第030章 〈根の者達・Ⅱ〉
2075/4/13 p.m.7:01 アンダーガーデン本部
静まり返った本部で、沙耶がゆっくりと口を開き、小隊の紹介を始める。
「アンダーガーデンにはあなたたちを除いて小隊が5つあるわ。まぁあなたたちが06小隊だから当然だけど、00とかは無いわよ。」
白斗は00小隊がないことに少し驚く。
(こういうのは0番があるのが相場で決まっていると思ってたが、違うのか。)
「ちょっと01はトリにしたいからまずは02小隊からね。02小隊『救護隊』、肉体を直したり、強化したり、改造したりする能力をもった者を集めてるわ。」
先輩の中から三人歩み出て、そのうち一人が悠真たちに手を伸ばす。
「よろしく。怪我したら俺たちに任せとけ、改造手術もやってやるぞ。」
「よろしくお願いします。改造は遠慮しておきます…」
悠真が握手を返す。他の1年も握手を行っていく。
「次が03小隊、『諜報隊』、潜入や諜報が特異な者たちよ。」
殺気の救護隊とは違い、先輩たちは誰一人反応しない。
「あ、諜報隊の人は恥ずかしがり屋だし襲撃で少し気が立ってるわ。今回ここにきてるだけでもましなほうね。ちなみに姿は隠してないわよ。目の前の先輩のだれかだから、ぜひ当ててみてね。」
沙耶の言葉に悠真たちは少し気まずい雰囲気になる。
「まぁ名乗り出ないならそれでいいわ。無理に表に出る必要もないしね。次、04小隊と行きたいところだけど、残念ながら襲撃で半壊、生きてる三人も保健室で寝てるわ。怪我が治ったら」
悠真はやはり、その軽さに引っかかりを覚えた。
その言葉を、こんなにも簡単に口にしていいのかと。
「次、05小隊。白斗君なら良く知ってるはずね。」
蒸雲が口を開く。
「よ、俺たちが05小隊だ。ちなみに動けるメンバーは襲撃によって現状俺と結と司の3人しかいないぜ。」
05小隊の三人が悠真たちと握手を躱す。
「さて、では最後に01小隊!私と指揮、戦闘両方に優れた者が所属するいわば私の親衛隊!」
沙耶が自慢げに言う。
沙耶の後ろにいた二人の、おそらく三年であろう先輩がどうやらメンバーのようだ。
悠真はそのうちの一人と目が合うが、それが、本能的に格上であると感じた。
(まさか、Sランク…?いや、志島先生もAだし、それは無いか。)
「あ、ちなみに隊に所属していない人もいるわ。三人いたけどもう白斗だけよ。まぁ06に入る?悠真たちもいるし。」
「はい、そうします。」
その後、沙耶は先輩たちに悠真たちをざっくりと紹介し、悠真たちの端末に先輩たちの能力の情報が乗ったPDFを送った。
「じゃ、白斗も正式に06小隊に入ったってデータベーズ更新してくるわ。各々自由に解散するなり雑談するなりしてってねー。」
沙耶はそういうと、根の檻がある部屋の方向へ去っていった。
他の先輩たちも、ほとんどが学校の地下一階につながるエレベーターへ向かう。
先輩たちが去り、空間にわずかな静寂が戻る。
「なぁお前ら、暇だしさ。」
蒸雲が、悠真たちの方を見た。
「ちょっとやるか?」
「…やる、って?何を?」
「この流れはまさか...」
白斗が何かを察する。
「決まってんだろ。戦いだよ。」
軽い口調だった。
だが、その目は笑っていない。
「お前らの実力、まだちゃんと見てねぇしな。」
周囲の空気が、わずかに変わる。
「オイオイオイ、蒸雲がやるのか。」
「死ぬわアイツ。さすがにランク差が大きい思うなぁ。」
「ほう、模擬戦ですか…たいしたものですね。」
冗談のようでいて、誰も否定しない。
「で、誰がやる?お前ら誰でもいいぞ。さっき言ってたー、始だっけ?お前はちょうどBランクになったみたいだし、個人的にはお前とやりたい。」
「どうする?始。」
「別に無理に受けなくてもいいと思いますが…」
舞と史郎の言葉を聞き、始が答えようとするが、
「俺に、やらせてください。」
その答えに白斗が驚く。
「マジか悠真、相手は少なく見積もってもBランク上位だぞ?」
「いえ、PDFによるとAランクです。」
「そうよ!万が一ホントに死んじゃったら…」
そう諭されるが、悠真はそれでも戦いを挑むことにした。
(強者と戦える機会を、逃すわけには行かない。)
「さすがに殺されはしないよ。」
そう言い、悠真は蒸雲に向き直る。
「是非、御手合せ願います。」




