ep16.回復の薬
食事を終えると、俺たちはすぐに発つ準備をした。
ルルは安全な冒険者ギルドに残った方が良いかもしれない、とは思ったが、その気はなさそうだった。たしかに、ギルドに残した後の安否が気になるからな。俺やミリア、ヴィオがそばにいる方がルルを守れると踏んだ。
「ルルは、ルビーがあればそれを変換して武器召喚なんかも出来ますよ!」
「おっ、ちょっとさー、あたしのルビーをあげるから、一回ガチャしてみなよ。ユウリ」
ミリアが五ルビーを手渡してきた。
「いいのか?」
「まっ、助けてもらったし、お礼ってことで。ちょっと少ないけど」
「助かるよ。ルル、お願いできるか?」
「はい!」
ルルが杖を振りかざすと、青色の光が——まてこれ、この演出見覚えあるぞ。
光の中からは、N武器が生成された。
「……前と同じやつだ」
「あっははは!」
ミリアはユウリの持っているN武器と全く同じ武器が生成されたことにおおいに笑った。
「ご、ごめんなさい……」
しょぼんとするルル。
「全然、前のより、新品でキレイ」
ヴィオが精一杯のフォローを入れる。
「まあ、二本あれば……あ、これを合成できるかな、ルル」
俺は前回引いたN武器も取り出してルルに差し出す。
N武器同士の合成でR武器になるはずだ。
「あっ!そうですね!いい考えです!」
ルルがまた杖を振りかざすと、二本の武器は一本に錬成され、若干豪華な装飾になったR武器としてユウリの前に降臨した。
「こうやってどんどんN武器を錬成していってSSRを目指しちゃうのもありじゃない?」
ミリアが面白半分と言った顔でユウリを見る。
「何本必要だと思ってるんだ……」
◆◇◆◇◆
「それじゃあ、いってきます!」
ギルドに残ったエルダとリリに見送られながら、俺たちは魔族の地へ旅立つ。魔族の森を抜けて、その先には妖精の街がある。さらにそこを抜けたら、魔族の住む地だ。まずはそこを目指すことにした。
伝言を残した冒険者がどこにいるのかは知らないが、これが魔族の意志ならば、魔王も知っていることだろう。魔王に会えば冒険者とやらも出てこずにはいられないだろうし、ちょっと魔王に話をつけてくるか。
この戦いの首謀者は魔王だしな。
魔族の森に入ると、相変わらず森は鬱蒼とはしていたが、あの時のような嫌な感情はなかった。どこか明るくさえ感じる。こうも景色が変わって見えるんだな。
「ユウリお兄ちゃん、僕の家に寄ってほしい……」
ヴィオの家の近くを通った時、ヴィオが突然俺にそう告げてきた。
「いいよ。寄ろうか」
「荒らされちゃってたわよね。お片付けしなきゃね」
「ううん、それはいいの。あのね」
ヴィオはとてとてと駆け足で家に向かう。
家に入ると、荒らされた部屋が目に飛び込んでくる。薬草が散らばり、簡素な家具は倒れていた。
ヴィオは倒れた本棚から本を一冊選び、その本をぱらぱらとめくった。そして簡単な呪文を唱えると、部屋の真ん中には薬草で生成されたと思しき、ライフポーションがたくさん現れたのだった。
「わぁ、すごいですね。これはどうしたんですか?ヴィオちゃん」
ルルが驚く。
「僕が作ったの。いざという時のために……。僕は身体が弱かったから。でももう、元気になったよ。だから、これはユウリにあげる。使って」
「いいのか?助かるよ」
「助かる〜〜!回復アイテムは重要よ。あたし、ヒーラーじゃないから回復はあんまりだし。DPSのが得意だわ」
ミリアがSSRの剣を構えながら言う。
「私も、召喚士ですから、回復はそこまで……ですね。これはすごく助かりますね」
ライフポーションをヴィオの収納魔法で収納する。
「この本は僕の魔法の源。僕は闇魔法しか使えないけど……。僕も、戦うから」
そう告げるヴィオは少し大人びた表情をしていた。その目は、ただのサブキャラクターであったとは思えないほどに、"生きていた"。
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