表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機械鎧(マシンメイル)は戦場を駆ける  作者: 黒沢 竜
第六章~荒ぶる海の激闘~
100/333

第九十九話  破廉恥姿で大特訓!?


 二日後の海賊の襲撃に備えてカルティンの防衛準備を進める中で、ヴリトラ達は海賊達が所有する迫撃砲に対抗する為に第三遊撃隊が持つ銃器の使い方を教える事になる。迫撃砲によって遠距離から敵を攻撃する海賊達と対等に渡り合うにはそれしかなかった。

 銃器の扱いを教える為に明日特訓をする事にしたヴリトラ達。そんな話の中でヴリトラは特訓場所に町の近くにある浜辺で特訓をすると言い出した。そんなヴリトラの言葉にラピュス達はただ怪訝な顔で彼を見ている。


「・・・何で浜辺で特訓をする必要があるんだ?」


 ラピュスはヴリトラの考えが理解できずにジッと見つめながら尋ねる。リンドブルム達もヴリトラの方を向いて目を細くしていた。するとヴリトラは浜辺のある方を指差しながら理由を説明し始める。


「町長さんから聞いたんだけど、此処から一番近くて広い特訓をするのに最適な場所はあっちにある浜辺くらいしかないらしい。二十人以上で特訓するんだったら、それなりに広さがないと出来ないだろう?」

「それなら別に浜辺じゃなくても町の広場とかを借りればいいだけじゃないか?」


 ラピュスが近くて広い場所を使い特訓するなら町の中の広場などを借りればいいとヴリトラに話す。するとヴリトラの後ろに立っていたオロチが顔を横へ振ってそれを却下した。


「ダメだ。町の中で銃など撃ってみろ、住民に当たって大怪我をするかもしれないだろう・・・」

「確かにそうだね」


 オロチの話を聞き、リンドブルムは彼女を見上げながら納得した。ジャバウォック達も銃器の特訓をする以上、周りに人がいない場所を選ぶべきという事に気付いて頷く。


「もしかしてヴリトラ、それを考えて浜辺で特訓をするって言ったの?」

「まぁ、それもあるけど、他にもちゃんとした理由がある」

「どんな?」


 リンドブルムが浜辺を選んだ他の理由を不思議そうな顔を見せて尋ねると、ヴリトラは港の方を向いて口を開いた。


「相手は海を知り尽くしている海賊だ。それに引き替え、俺達は陸の上で戦う傭兵や騎士、地の利では海賊達が有利にある。海でどんな風に戦ったらいいのかを調べて、その戦い方も特訓した方がいいと思ったからさ」

「でも、アイツ等は町を襲う為に陸に上がるんでしょう?それなら海での戦い方を覚える必要も無いんじゃ・・・」

「甘いぞ、リブル?確かにアイツ等は町を襲う為に上陸して来るだろう。だけど、万が一俺達が海の中、もしくは海上で戦う事になればアイツ等の方が有利になる。だからどっちで戦う事になっても大丈夫なようにしておかないといけないんだよ」


 ヴリトラが真面目な顔でリンドブルムに説明している姿を見てラピュス達はヴリトラを少し見直したのか意外そうな顔で彼を見ている。そこへオロチが再び話に加わり、リンドブルムや周りのラピュス達を見ながら言った。


「しかも奴等は迫撃砲を持っている。陸上戦に入ったとしても奴等の方がまだ有利だ。つまり、現状ではどちらで戦っても私達の方が不利という事になる・・・」

「だから、銃器を使えるようになるのと同時に海での戦い方を学ぶ為に浜辺で特訓をするという事か・・・」


 ヴリトラの考えを理解したラピュスを見てオロチは無表情のまま頷く。第三遊撃隊の騎士達も浜辺で特訓する理由を聞いて納得していき、仲間同士で話をし始めた。


「それと、浜辺はこういう普通の道と違って砂に足が取られやすい。足腰を鍛える為に浜辺を走るのもいいと思うぜ?」


 ニッと笑いながら浜辺を走る事を提案するヴリトラを見てラピュス達は更に納得したような顔を見せた。そんなヴリトラと第三遊撃隊の会話を見ていたリンドブルム達はジト目や苦笑いの表情を浮かべている。


「浜辺を走るって、ちょっと古くない?」

「いや、ヴリトラの言っている事は正しいぞ?砂は崩れやすいから下半身に力が入り鍛える事も出来るし、バランス感覚を鍛える事も出来るぜ」

「何だか青春ドラマとかでそんなシーンを見たことあるよねぇ」

「それこそ古いだろう・・・」


 ジト目で古いと言うジルニトラを見ながらヴリトラのフォローをするように話すジャバウォック。そしてテレビドラマなどで浜辺を走っているシーンを思い出して楽しそうに笑うファフニールを見ながらニーズヘッグが苦笑いを見せる。そんな四人の会話をリンドブルムとオロチはただ黙って見ていた。

 話し合いの結果、七竜将は浜辺で銃器の使い方を教える事となり、特訓開始の時間と必要な物があるかの話に移った。


「それで、特訓は明日の朝に始めるとして、お前等、出来るだけ動きやすい格好で来いよ?鎧やマントはつけてこなくていいからな」

「なぜだ?」

「浜辺に行くんだから濡れる可能性だったあるだろう?濡れてもいいような服を着てきた方がいい。それに鎧に塩水が掛かると錆びついちまうかもしれないからな。次の戦いの時に騎士の服や鎧が使い物のならなかったら洒落にならないだろう」

「言われてみれば、そうだな・・・」


 服装の事についてもヴリトラは先の事を考えている事を知り、ラピュスは自分の鎧やマントを見る。


「でもさぁ、ラピュス達に動きやすくて濡れてもいい服なんてあるの?」

「そうよ、あたし達は一応水着を持って来たけど、ラピュス達にはそんな服は無いと思うわよ?」

 

 リンドブルムとジルニトラがラピュス達が服の変えを持って来ていないだろうとヴリトラに言う。ヴリトラも二人の方を向いて困り顔を見せながら頭を掻いた。七竜将はもともと海を楽しむつもりで、つまり遊び半分でラピュス達に同行して来たので水着を持って来ていたのだ。だがラピュス達は任務で来ている為、その様な服を用意していない事にヴリトラは気付いていなかった。すると、そこへラランとアリサがヴリトラ達に近寄り声を掛けて来る。


「それなら大丈夫ですよ。私達も水中訓練用の服を持って来てますから」

「・・・水着」

「えっ、あるの?水着?」


 意外にもラピュス達が水着を持って来ている事を聞いて驚くリンドブルム。ヴリトラとジルニトラも同じように驚いていた。ラピュスは自分の後ろで笑いながら話に参加して来たアリサと無表情ではあるがどこか楽しそうに喋るラランに頭を抱えて溜め息を突いている。


「ハァ、まったく。お前達は何を考えているんだ・・・」

「いいじゃないですかぁ。この調査任務が終ればティムタームの戻るまでの間に自由にこの町で休める事になってるんですよ?その時に水着を着て海水浴を楽しむなり好きにしてもいいって団長から許可も得てますし」

「・・・隊長も少し嬉しそうだった」

「おまっ!?ララン、余計な事を・・・!」


 ラランの口から出た言葉にラピュスは驚き咄嗟にラランを止めようとする。だが、既に七竜将の耳に入ってしまい、ヴリトラ、リンドブルム、ジルニトラの三人は「へぇ~」と言いたそうな笑顔でラピュスを見ていた。他の七竜将も小さく笑ってラピュスを見ている。そんな七竜将の方を見てラピュスは目を反らしながら顔を赤くした。


「まさか、お前達が水着を持って来てたとは、ちょっと意外だったぜ?」

「わ、悪いか?私達だって海を楽しみたいという気持ちがあったんだ・・・」

「つまり、俺と同じ考え方だったわけかぁ~♪」

「ぐぐぐぅ~!・・・ええぇ、そうよ!文句あるぅ!?」


 ヴリトラに図星を突かれて赤くなるラピュスは女口調に戻りながら開き直った。そんなラピュスの顔を見てオロチ以外の七竜将が一斉に笑い出す。アリサや他の騎士達も笑いを堪えていた。


「ま、まぁ、とりあえず、明日は全員水着を着て浜辺に集合してくれ。武器を持ってくることも忘れるなよぉ?」


 笑い終えたヴリトラはラピュスの肩にポンと手を乗せて話を戻す。ラピュスの顔はまだ微かに赤く染まっている。


「分かっている。だが、あくまでも特訓なんだ。お前達も真面目に教えてくれよ?」

「大丈夫、大丈夫♪」

(それが真面目にやる人間の態度か・・・)


 笑いながら頷くヴリトラを見てラピュスは心の中で呆れながら言った。それから一通り話を終えたヴリトラ達はそれぞれの宿に戻り、明日の特訓に備えて体を休めるのだった。

 翌日の早朝、第三遊撃隊はカルティンの港の隣にある浜辺に集まった。第三遊撃隊の騎士達は全員が水中訓練用の水着を着て並んでいる。だが、騎士達が着ているのは水着とは思えない様な服だった。男性騎士は青と水色の半袖とショートパンツの格好をしており、ラピュス達女性騎士はピンクと白の長袖とロングスカート、そしてその下にショートパンツを履いているというとても海で泳ぐようには見えない姿をしている。


「これで全員揃ったか?」

「ハイ」


 ラピュスが集まっている騎士達をの方を向いて確認するとアリサが小さく頷く。ラピュスは整列している騎士達を見た後に自分の足元にある大きな木箱に視線を向けて静かに見下ろした。


「海賊の迫撃砲に対抗する為に別世界の武器の使い方を学ぶとは思わなかった。だが、この町を守る為だ、迷ってなどいられない」


 海を鋭い視線で見つめるラピュス。その後ろではラランとアリサ、そして第三遊撃隊の騎士達が並んでラピュスの背中を見ている。そんな中、ラピュスがララン達の方を向いて腕を組んだ。


「ところで、七竜将はまだなのか?」

「・・・私が呼びに行った時には直ぐに行くって言ってた」

「まったく、自分で時間と場所を選んでおきながら遅れて来るなんて、何を考えてるんだか・・・」


 遅刻している七竜将に呆れるラピュスは深く溜め息をついた。すると町の方からヴリトラの声が聞こえてきた。


「お~い、お待たせぇ~!」

「遅いぞ!言い出したのだから自分がしっかりと時間・・・を・・・?」


 文句を言おうと鋭い表情でヴリトラの方を向いたラピュスは言葉を止めて目を丸くした。ララン達もヴリトラ達の姿を見てまばたきをしている。そこにはそれぞれ青、黄、黒、緑の海パンを履いて堂々と立っているヴリトラ、リンドブルム、ジャバウォック、ニーズヘッグの姿があった。四人はそれぞれ機械鎧化している部分を除いて肌を露わにしながらラピュス達を見ている。そんな姿を見てラピュス達女性騎士は顔を少し赤くしていた。


「お、おお、お前達!何だその格好は!?」

「え?格好?・・・・・・何って、普通に水着を着てるだけだけど?」

「み、水着だとぉ!?どう見ても下着じゃないか!」


 ラピュスは海パン以外に何も身に付けていないヴリトラ達に動揺しながら目を反らして指を差す。アリサは頬を赤くしながら口を両手で押さえており、ラランも無表情ではあるが少しだけ赤くなっている。


「下着って、これが僕達の世界の水着なんだよ?」

「ああ、俺達からしてみればお前達の着ているやつの方が水着に見えねぇけどな」


 リンドブルムとジャバウォックが自分達の世界とファムステミリアの水着の違いに困り顔を見せながら話す。ニーズヘッグも後頭部を掻きながら困り顔で第三遊撃隊を見ている。


「俺達を見てこんな反応をしてるんじゃあ、ジル達の姿を見たらどうなるんだろうな・・・」

「おっまたせぇ~♪」

「噂をすればだな・・・」


 再び町の方から聞こえてくる声にヴリトラ達はゆっくりと振り返る。町の方からジルニトラ、オロチ、ファフニールの七竜将女性陣がゆっくりと歩いて来る姿が確認され、第三遊撃隊は三人の姿を見て驚きのあまり言葉を失った。ジルニトラはオレンジのビキニを着て腰にはパレオを巻いており、オロチは白の面積の少ないビキニ、いわばマイクロビキニを着ている。そしてファフニールは色鮮やかなワンピース水着を着て笑っていた。三人の姿に男性騎士達は見惚れて思わず鼻の下を伸ばしてしまう。


「やっほ~、待ったぁ?」

「何言ってるんだよ、一緒に来たじゃねぇか?」

「ハァ、空気読めないわねぇ?もう少し楽しみなさいよぉ、アンタだってそのつもりだったんでしょう?」

「まぁね」


 ジルニトラの言葉を否定することなく肩をすくめて笑うヴリトラ。そこへラピュスがヴリトラの下にゆっくりと近寄って彼の肩を指で突いた。


「お、おい、ヴリトラ・・・何なんだ、ジル達のあの姿は・・・?」

「だから、あれが俺達の世界の水着なんだよ」

「あ、ああ、あんな破廉恥な格好が・・・み、水着ぃ?」

「わ、私てっきりジルさん達も下着で来たのかと思いました・・・」

「・・・私も」


 ラピュスに続いてアリサとラランも驚きながらジルニトラ達の姿を見ている。こればかりはヴリトラ達も苦笑い浮かべていた。この世界の人間がヴリトラ達の世界の女性の水着姿を見れば下着だと思うのは無理もない事だからだ。

 そんな驚く第三遊撃隊の騎士達を見ながら七竜将はラピュスが最初に立っていた所まで行き、木箱の蓋を開けて中に入っているMP7やベレッタ90を取り出して騎士達の方を向いた。


「それじゃあ、時間も限られてるわけだし、早速始めるぞ?皆、この中の武器を一つずつ取ってくれぇ!」


 七竜将の水着姿に動揺しながらも、騎士達は全員木箱の中からそれぞれ好きな武器を取り、元の位置に戻って整列し直す。勿論、ラランとアリサも武器を取って七竜将達の前に並んでいた。


「全員取ったな?それじゃあ、まずは武器を持っている奴をそれぞれ班に分けて使い方を教えるぞ」


 ヴリトラがテキパキと騎士達に指示を出して特訓の準備を進めていく。そして数分後、MP7を選んだ騎士がアリサを入れて五人、ベレッタ90を選んだ騎士がラランを入れて五人、そして超振動マチェットと手榴弾の二つを持つ騎士が四人となりそれぞれ班に分かれる。ラピュスは既にハイパワーを持っているという事で手榴弾のみを持つことになった。

 班に分かれた騎士達を確認したヴリトラは次にそれぞれの班に使い方を教える七竜将を発表した。


「それじゃあ、MP7の班にニーズヘッグとジル、ベレッタ90の班はリブルとファウと俺の三人が入る。ジャバウォックとオロチはマチェットと手榴弾の使い方を教えてくれ。ラピュスは俺達と一緒だ」

「おう」

「了解」

「分かった・・・」


 ニーズヘッグ、リンドブルム、オロチがそれぞれの役割を告げられて返事をする。そして各班は互いに距離を作り、別の班の邪魔にならない様に特訓を始めた。

 MP7の班は横一列に並び、ニーズヘッグからMP7の構え方や弾倉の交換の仕方、そして安全装置セイフティーの説明を受けている。ジルニトラはアリサ達のやり方に間違いがないかを五人の周りを歩きながら見ていた。


「いいか?このMP7は小型で持ち運びも楽なマシンガンだが、その貫通力が非常に高い。普通の兵士が身に付けている鎧だったら簡単に貫通する。お前達騎士が着ている鎧も当たり所が悪ければ貫通してお前達の体に風穴を開ける、使う時はくれぐれも注意しろ?」

「わ、分かりました!」

「「「「ハ、ハイ!」」」」


 緊張しながら返事をするアリサに続いて男性騎士三人と女性騎士一人の合計四人の騎士達も返事をする。次にMP7の構え方の説明に入り、アリサ達の前でMP7を構えるニーズヘッグ。アリサ達もそれを見て構え方を真似する。


「・・・違うわよ。ここの手はもう少し上に持ってきて。そうすれば親指が安全装置に届いて直ぐに切り替えられるでしょう?」

「ハ、ハイ」


 MP7を構える男性騎士にジル二トラがそっと近づいて細かく説明する。説明の中、男性騎士はジルニトラの肌や胸の谷間に目を奪われて殆ど集中できないでいた。そしてアリサや女性騎士も近づいて来たニーズヘッグのがっしりとした体を見て頬を赤くして照れるのだった。

 ニーズヘッグ達の班がそんな空気の中で特訓している中、ジャバウォックとオロチの班はもっと酷い事になっていた。


「このマチェットはお前達の使う剣と違い軽いがその分リーチが短い。だから今までの剣と同じ感覚で使っていると攻撃が当たらない、しっかりと相手との距離を測って使うんだ・・・」


 オロチが目の前でマチェットを握っている男性騎士三人と一人の女性騎士に自分が持っているマチェットを指差しながら説明をしている。だが、男性騎士達がオロチの妖艶な水着姿に完全に見惚れており、話など聞いていなかった。そして唯一一人の女性騎士はそんな三人を細い目で見ていた。


「・・・完全にマチェットじゃなくってオロチの体に目が行ってるな」

「ハァ、誇り高い騎士でありながら、何と見っともない姿でしょう・・・」


 男性騎士達を見て呆れ顔を見せているジャバウォックの隣で女性騎士が男性騎士達を軽蔑する様に言った。ジャバウォックはそんな女性騎士の言葉に自然と苦笑いを見せる。


「ハハハ・・・。男って言うのはそう言う生き物なんだよ、大目に見てやってくれや」

「騎士である以上、あんな淫らな態度を取っていいはずがありません!」

「アハハハ・・・。それじゃあ、お前は一足先にグレネードの使い方を学んでおくか?」

「ハイ、お願いします」


 男性騎士達よりも先に手榴弾の使い方を教わる事になった女性騎士にジャバウォックは手榴弾を見えながら説明を始める。だが、説明の中、女性騎士も男の裸体を身なられていないのか、時々ジャバウォックから目を反らして照れくさそうにしているのだった。

 そしてベレッタ90の使い方を教える事になったヴリトラ達はバレッタ90を一丁ずつ握っているラランと四人の男性騎士達を見ていた。ラピュスも自分のハイパワーを握りながらヴリトラの隣に立っており、黙ってヴリトラ達の説明を聞いている。


「お前達が持つ拳銃って言うのはあっちで使っているMP7と違って貫通力は無いが片手で撃つ事もできる武器だ。でも両手で握った方が拳銃の反動も抑えられて狙いを正確になる。だから出来るだけ両手で撃つ事を勧める」

「まずは実際に撃ってみて感覚を掴んだ方がいいですね。それに、拳銃これの教え方が終ったら今度はMP7かマチェットの使い方も教える事になってますから自分にあった武器を選んだ方がいいと思いますよ」


 ヴリトラとリンドブルムの説明を聞いて真面目な顔で頷くララン達。どうやらこちらでは他の二班の様にはなっていないようだ。ベレッタ90を両手で構えるラランを見てファフニールが丁寧に手の位置などを教えた。


「右手はこの位置で、左手はこっち。引き金にな常に指を掛けておいていつでも撃てるようにしておいがほうがいいよ?」

「・・・分かった」


 ラランはファフニールの教えてもらった通りのベレッタ90を握り、ゆっくりと顔と同じ高さまで持って来て構えた。他の男性騎士達もヴリトラやリンドブルムに教えてもらいながら構え方を覚えていく。そしてラピュスはハイパワーの構え方をもう一度確認する様にヴリトラに教えてもらい、手の中の手榴弾についても教えてもらった。


「それじゃあ、とりあえず一発撃ってみようか?・・・まずはラランから、海に向かって撃ってみて」

「・・・うん」


 一通り構え方や撃ち方を教えてもらったララン達は早速撃つことになった。一番手のラランが一歩前に出て海に向かって銃口を向ける。狙いを定めて引き金に掛けてある指をそっと動かす。そしてラランは思い切って引き金を引いた。それと同時に銃声が響き海の中に小さな水柱が生まれた。


「うわぁ!?」


 思った以上の反動にラランは驚きながら後ろに押される。そこをリンドブルムが後ろから受け止めラランを支えた。


「大丈夫?」

「・・・う、うん。ありがとう」

「気を付けてね?君は騎士とは言え普通の人間なんだから、しっかり力を入れないと飛ばされちゃうから」


 リンドブルムの忠告を聞きラランは頷き、ゆっくりと体勢を直してもう一度ベレッタ90を撃つ。それに続いてラピュスと他の騎士達もハイパワーとベレッタ90の射撃練習を始める。それから七竜将は武器を交代してはその使い方を騎士達に教えていき、その後に浜辺のランニングや剣による手合せなどをして特訓を続けていったのだった。

 七竜将から銃器などの扱いを教わる第三遊撃隊の騎士達。その中には真面目に教わる者もいれば、集中していない者もいる。だがそれでも彼等は銃器の扱いを学び、海賊との戦いの準備を進めていくのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ