第三話 仲間
投稿が遅れてすみません!
プライベートの方で諸事情がありましたので、
今回は少し短めです!本当にすみません!
「誰かパーティを組んでくれる方はいませんかー!」
ゴブリンとの死闘の翌日、俺は、冒険者ギルドで
パーティメンバーの募集をしていた。
一人で依頼を受けてあんな酷い目にあったら、そりゃもうこうするしかないだろう。
(まだ募集に応じてくれる人はいないけど、俺は絶対に諦めない!意地でもパーティを組んでやる!)
そう思いながら、俺は必死にパーティ募集を続けた。
「誰も募集に応じてくれない…………。」
募集を初めてから数十分ほど時間が過ぎたが、
未だに募集に応じてやって来る者はいなかった。
それもそうだ。
この街、迷宮都市レギオンは冒険者のほとんどが
Cランク以上のハイランクなのだ。
つまり、ただの物好きでもなければ、わざわざ俺みたいな低ランクを仲間に引き入れる必要性は無いに等しい。
例え、運良くハイランクのパーティに引き入れてもらっても、荷物運びにされるだけだろう。
(畜生……!やっぱりこの街でパーティを募集するのはハードルが高すぎたか……!)
この街でのパーティ募集のあまりのハードルの高さに俺が途方に暮れたそんなときだった。
「お、サトルじゃねぇか、何だお前、パーティ募集してんのか?」
「え?」
突如、誰かが俺に話しかけてきた。
俺は声が聞こえた方向に顔を向けると……
「ア、アルさん!?」
「よ、昨日ぶりだな。」
そこには全身鎧を着用し、ギリギリ片手で持てるぐらいの大きさの大盾と片手剣を装備した銀髪碧眼のヨーロッパ系の顔立ちの二十代前半ぐらいの男がいた。
彼の名前は【アルフレッド•アレス】。
何を隠そう、この人は昨日泊まった宿をおすすめしてくれた人だ。
ちなみに、彼も同じ冒険者で、ランクは俺の一つ上のEランクだ。
それと、俺が彼を【アルさん】を呼んでいるのは、
彼が【アルフレッドさん】じゃ長々しいから
【アルさん】とでも呼んでくれと言われたからだ。
「パーティ募集、大変そうだな。」
「はい……この通り………。」
(やっぱり、この街じゃパーティを組むのは無理か………。仕方ない、もったいないけど、この街を離れて別の所で冒険者活動をするか………。)
この街のパーティ募集に限界を感じ、俺がそんな事を考えていると……
「じゃあ、俺と一緒に組むか?」
「え?」
アルさんがパーティ募集に応じてきた。
「……………………良いんですか?」
「ああ、別に良いぞ。つーか、さっきの間は何だよ。」
俺は驚いていた。まさかこの街で俺のパーティ募集に応じてくれる人が現れるとは思っていなかったのだから。
「ッ!是非ともお願いします!」
こうして、俺は先輩冒険者のアルさんとパーティを組むことになった。
「そういえば、アルさんは何で俺とパーティを組んでくれたんですか?」
アルさんとパーティを組んだ後、再びゴブリンの討伐依頼を受注しゴブゴブ森林にやってきた俺は、
アルさんにそう聞いた。
「お前とパーティを組んだ理由?そうだな………
まあ、まずはソロで活動する事がきつく感じてきたことだろうな。一人で活動した方が取り分が多いが、命には代えられないからな。」
「ああ、じゃあ俺と同じような感じですか。」
「そんなところだな。そうだ、あともう一つだけ
お前と組んだ理由がある。」
「もう一つ?」
「お前、昨日でパジャマ姿で街中を走り回ってただろう?」
「おぐはッ!?」
アルさんがとんでもない爆弾発言をかましてきた。
その言葉がクリーンヒットした俺は、心の中で吐血したように感じた。
確かに昨日俺は、服屋を探すために街中を走り回っていた。恐らく、それを見られたのだろう。
「な、何故……それを………。」
俺は確認の為にアルさんに聞いてみた。
「そりゃあ、あの時俺も見てたからな。
その時のお前を見た時、思わず爆笑しそうになったさ。
ヤベ、思い出したら笑う……ブフッ!!」
(やっぱり見られてた!!!)
「ははは、まあ、俺はその時にお前の事を知った訳だ。それと、お前が冒険者になっている所を見た時、あんな奴が仲間になってくれたら俺の冒険者人生も楽しくなるんじゃないかって思ったのが、お前とパーティを組んだ最大の理由だな。」
「アルさん……。」
俺はアルさんが一層輝いて見えた。
こんな頼れる兄貴分みたいなオーラが漂った人は前世でも見た事が無かった。
(これは頼れる人に仲間になってもらったな……。)
俺の中でアルさんの評価が更に上がった。
「それじゃアルさん、そろそろゴブリンを討伐に………あれ?アルさん?」
いつの間にか俺の隣からアルさんの姿が消えていた。何事だと、俺が周囲を見渡すと………
「そこのお嬢さん達、この依頼の後でもいいので、俺とお茶をしませんか?」
………ゴブリン討伐に来た他の女性冒険者パーティ(しかもみんな美人)にアルさんが仲間そっちのけでナンパを仕掛けていた。
「アルさんあんた何してんのォォォォォォォッ!?」
俺の中でアルさんの評価がガクッと落ちた。
「いや〜すまん。つい、いつもの癖でな。」
「いや癖って何ですか!?やめてくださいよ!!
そうしてる内にモンスターに襲われて死んだらどうするんですか!!!」
どうやら、アルさんは昔からの癖で美人な女性を見つけると、仲間そっちのけでナンパしに行ってしまうらしい。迷惑な癖だ……。
「とりあえず!この場所はゴブリンが大量にいる危険な場所なんですから、気を抜かないでくださいよ!!」
「ほいほい、分かってるよ。」
「いや本当に分かってるんですか!?」
こうして俺は、多少の不安を感じながらも、依頼達成のためにゴブゴブ森林の奥へと進んでいった。
やがて、そのまま進んでいくと……
「ギャッ!ギャッ!ギャッ!」
相変わらずの緑色の身体をした小さなおっさん……
もといゴブリンが一体現れた。
「アルさん!ゴブリンが一体出ました!」
「おし!任せろ!」
作戦はこうだ。
まず、大盾を持ったアルさんが攻撃しながらゴブリンを引きつける。
そして、アルさんがゴブリンを引きつけいる間に、
俺がゴブリンを攻撃する。
これぞ、タンクとアタッカーの基本の作戦だ。
「これでも喰らいなッ!!」
アルさんが両手で大盾を構え、そのままゴブリンにタックルをかました。シールドバッシュだ。
「グギャガァッ!?」
アルさんのシールドバッシュでゴブリンが大きく怯んだ。
「おりゃあッ!!!」
俺はその隙を見逃さず、ゴブリンの首を剣で跳ね飛ばす。だがやはり、いつ見てもあまり気持ちの良いものはない。
「良い攻撃だったぞ、サトル。」
「なんならアルさんも、うまくゴブリンを怯ませてくれたおかげで簡単に倒せましたよ。ありがとうございます。」
お互いを褒め合い、絆が深まった俺達は倒したゴブリンの魔石を回収し、更に森の奥へ進んでいく。すると………
「「ギッシャァァァァァッ!!」」
突然、ニ体のゴブリンが木の陰から飛び出して襲いかかって来た。
「うおッ!?危ねえッ!?」
ゴブリン達の奇襲を何とかアルさんが大盾で防いでくれたおかげで俺達はダメージを受ける事は無かった。
「こんのッ!」
「グギャアッ!!?」
そして、アルさんはその直後に腰の鞘から剣を引き抜き、間髪入れずにゴブリンの一体にトドメを刺す。
「サトルッ!!!」
「はいッ!!!」
アルさんから掛け声がかかった瞬間、俺はもう一体のゴブリンに向けて駆け、そのまま剣で首を跳ね飛ばす。
どうでもいいかもしれないが、俺が首を跳ね飛ばす事に拘るのは、これが一番トドメを刺すのに適していると考えているからだ。首を跳ね飛ばされて生きている生物など、まずいない。
「今のは危なかったですね……。」
「ああ、まさかゴブリンが不意打ちを仕掛けて来るとはな……。奴らも人間に慣れてきてやがるのか……。」
「次は周囲に気をつけて慎重に進みましょう。」
「そうだな。」
先程倒したゴブリンの魔石をすぐに回収し、
俺達は慎重に歩を進める。
………その先にさらなる脅威が待っているとも知らずに………。
お読みいただきありがとうございました!
もしも面白いと感じたら、是非とも高評価をお願いします!