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第四話 小鬼の王

ゴブリンからの不意打ちを何とかしのいだ俺達は、

周囲を警戒しながら森の奥へ進んでいた。

しかし、ゴブリン達は姿を現さない。

そのことに俺は違和感を感じた。


「妙だな、ゴブリンの姿が見当たらない……。」


「また待ち伏せでもしてるんじゃないか?」


アルさんの言う通り、ゴブリン達か待ち伏せをしているのかもしれない。

たが、俺はただ待ち伏せをしているようには思えなかった。何故なら……


「待ち伏せしているにしても、流石に周りが静か過ぎます。というか、さっきからゴブリンの気配を感じないんです。」


そう、ゴブリンの気配が無く、静か過ぎる事に疑問を感じたらからだ。


「何でだろう、少し嫌な予感がします……。」


俺はこの妙な状況に悪寒を感じた。

まるで、この先に何かがあるかのように……。


「お前、考えすぎだろ?そもそも、ここはゴブリンしか出ないゴブゴブ森林だぞ?ゴブリンの上位種でも出てこない限り危険が少ないんだぞ。そんなの気のせいに決まってるさ。」


(おいフラグ立てんなァァァァァァァァ!!?)


アルさんがフラグん立てた事によって、俺の悪寒が更に増した気がした。









少し進むと、何かを見張っているような行動をしているゴブリンを二体発見した。


「アルさん、ゴブリンが二体いました。」


俺はアルさんにゴブリンがいた事を知らせた。


「よし、不意打ちで一気に倒しにいくぞ。」


「はい。」


俺が返事をしたと同時に、俺達はゴブリン達に攻撃を仕掛ける。


「オラァッ!」


「グギァ!?」


アルさんの剣がゴブリンの頭部へ襲いかかり、ゴブリンの頭を叩き斬る。


「ギギ!?」


もう一体のゴブリンは突然の奇襲に驚く。


「これで最後ッ!!」


そして、俺はそのゴブリンの首をいつも通りにチョンパした。


「これでゴブリン五体の討伐が終わりましたね。」


「そうだな、魔石を回収して早めに帰るか。」


そう言って俺達はゴブリンの魔石をすぐに回収し始めた。その時だった……


「ゴガァァァァァァァッ!!!」


「うわっ!?何だ!?」


突然、デカイ咆哮が森の木々の奥から聞こえた。

そして、そこから全身筋骨隆々の巨大なゴブリンのようなモンスターが現れた。


「な、何だあいつ!?アルさん、あいつは一体……」


現れた巨大なゴブリンのようなモンスターについてアルさんに聞く。


「バカ!そんな事を聞いている暇があるなら早く魔石を回収するんだ!!」


だが、アルさんは慌てた様子で俺に魔石を回収するように叫んだ。


「は、はい!!」


俺はすぐさまゴブリンの身体を切り裂き、魔石を回収する。アルさんの方を見ると、どうやらアルさんも魔石を回収できたようだ。


「よし、魔石を回収したな、だったら早く逃げるぞ!!」


俺が魔石を回収した事を確認すると、アルさんは俺に逃げるよう指示した。

俺は言われた通りにその場から逃げ出した。


「マズイな……まさか奴が生まれていたとは……。」


「アルさん、あいつは何なんですか?」


俺は逃げながらアルさんにそう聞く。


「……ゴブリンキングだ、その名の通りゴブリンの王だ。今の俺達じゃ到底敵わない……。」


それを聞いた俺はまずこう思った。


(は~い……フラグ回収です。お疲れさまでしたッ!!(涙))


見事にフラグが回収された事に嘆きながら、俺は必死に逃げる。たが……


「ゴガァァァァァァァッ!!」


ゴブリンキングが凄まじいスピードで俺達を追って来ていた。


「マズイッ!!このままじゃ追いつかれる!!」


「嫌だァァァァァッ!!俺まだ死にたくないィィィィッ!!!」


「落ち着けサトル!!!まだ死ぬとは決まってないぞ!!!」


俺達がそう言いながら逃げていたその時だった。


ー ヒュンッ!! ー


「「え?」」


俺達のすぐ横に何かが通り過ぎたような気がした。

その直後……


「ゴアガァァァァァァァァァッ!!?」


ゴブリンキングの断末魔のような声が聞こえた。

恐る恐るゴブリンキングが追って来ていた方向を見ると、そこには首を切り裂かれて倒れているゴブリンキングがいた。そして、その近くに輝く白銀の剣を持った大体四十代後半ぐらいの男性がいた。


「あんたら、運が良かったな。俺がいなかったら死んでただろうな。」


男が俺達の方に向いてそう言った。


「あ、貴方は………?」


「ガ、ガルガドさんッ!!?」


「え?」


俺が男が何者なのか尋ねようとした時、アルさんが男を見て驚いていた。


「アルさん、この人が誰なのか知ってるんですか?」


俺はアルさんに聞いてみた。


「知ってるも何も、この人は……ガルガド•ヘルクレスさんは、ギデオン屈指の実力を持つBランク冒険者だぞ………。」


「え!?Bランク冒険者!?」


何と、俺達を助けたのはBランクの冒険者だった。

しかも、名前まで知られるほど有名な方らしい。


「そ、その……貴方ほどのハイランクの冒険者がなぜここに……?」


俺は緊張しながらガルガドさんに目的を聞く。


「ああ、それな。実は先程この森でゴブリンの上位種のような奴を見たって報告が冒険者ギルドに来てな、その調査の為に俺が指名されたって訳よ。」


「な、なるほど……。」


「それにしても、ゴブリンキングか……とんだ災難だったなあんたら。そんじゃ、俺は調査を続けるから、お前達は早くこの森から出ろよ。」


そう言い残してガルガドさんは森の奥へ進んでいった。


「か、帰りましょうか、アルさん。」


「そ、そうだな。依頼達成の条件は揃ってからな……。」


そして、俺達はゴブゴブ森林を抜け、レギオンへの帰路へ着くのであった。









「はあ……今日は災難でしたね……。」


「そうだな、まさかゴブリンキングに出くわすになるとはな……。」


冒険者ギルドで報酬を受け取った俺達はギルドの酒場エリアの席で一息ついていた。


「で、どうする?これからの活動。ゴブリン討伐はゴブゴブ森林の調査でしばらく受けられなくなったからな。」


「そうですね……地道に採取依頼とかをこなして俺のランクを上げるのもアリですかね……。」


「そうだな、まずはサトルのランクを上げる事を優先するか、その方が何かしら有利になるからな。」


「というか、アルさんはEランクでしたよね!だったら二人パーティの今ならEランクの依頼が俺でも受注できるんじゃ……!!」


「それだ!」


パーティで依頼を受ける時は必ずしも、その全員が同じランクで無くても良いというルールがある。

ただし、その場合はパーティの過半数が適正ランクでなければならないという制約もある。

今の俺達はその条件を満たしている。


「よーし、そうと決まれば明日はEランクの依頼を受けにいくぞ!」


「はい!」


こうして、俺達は、俺のランクを上げる為にEランクの依頼をこなすことにしたのであった。










お読みいただき、ありがとうございました!

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