渋カジ
「いいわよ。わかったわ。私が書籍化作家になったら考えるわよ。
じゃ、今から私、アニメ化決まったWEB作家の設定ね。
で、私立調査班は存在している設定で。そうね。大学生がいいわ。
ついでに卒業論文とか考えてる、そんな男子学生で、千葉のFラン大学に在学してるわ。」
作者はほうじ茶のおかわりを頼みながら、少しやけになりながら話し始める。
「Fラン大学と明記するのは、あまり宜しくはないと思いますが。」
Fラン大学とはあまり偏差値のよくない大学の俗称です。そのような単語を使って物語を設定しては不快に感じる読者も登場するかもしれません。
「は?別に発表しないし、ごっこ遊びだってば!それに、有名大学の優秀なエリート学生がラノベの謎なんて追いかけないでしょ?将来、総理大臣とか偉い人を目指すんだもん。それに、こういうのはあまり世間でよく思われない、そんな立場の人物が主人公でしょ?ある意味、SFミステリーのお約束。不快に感じたりしないわよ。
それに、先生まで偏差値が低いとは限らないじゃない。」
と、作者はさらさらと変人天才物理学者を作り出して、彼にピアノの演奏をさせた。チャイコフスキーの『花のワルツ』
「ほら、チャイコフスキーだって、生まれた時から音楽家の運命ではなかったのよ。天才は、至る所で燻ってるのよ。それでいいの。まあ、学生を考えよう。
名前は、小林芳雄にしようか。」
作者は笑った。
「地味なキラキラネームですね。」
私は嫌味を言った。小林芳雄はよくある昭和の男子の名前であり、江戸川乱歩の少年探偵団の団長の名前でもあるのです。
「うん。まあ、わかりやすくていいでしょ?」
「それでは、先生は明智小五郎ですか。」
私は呆れた。
「ああ、それいいね。じゃ、彼らに依頼しようか。」
作者は笑う。
「はい。では、小林青年を召喚しましょうか。」
私は好青年の小林芳雄をこの空間に生成した。
そのキラキラな名前とそれに見合うキラキラのスター性に作者は言葉もなく立ち尽くす。
小林芳雄 身長187cm 襟の小さなカッターシャツに細身のパステルカラーのニットネクタイ DCブランドの襟なしのジャケットを腕捲りで着ている。
ピンクベージュのボストンフレームのレンズ部分の広いメガネ姿で、ビンテージもののジーンズをラフに履いている。
そして、少し間を置いてからこう、呟いた。
「懐かしー、この格好って、渋カジとか言うスタイル、じゃないかな???」
作者は小林青年を見て、それから後方の私の方を首だけ動かしてみた。そして、低く地獄の亡者の嘆きのような声でこう聞いた。
「この人、いつの時代の人??」




