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ep15.謎の冒険者

「ひ、秘密……?」


 なんだ、秘密って?!


「ふふっ、教えてほしいですか?今日一緒に過ごしたら、わかっちゃうかも……です」


 照れながらもルルは、耳元で囁いた。


「それとも、もう、バレちゃってますか?ルルが……な事」


「うん?何?」


「……き、聞こえなかったんですか?もう一回は恥ずかしいですよぅ……」


 俺はこれは夢なんじゃないか?とすら思った。

 というか、ガチャ画面で微笑んでいた彼女が、俺の目の前でこんな触れられる距離にいることも、今更信じられなくなった。


「……本当に、ルルなのか……」


 俺は思わず、ルルの頬に触れた。


「ユウリさん、はい。ルルですよ」


「ルル……」


「嬉しいです。ルルの事、もっと知りたいですか?ルルは……ユウリさんのこともっともっと知りたいなって」


「本当に今日はどうしたんだよ、ルル」


「ルルのこと、忘れちゃいやですよ……ルルが……もしも明日死んじゃっても、ルルを覚えていてほしいから」


 ルルは、まだ心のどこかで心配していたんだ。自分が死ぬかもしれないという、その日を怖がっていたんだ。


「もちろんユウリさんのことは信じてます。でも、いざ……その日が近づくと、少し怖くなっちゃいました」


 「ルル……大丈夫。俺が絶対に死なせないようにするから。明日はずっと一緒にいよう」


「明日だけじゃ嫌です。その……ずっと……じゃないと……」


 ルルは急にもじもじと目を逸らす。

 俺がルルの髪を撫でると、ルルは恥ずかしそうにふふっと笑った。


 ……


 ……


「ちょっとー、なんで鍵とか閉めてるのよー、やらしーな〜?」


 その声でハッとした。

 どうやら、寝ていたみたいだ……。隣には、すやすやと眠るルルの姿。

 カーテンから覗く光がキラキラと輝いている。

 どうやら、あのまま疲れて朝まで眠ってしまったらしい。

 あの後、エルダに話を聞いてなかったな……。まあ、今日聞くか。


「リリ、おはよう」


 そう言って鍵を開けると、リリは「秘密にしといてあげますね〜」とニヤニヤ笑った。


「べ、別に何もないって」


「え〜?ほんとに〜?あっ、ルルも起きたかな〜」


「おはようございます、ユウリさん、リリ」


 ルルは少し眠そうに目をこすりながら、ぱぱっとベッドを整える。


「朝食の用意、できてるから〜はやくきてよねー」


 リリは先にぱたぱたと行ってしまった。


「ルル、いこうか」


「はいっ」



 今日の食事は、昨日とは違って見た目も綺麗な料理が並んでいた。ミリアとヴィオ、リリが手伝ったらしい。

 そして、今朝はエルダも食卓を囲んでいた。

 なんとも言えない光景だな……。


 食事をしながら、俺は話を切り出した。

「あのさ、魔族の情報を教えてもらうって話だけど。今、いいかな」


「いいぜェェ!何でも、聞いてくれよ!」


 やたらと元気なエルダに、一同は少し笑った。

 

 「まずさ、その、空から落ちてきた占い師っていうのは…」


「それはまったくわからネェ。この世界の未来を占えるって言ってたぜェ」


 この世界のこと占える……?単純な占い師なのか?それとも俺と同じようにシナリオを知っているのか……?いや、それはあり得ないよな?

 でも、そんなやつはシナリオにいない。一体……。


「占いは当たるのか?」


「外れたことがネェ」


 パンを頬張りながらエルダは答える。


「どんな方なのかなー。イケメンさんですかぁー?」


 リリが少し興味ありげに身を乗り出す。


「まあまあなやつだったゼェ?」


「で、たとえばどんな占いを……」


 と、口を開きかけたが、途端にギルドのスタッフが慌てた様子で部屋に入ってくる。


「あの、お食事中失礼します。先程ギルドに来られたお客様から伝言がございまして……」


 一同は顔を見合わせる。


「なんだ?そんな緊急なことか?」


「すぐ伝えろとおっしゃられまして……魔族側に妖精を渡さなければ、この妖精の地を焼く、と……」


 なんだそれ?物騒な伝言だな。妖精ってのは、リリかルルか。召喚の力が欲しいのだろう。


「なんだ、そいつ……魔族か?」


「いいえ、冒険者の方でした」


「わかった、伝言ありがとう」


 冒険者で……魔族側?なんなんだ、ソイツは。

 ルルのフラグは完全に阻止できたわけではないかもしれないという思いが浮かんだ。


「どういうことでしょうか……怖いです」


「ルル、大丈夫。絶対渡しはしないよ」


 とりあえず、アプデ日の明日を超えるまでは安心はできない。しかし、ルルを隠して逃げていても魔族は攻めてくるだろう。


 魔族にはこちらから出向いて話をつけてやる。その冒険者とやらも、顔を拝ませてもらおうじゃないか。


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