と正式名称ですね。

「おお⋯?何だっけ?コイツ?」


 チョッパーを振り上げたは良いが少し戸惑う。何時もはクエスト前に討伐モンスターを吟味する。エンカウントマップの出現情報を元に想定内の相手に対処するのがクートのスタイルだからだ。


「スライムだね。味は糞不味い。下水と汚水で作ったゼリーの様だった。一瞬気を失って下痢が止まらなくなったよ」

「体張ってるなぁ⋯」


 フラッペがくれる要らない情報を聴きつつ、クートは目の前に居る半透明のブヨブヨの塊を繁繁と見つめる。そして徐ろにチョッパーを振り下ろす。上層に出るなら雑魚には違いないからだ。


「えい」


 肉眼で解る核となる魔石付近を切断。魔石と繋がる内臓器官に当たる部分を破壊出来た⋯らしい。スライムは一瞬で崩壊。溶けて逝く。そして其処からが不思議だった。


「スライムが⋯」


 スライムの残骸が石畳に溶ける様に吸収され、魔石だけが残った。クートはスライムの小粒の魔石を回収する。


「スライムは魔石を核にして動く粘体生物だ。今のは最弱のスライムだね。プレーンスライムともノーマルスライムとも言うかな?ほぼ攻撃力の無い雑魚だ。小動物等を取り込み窒息死させ、死体をゆっくり消化する。偶に子供等が被害に遭うが、雑魚中の雑魚モンスターだね。此処には小動物は居ないから、探索者が残した食べ物とか排泄物とかを処理してくれる掃除屋だね。だからまぁ普通は放置する」

「倒しちゃったよ?」

(⋯⋯⋯良くそんなの食べたな。そりゃぁ排泄物の味がするよ⋯)


 クートはスライムは食べたくないと思った。出来ればだが。食うに困れば食べるかも知れない。フラッペに命令されたら食べるしかない。今回はそう云った趣旨の指名クエストなのだから。


「心配無い。直ぐに新しい個体が出現する筈だ。今見たろう?ダンジョンモンスターリサイクルシステム⋯いや名称は色々だったな。単にリサイクルとも呼ばれる現象だな。ダンジョンモンスターが居なくならない理由だね」


 確かに冒険者ギルドのロビーに有る書物にも似た様な事が書いて有った気がする。


「ダンジョンに依っては反応が違うが、此処はダンジョンコアの有る生きたダンジョンだからね。当然そう成る。死んだら君もそう成るから気を付け給えよ。クート氏。ダンジョンコアを破壊しない限りモンスターは現れる。そしてダンジョンコアは破壊しちゃ駄目だよ。ダンジョンが崩壊する。まぁダンジョンコアを破壊するのは並大抵の火力では無理だがね」

「成る程」


 本から得たクートの知識でも、死んだモンスターの死骸は新しいモンスターの材料に成るのだ、とされている。

 人間は死んだら普通は其処で終わりだ。しかし此の世に存在する蘇生魔法なら蘇生可能だ。しかし其れも新鮮でちゃんとした死体が有ればだ。死体がダンジョンに吸収されれば最早復活は出来ない。完全な死を意味する。

 

「じゃぁスライムはスルーのが良い?」

「任せるよ。好きにし給え」


 フラッペはクートに任せる。色々あれこれ指示を出す気は無い。クートは目の前に現れたスライムを適当に狩って行く。此方にやって来ない個体は無視して、移動に邪魔なスライムだけ片付けて行く。


「む?アレは⋯」


 ダンジョンの分岐点、一方の道の先から何者かが歩いて来る。カシャカシャと乾いた軋む様な音をさせながら此方に来る人影は細く歪だ。真っ黒な双眸が此方を見つめて来る。


「骨だ」

「スケルトンだね。コイツで出汁を取ったスープはとても不味い。嘔吐した後も暫く頭痛が続いたよ。ダンジョンに吸収された人間の末路だとも言われている。検証するならダンジョン発掘時のスケルトン出現量と行方不明者数の因果関係を調べないといけないが、此のダンジョンはすでに発掘されてから年月が経ち過ぎているし、発掘前に人間が相当数吸収された形跡が有った。どっち道調べても意味は無かったよね。まぁ元は死体かも知れないとは云え気にしないで良いよ?リサイクルシステムに組み込まれた以上すでに人間ではない。人権も無ければ魂も無い。殺すと云うか破壊するのに躊躇は要らないよ」

「了解」

(モンスターとは云え見た目人骨で出汁取るんかい)


 クートはフラッペの行為に呆れつつスケルトンに対処する。スライムと云い動きが緩慢だ。


(練習用みたいなモンスターだな)

「ふむ。躊躇等無いねぇ」

「無いですねぇ〜」


 クートはフラッペとショコラのまったりした会話を聴きながらガシャガシャとスケルトンを破壊して行く。


「肉切り包丁だけど骨も断てるんだね」

「まぁそうだね」


 破壊した骨の中から魔石を回収する。骨の残骸も暫くするとダンジョンの床に溶ける様に消え去る。


「成る程。理解した」


 クートはズンズンと進む。現れたモンスターを次々と片付ける。


「弱いし、なんかおかしいな?」


 目の前に現れるのはクートが今まで倒して来たFランクモンスターばかりだった。ゴブリンやオーク、コボルトならまだ解る。しかし水場でもないのにサハギンが、山でもないのにファングボアが現れた辺りで疑問が浮かぶ。ちなみにマーダーウルフは初めて倒した。


「Gランクモンスターは居ないとされているが、敢えてレーティングするなら此の層に出るのがGランクモンスターだろうとされているよ。他のダンジョンの低層階にも明らかに弱体化したFランクモンスターが出る。練習用に見えなくも無いが、探索者を油断させてダンジョンの奥へ誘うトラップだとも言われている」

「成る程」


 クートはチョッパーを振り降ろしながら頷く。此処のゴブリンやオーク共は明らかに動きが鈍く、コボルトやマーダーウルフは連携をしない。地上のモンスターよりも遥かに弱いのだ。此処でモンスターを狩り慣れてしまうと、ダンジョン外でエンカウントした時に油断してしまう。非常に危険だ。

 今もそうだ。目の前の広い通路にはモンスターがひしめき合っている。大量のモンスターは数十は居る。百は居ないだろうが、かなりの数だ。もしもその全てが一斉に襲い掛かって来ればクートは殺される。クートレベルだと数の暴力には敵わないからだ。モンスター討伐百オーバーは、別に一度に無双して倒した訳ではない。一体一体を罠に嵌めて弱点を突いて殺して来たに過ぎない。


「何で一斉に襲って来ないんだ?まるで順番待ちしてるみたいだ」

「さぁね。そう言う連中なんだよ。此の層のモンスターは」

「ふーん。マーダーウルフは狼らしく群れを作って連携も行うって話だよね。なのに此処のマーダーウルフは単独で挑んで来る。まるで知性を感じない。普通の狼よりも弱いんじゃぁないか」


 他所でマーダーウルフとエンカウントした時が怖い。解っていても油断しそうである。


「うふふふふ、流石だねぇクート氏」

「流石ですねぇ〜キュート君」

「クートです」


 クートの淡々とした反応にフラッペが嬉しそうにする。ショコラも感嘆している。


「魔法士ギルドが此のダンジョンを管理下に置いているのも其れか理由の一つでも有るよ。上層には弱体化されているFランクモンスターしか出ない。魔石も簡単に手に入る。だが―――」

「此の敵に慣れたら不味いな」

「君は大丈夫そうだね。流石にソロで百体モンスターを片付けただけはある」

「早く下に行こう。此処に居過ぎると腕が鈍る」

「ふははっ!本当に流石だねぇ。此処なら安全に魔石がたくさん手に入るんだよ?良いのかい?」

「要らない。下に行こうよ」

「オーケーオーケー、君の事がまた一つ知れて嬉しいよクート氏」


 フラッペが満足気に頷くと隊列を変える。


「では次の層へ行こう」


 フラッペが先頭に立つ。杖を振り被る。そして振り降ろす。


「邪魔だな。道を空けて貰おうか」

「!?」 

 

 べしゃっ!と云う音を立てて、目の前にワラワラと居たGランクモンスター数十体が全て潰された。肉が有るモンスターやスライムは天井や壁や床の染みに成り、スケルトンは粉々に成った。


「今のが⋯攻撃魔法?」


 フラッペの固有スキルだ。しかし⋯


「?いや?魔力を放出しただけだよ?」

「っっっ!?」


 クートが総毛立つ。つまり今のは魔法でも何でも無いと云う事だ。


「さぁ、下層へは此方だよ」


 フラッペは杖を振りながら先へ進む。モンスター以上の化物が側に居る事を感じ、チョッパーを握るクートのが手が汗ばみ、震えたのだった。

(*´ω`*)歩く攻城兵器アラフォー合法ロリフラッペちゃん

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