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継炎ノ残響  作者: 秋島蒼天
反撃ノ開始
41/46

第032話 〈跳躍の刻印・Ⅱ〉

2075/4/13 p.m.7:16 仮想ルーム


(火炎螺旋!!)


圧縮された炎が螺旋を描き、空気を焼き裂きながら蒸雲へ迫る。

しかし、攻撃が蒸雲に当たる寸前に入れ替えが行われ、攻撃はどこかから入れ替わった木屑に当たる。


「いいとこまで行ったが、攻撃はまず当たらんぞ?しかも、お前が散々逃げ回ってくれたおかげで印がある領域全体への広範囲攻撃も不可能になった。」


そういいながら蒸雲は悠真に歩み寄る。


「詰みだ。負けを認めたらどうだ?」


「そうですね、このままなら俺の負けです。ですが、これならどうですか?」


そういい終わるのと同時に、悠真はありったけの精神エネルギーを消費し、直径5mほどの圧縮火炎弾を生み出す。


「おいおい、みたところそれをまともに食らえば俺は即死だろう。だが、印の抹消は無理だ。諦めたらどうだぁ?」


それを無視し、悠真はつぶやく。


「このステージが木造で本当によかったよ…」

「あ?」


悠真は巨大火球を地面へ思いっきりたたきつける。


「!、お前まさか!正気かぁ!?」


このステージは「大和城」、複雑に入り組む日本建築のステージ、しかし、ステージは結構もろく設定されており、ある程度以上の威力の攻撃を受けてしまうと簡単に崩れてしまう。


(印がある場所を丸ごと足場崩し!この一年坊、俺を巻き込んで引き分けに持ち込むつもりか!だが…)


悠真の衝撃でステージの崩壊が始まる。


「残念だったな、俺のスティレットはワイヤーアクションつきだ!」


崩壊によって落下を開始する蒸雲だが、スティレットを近くの瓦礫に向かって投げ、瓦礫を引き寄せる。


「お前だけが落ちていけ。一年にしてはよくやったほうだ!」


蒸雲は瓦礫を足場に上へ登っていく。


(たしかに足場崩しが狙いだ。だが、お前こそ落ちていけ!)


悠真は残り少ないカラカラの精神エネルギーを使い、事前に白斗の能力を転写した賢者の石を発動する。


「凍鷹ッ!!」


白斗のものと比べて数段不格好な氷の鷹が姿を表し、悠真を乗せて飛び上がる。


「まじか!こいつ、賢者の石を隠し持っていたのかよぉ!」


いくら瓦礫を足場にしたところで、瓦礫の数には限りがある。悠真は過度の精神エネルギー消費によって気絶した。急ごしらえゆえ凍鷹はすでにひび割れ始めていた。それでも、瓦礫の足場よりはよほど長く空中に留まれる。蒸雲は焦りからか汗がにじんでいた。


「畜生、まじで負けるとこだったぜ。思い切りがいいし。だが、一つ忘れてるなぁ。そろそろ鉄片の数個が地面につくころだ。」


転移が行われ、蒸雲は無事着地する。


(残念だな。結局お前の負けだ。高度は約30m、元から少ないエネルギーで作られたその鷹が消えれば、そのまま気絶したお前は落下死、俺の勝ちだぜ。)


-2075/4/13 p.m.7:21-


蒸雲は気絶した悠真を運んで仮想ルームから出てきた。


(畜生、仮想ルームを解除してもちょっと高い位置にいたからキャッチしたときに腰にキたぜ。)


「はいおしまい、あんたらんとこの…悠真か。結局俺には勝てなかったぜ。しかも、精神エネルギーの過剰使用で気絶しちまってる。保管室にでも運んどけ。」


「は、はい。」


始が悠真を背負い急いで保健室へ向かう。


「あの、白斗さんと悠真さんは能力の転写を習得できなかったんじゃないですか?あの賢者の石の能力コピーは?」


史郎の問に白斗が答える。


「ああ、あれはゼロさんの能力で補助してもらって、なんとか二人とも一度だけ成功したんだ。ここに悠真の能力コピーもあるぜ。」


そういって賢者の石を取り出す。


「ゼロさんの能力ですか…そういえばゼロさんの能力って何なんですか?」

「いや、俺も知らん。しかも悠真も知らないみたいだ。体感したときに図書館…?みたいな空間に行ったみたいだ。」


それを聞き、史郎は思考する。


(現状の情報と今までの経験から推察すると、情報の貯蔵と受け渡しが可能な何かってところか…?)


「今度聞いてこようか?」

「いや、いいです。悠真さんにも明かしていないのならきっと何か意味があるんでしょう。それより、今は悠真の回復を待つべきですね。」


-2075/4/13 p.m.7:55 保健室-


「あいおはよう、一週間たたずに二度来るなんてね。まったく、ベッドにも限りがあるんだから気を付けてほしいものだよ。」


養護教諭のおばさんにそう言われながら悠真が目を覚ます。


「知ってる天井だ…」

「何言ってんだい、ほら、元気になったんならさっさと帰った帰った。ただの過剰精神消費なら自室で休めばいいものを…」


おばさんがぶつぶつ言いながら保健室にいる別の患者のほうへ行った。おそらく襲撃時にけがをしたのであろう。悠真は改めて強くなる決意を固める。


「お、起きてるじゃねぇか。」


新生06小隊の面々が保健室に入ってきた。


「悠真、調子はどうだ?」


悠真は白斗に答える。


「少し疲れはあるけど。おおむね回復した。これが過剰精神消費か、初めて起こしたよ。」

「お前、いくら逸脱変換者だからってあんなのは無茶苦茶すぎるぞ。」

「そうですよ、見たところ巨大火球を使用した時点で精神エネルギーが1割以下しか残っていないだろうに、精神エネルギーを大量に消費する能力コピーを使うなんて、実戦でやってたらどうなってたか…」


始と史郎の言葉を聞き、悠真は思う。


(たしかに、あんな無茶は実戦じゃできない。今回みたいな状況に対応するために超広範囲攻撃の技を開発しないとな…)


その後、悠真たちは遅めの食事をとる。

舞は相変わらず10000kcalほど取っていた。


「なぁ舞、お前の胃袋はマジでどうなってんだ?」


悠真が聞く。


「あたしは体質的にたくさん食べるだけだよ。別に体重は平均と変わらないよ?」

「そ、そうか…」

「というかそれを言うなら悠真、お前は高いものばっか選ぶなよ、実家が太いからってよぉ、さすがに羨ましいぜ。」


始に答える。


「月に30万が口座に自動で振り込まれるからな、必要分と貯蓄分以外は自分で使えるけど、母さん相当俺に無関心みたいで、学費もこのお小遣いから出してる。」

「急に羨ましくなくなったぜ。だいぶ毒親だな。」


白斗が言う。


「なに、お前ほど不幸でもないさ。」


(白斗に両親の話はまずかったかもな…こいつは兄の暴走で両親を失っているのだから。)


「別にいいよ、お前も親父は居ないだろ。」

「俺のほうは5歳の時に死んだし、出張であまり会ってない。喪失感はそこまでなかったよ。」

「そうか…」


そこへ始が割って入る。


「なーに辛気臭いこと喋ってんだ。飯食おうぜ。」

「ああ、そうだな。」


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〈能力紹介〉「跳躍の刻印(リープマーカー)

自身の攻撃によって損傷を与えた対象に印を付与し、印同士の位置を入れ替える。自分自身には傷を付けずとも印を付与できる。一度使用すると印は消滅する。自分以外を入れ替える場合、対象の質量差が60kg以下の場合のみ入れ替えるられ。また、1t以上の対象は入れ替えできない。

自身の攻撃の判定として、武器による斬撃や投擲などは印を付けることができるが、銃器や、周辺環境を利用した落下物、ドローンなどの機械によるものは印を付けることができない。


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