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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第31話

(*´ω`*)ヒロインごとに色んな顔のクート君が見れて美味しいですね。基本ぐいぐい来る女の人ばかりで塩対応ですけど。つれないタイプにはベッタリするかも?マジで猫みたいだな。

「ブギャァアアアアアッ!」


 デスファングボアが咆哮する。戦う前に威圧して小賢しい人間共を怯えさせるつもりだったのだろう。しかし其れは悪手で有った。最早デスファングボアはレナにとっての獲物、クートにとっての食材だった。


「じゃ、殺りますか」

「わ、何それ何それ?」


 クートが新装備を構える。レナが興味津々の其の武具の名はチャクラム。円の形をした刃物。異形の投擲武器である。


「よいしょっ!と!」 

「⋯クートってちょっと爺むさいよね」


 クートがチャクラムを投げる。隣のレナが何か煩いが無視だ。異形武具チャクラムは回転しながらデスファングボアの顔の真横をすり抜けて行く。 


「あ、下手くそ〜」

「黙ってろ」


 試しに買ってみた文字通りの付け焼き刃。勿論こんな色物で仕留めるつもりはクートにも無い。狙いは別に有る。チャクラムが空を裂く軌跡には銀の糸が一本尾を引いている。其れはクートの手に繋がっていた。


「!?ブギャァッ!?ブギィッ!」


 デスファングボアが牙を噛み鳴らして暴れ始める。チャクラムには鋼糸が結ばれて有ったのだ。其れがデスファングボアの口を真横に横断したのだ。咆哮する為に明けた大口に鋼糸が絡まる。異物感に憤慨したデスファングボアが、鋼糸を噛み切ろうとガチガチと牙を噛み鳴らしている。彼は怒りを湛えた視線をクートとレナに向ける。鋼糸は後回しにして人間二人を始末するつもりなのだろう。


「足頂き」


 クートは手に持っていた鋼糸を地面に楔で打ち込み、別の鋼糸を引っ張り手繰り寄せる。


「ブギャァッ!?」


 突進を再開したデスファングボアだが、今度は前脚を空中に浮かべたままよろける。クートの仕掛けた鋼糸の罠に足を絡ませてしまったのだ。バランスを崩し倒れかけるデスファングボア。最初の突進力ならもしも絡まっても鋼糸を楔ごと引っこ抜いて無効化出来たかも知れない。足を止めて咆哮したのが悪手だったのだ。


「レナ」

「あいよ」


 レナが槍を引き絞る。


「凄い筋肉だな」


 クートも鍛えているが、本物の前衛戦闘職を間近で見ると其の違いに圧倒される。レナは胸筋も発達している為に胸も大きいが、問題は其処ではない。やはり特筆すべきはその肉体美だ。


(美しい)


 未だ発展途上だが将来性を期待出来る才気溢れる体。クートは劣等感を忘れて暫しレナの体に魅入ってしまう。


「ふんっ!」


 激しい踏み込みと共に槍を思い切り突き出すレナ。


「ブギャァッ!」


 デスファングボアが慌てて回避しようとする。


「甘いね」


 バチンとクートの振るうウルミがデスファングボアの顔面を叩く。目玉が一つ飛び出る。クートはウルミを剣ではなく鋼の鞭として運用していた。そして視界を奪われたデスファングボアの口腔内にレナの槍が深々と突き刺さる。喉を引き裂き内臓を内側から破壊する必殺の一突きだ。


「ブギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」


 堪らずにデスファングボアが断末魔を上げる。そして横倒しに倒れ、動かなくなった。こうしてEランク昇格の為のクエストは完了した。


「⋯⋯⋯え?もう終わり」


 デスファングボアを直接倒したレナが、余りの呆気無さに拍子抜けする。


「お見事」


 クートが素直に褒める。レナが居なければ決定打に欠け、トドメを刺すまでに時間を要した。そしてレナからすると簡単過ぎた。クートのお膳立てが完璧だったからだ。自分一人なら確実に泥死合いになっていた。トドメを刺すまで手間取り、毛皮を穴だらけにして牙もへし折っていただろう。クエスト未達成である。今回はテストも兼ねている。只殺せば良い訳ではないのだから。


「此れがEランククエストか⋯」

(私だけだったら倒すまでかなり時間かかったよね。てゆーか見つけるまでも時間掛かっ⋯いや、見つけられなかったかも⋯)

「ボサッとしてないで素材を取るよ?ナイフは?」

「持ってにゃい」

「貸してやるから」


 二人協力して牙と毛皮を取る。魔石もゲットした。やはりファングボアより大きい魔石だった。保存状態の良い牙と毛皮も有る。高く買い取って貰えるだろう。


「クート、肉は食べれないの?」


 猪の肉は焼いても煮ても美味しいのに。レナがふと訊ねてみる。


「食べれない事も無いけど、モンスターは魔石を核にしてるからな。適切な処理をしないと魔力中毒を起こすよ。後単純に肉が硬くて不味い」


 クートも食材鑑定スキルを使ってモンスターの肉を口に含んだ事が有る。咀嚼して飲み込みかけると、脳内には危険信号が響いて来た。なので直ぐに吐き出した。魔石は体内の魔力が凝り固まった物と云われる。その魔石を中心に今度は全身の魔力が循環する。すると肉や内臓が魔力汚染を受けるのだ。研究職の魔法使いなら汚染されたモンスターの血肉も何かの研究に使うのかも知れないが、レア度の低いEランクモンスターの内臓を持ち帰るのも効率が悪い。必要なのは牙と毛皮、そして魔石だけだ。


「モンスターの肉の食用化は研究中だよ。高濃度の魔力にも耐えられる肉体が先ず必要になるけどね。それ以外だと魔力を抜くまでにかなり手間暇が掛かる。しかし魔力を抜くと栄養素がまるで無くなる。コストに見合うリターンが皆無なんだよ」

「ふーん、なんか勿体無いね。猪肉は食べれるのにファングボアの肉は食べられないのって、なんか変なのー」

「下痢と嘔吐と発熱が止まらなくなるけど良ければどうぞ?」

「嫌だー!」


 レナには難しい話は解らなかった。只デカい肉の塊が食べられない事だけは解った。残念だが仕方無い。下処理の雑な獣肉でも腹を壊さなかったレナでも、モンスター肉を食べれば最悪、死ぬ。

 そうしてクエスト依頼のモンスターを倒し、素材も確保した。後は無事帰還するだけである。そんな帰り支度を整えた頃だった。レナがもじもじしながら言って来た。


「ねぇ、クート、今じゃ駄目?もぉ我慢出来ない」

「もぉ仕方無いな。トイレならあっちの茂みに」

「違うそうじゃない」

「⋯はぁ、解ってるよ。模擬戦だろ?」


 クートが嘆息混じりに呟く。そうなるだろうとは思っていた。レナは我慢の利かない性格だ。しかもデスファングボア討伐はアッサリしていて不完全燃焼だったろう。此の場で戦おうとして来るのも想定内である。


「解った。じゃぁ戦ろうか」

「え?良いの?」


 クートのアッサリした応対にレナが逆に戸惑う。てっきり町に帰還してからだと突っぱねられると思っていた。確かそう約束した筈なのに。レナも我儘だと自覚はしていた。


「別に良いよ」

「へへ、ありがと。クート大好き」

「その物騒な得物が無きゃ嬉しい言葉なんだがなぁ」


 レナは心底嬉しそうに輝く様な笑顔を見せる。ビュンビュンゴウゴウと風を斬る槍が両手に無ければ惚れてしまいそうな程魅力的な笑顔である。胸も大きくスタイル良く可愛いレナ。なんでこんな美少女が内面ゴリラなのか凄く不思議である。


「まぁ良いや。サクッと終わらそう」

「へぇ、凄い自信だね?」


 クートは戦闘をする為に準備をする。毛皮と牙と魔石を纏めて木の陰に隠す。戦闘に巻き込んで破損させたら本末転倒だからだ。


「クートの手の内は解ったし、私が勝つよね」


 鋼糸を使った罠。円の形をした投擲型の武具チャクラム。鉄の鞭の様な異形剣ウルミ。どれもレナの見た事も無い装備の数々だ。デスファングボアを最速で見つけて討伐した手腕から見ても、クートの強さは知恵と工夫に依るものだ。単純な力比べなら槍術スキル持ちのレナの敵ではないだろう。だから楽しみなのだ。クートならきっと自分をもっと楽しませてくれる筈だから。


「さぁクート、私に全てを魅せて」

「嫌だね」


 クートは淡々と応える。本当の奥の手や切り札を使う気は無い。殺すつもりは無いからだ。体を傷付けるつもりも無い。レナの体はクートの物だからだ。


「手加減してやるよ。女を痛め付けて抱く趣味は無いんでね」

「言うねぇ、食材鑑定が」


 挑発されたレナが眉根を寄せて煽り返す。クートも鼻で嗤って更に煽り返す。


「槍術スキルに胡座かいてる奴に負けるかよ、ボケ」


 それ以上は言葉は不要だった。じりじりと距離を測る両者。模擬戦と呼ぶには高まり過ぎる緊張の中、いざと云う時に仲裁すべき立会人不在のまま、決戦が始まる。

(*´ω`*)レナは大型犬です。ゴールデンレトリバーです。煩いですしデカいです。

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