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第一話 異世界生活の始まり

気がつくと、俺は薄暗い路地裏のような

場所にいた。

勿論だが、人の気配はない。

恐らく、人目を避けるためにアリシア様が

俺をこの場所に転生するようにしたのだろう。


(少し、歩いてみるか………。)


そうして少し歩いてみると、

薄暗いこの場所には似合わない一筋の光が

差し込んでいた。

よく見ると、そこにはこの路地裏の出口があった。

俺はその出口に向けて歩いていった。

そして、出口の近くまで来ると………


「すげぇ………ここが異世界か………。」


その先には多くの人々が行き交う活気のある

中世ヨーロッパ風の街が広がっていた。

道を通る人々を見てみると、所々に

動物の耳や尻尾が生えた獣人や

長い耳と美しい容姿を持ったエルフのなどの

亜人種の人々がいた。

それらを見ると、本当に異世界に来たんだなと

深く実感した。


(…………ん…………?)


どうしてか、俺を見た通行人がクスクスと

笑っていた。

中には爆笑しそうになっても必死に耐えている

人もいる。


(何だ?俺に何かあるのか?)


そうして、自分自身を見てみると、

その原因がすぐさま分かった。


(あッ!?俺今、パジャマだ!!?)


そう、パジャマを着ていた。

異世界転生した際に着ている服は

死んだ時に着ていた服のままで転生するらしい。

勿論、足も裸足だ。

それに気づいた俺は猛烈に恥ずかしくなり、

咄嗟に服屋を探すため、街中に飛び出した。




「はあ………転生直後に酷い目にあった………。」


何とか服を購入したが、俺は落ち込みながら

街中を歩いていた。

ちなみに、今の俺の服装は黒のインナーの上に

亜麻色のTシャツと黒の半ズボン着用し、

靴は黒のブーツを履いている。

なんとも黒が多いファッションである。

そして、服を買うとき、店員に変人を

見るような目で見られたことも忘れていない。

いや、忘れたくても忘れられないくらい

深く傷ついている。


「更には185ゴールドの出費って………

 この世界の新品の服って高いんだなあ………。」


思わぬ出費が出てしまったが、まだ2815ゴールド

余っている。今回の目的を果たすことに

支障は無い。


「まあ、とりあえず冒険者ギルドを探すか……。」


俺の目的、それは冒険者になることだ。

異世界転生モノのラノベの定番中の定番、

俺も一度はなってみたいと夢見た職業だ。


「すみません、冒険者ギルドってどこに

 ありますか?」


俺は早速、近くにいたガタイのいい男に

冒険者ギルドの場所を聞いてみる。


「あ?何言ってんだ兄ちゃん。

 冒険者ギルドならそこにあるだろ?」


「え?」


男の指さした方向を見ると、そこには

最早【砦】とでしか言いようがない建物が

あった。


「思ったよりも近かった!?つーかデケェ!?」


俺がそう驚くと今度は男が話しかけてきた。


「兄ちゃん、もしかして冒険者志望かい?」


「え?はい。」


「そうかそうか!ははは、だったら頑張んな!

 もう知ってるだろうが、この【迷宮都市レギオ

 ン】は冒険者にとっては宝の山ばかりだからな!

 ガンガン稼いできな!!」


どうやら、俺が今いる街の名前はレギオンという

らしい。しかも、ガンガン稼げる。


(冒険者にとっては宝の山!?更にガンガン稼げる!?

 何だその夢のような街!?最高じゃねぇか!!)


「ありがとうございます!!」


これはモタモタしてられないと、俺は男に

お礼を言い、すぐさま冒険者ギルドへと向かった。




ギルドの中に入ると、そこは多くの個性豊かな

冒険者達がクエストボードで依頼を探したり、

酒場スペースで祝杯を上げたりしている

賑やかな場所だった。

俺は冒険者登録を済ませるために、

ギルドの受付へ行き、そこにいる受付嬢に話しかけた。


「すみません、冒険者登録をしたいんですが……。」


「はい、登録ですね。まずは手数料として

 30ゴールド必要なのですが、そちらは……。」


予想通り手数料がかかったため。

俺は魔法の袋(以後、袋とよぶ)から

銀貨1枚を取り出し、提出した。


「これでお願いします。」


「はい、100ゴールドですね。確かに受け取りました。そして、こちらはお釣りの70ゴールドです。」


受付嬢が銀貨を受け取り、お釣りを渡すと、カウンターから羽ペンとインク、1枚の白いカードを差し出してきた。


「それではこのギルドカードにご署名をお願いしま

 す。」


俺は指示通りにギルドカードに自分の名前を書き、

受付嬢に提出する。

ちなみに、この世界の言語はアリシア様の力で読めるようにしてもらっているので、読み書きは問題ない。


「はい、確かに。それでは次に………」 


次は画鋲(がびょう)のようなものを差し出してきた。


「こちらの針で指先を切り、ギルドカードに

 血印を押してください。」


俺は言われるがままに指先を切り、ギルドカードに

血印を押した。

すると、ギルドカードが発光し、血印が消えた。


「はい、これでこのギルドカードは貴方のもの

 なりました。仕組みは秘密ですが、このギルド

 カードに貴方以外の者が触れると……」


そう言って受付嬢が俺のギルドカードに触れると、

ギルドカードがたちまち黒く変色していった。


「このように黒く変色します。これで、

 ギルドカードの偽装の防止をしています。

 勿論、身分証明書にもなりますので、

 ギルドカード常に携帯することをおすすめ

 します。」


(なるほど、偽造防止か。更に身分証明にもなるのか……。)


「ちなみに、登録者本人が触れると元に戻りますので、ご安心ください。」


そう言われて俺がカードに触れると、

言われた通り、カードの色が元に戻った。


「それでは、先程切った指先を治療いたしますので、

切った指先を出してください。」


(治療?)


俺は言われるがままに指先を差し出すと、受付嬢はその指先に手をかざし………


「傷よ癒え、【ヒール】。」


彼女がそう呟くと、彼女の手の平が淡く黄緑色に輝き、俺の指先の傷口が徐々に塞がれていった。


(これって……魔法!?)


この世界に来てから初めて、俺は魔法を見た。

この衝撃の瞬間は、俺を更に異世界に来たんだなあと実感させた。


「はい、これで治りましたよ。それでは、これで登録は終了しましたが、ここからランクと注意事項について説明します。」




受付嬢から聞いた話によると、こうらしい。

まず、冒険者のランクはF〜Sまで存在していて、

ランクごとにカードの色が下のように変化するらしい。


  •Fランク 白

  •Eランク 灰色

  •Dランク 青

  •Cランク 緑

  •Bランク 赤

  •Aランク 銀

  •Sランク 金


勿論、ランクが高ければ高いほど、

高難度な依頼を受注できたり、様々なダンジョンに 

潜る事ができるようになる。

そして、最初は誰でもFランクから始まるとの事だ。


続いて、注意事項は以下の事がある。


1,最後に受注した依頼から半年間依頼を受注しな

 かった場合、登録は抹消される。


2,1で登録を抹消された場合、再発行してもFラン

 クから始まる。


3,ギルドカードの再発行を行う場合、手数料で10

0ゴールドを請求される。


4,ギルドに不利益をもたらすような問題を起こし

 た場合、登録を抹消され、二度と登録できなく

 なってしまう。


以上が、ランクと注意事項の説明だ。




「これで、貴方は冒険者の一人となりました。

 それでは、優雅な冒険者ライフをお過ごしく

 ださい。」


「はい、ありがとうございました。」


冒険者登録を無事終えた俺は、依頼を受注するため

に、クエストボードへ向かった。










お読みいただき、ありがとうございます!

面白いと感じたら、是非とも高評価をお願いします!

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