エピローグ
本作は全話執筆済みです。
完結まで毎日1話ずつ更新する予定ですので、安心してお楽しみください。
統一暦19年7月23日木曜日
明日は終業式で、一学期の終わりが迫っていた。第一大学附属高等学校での生活にも慣れ、副会長の業務も問題なく回せていた。
「会長、この箱に入った書類にサインお願いします。」
「わかったよ、ありがとうイリス君。」
望まずなった副会長だったが、務めてみると案外楽しかった。
「エリーとエリカ殿下とフロレンツ先輩、そろそろ書類締めたいんですけど、会長のサイン必要なのありますか?」
「僕のところは特にないかな。」
「私も同じくですわ。」
「私もだよ、イリ。」
「はーい。じゃあ今学期分の書類はこれで終了かな。」
「そうだね、あとは僕がサインするだけだね。仕事が終わったら帰ってくれていいよ。」
「それじゃあお言葉に甘えて、エリーはどう?仕事終わった?」
「えぇ、終わったわよ。」
「じゃ!一緒に帰ろ~。」
「そうしましょうね。」
「二人とも、忘れ物には気を付けるんだよ。」
「はーい、えっとたぶんなし!」
「たぶんって…それじゃあこの消しゴムはどなたのかしら?」
「あっ、私のだ!エリーありがとね。」
「やっぱりあなた、変なところが抜けてますわね。」
「ひどい言い方だな~。」
役員室を出ると二人は並んで帰る。すでに夕日がさしていた。
「夕日ってきれいだよね~。」
「えぇ、そうですわね。」
「まぶしくてずっと見ていられないのが残念かな?」
「あら、あなたなら太陽を見れるようにするのは、魔法でできるのでは?」
「やってみたけど、夕日のきれいさがなくなった。ただ、星を見ているだけだったよ。」
「それは残念でしたね。まあ、一瞬しか見られないからこそ価値があるのでは?」
「あっ、その考え方いいね!採用~。」
「それはそうと、副会長の仕事、今では様になっていますわね。」
「誰のせいでやる羽目になったと思ってるんだ~!」
「さあ、誰でしょうね?署名欄を確認せず名前を書いた人のせいでは?」
「だましたそっちの方が悪いでしょ!」
「さあ何のことかしら。」
「これからエリーのこと、詐欺師って呼ぼうかな。」
「詐欺師とはひどい言い方ですわね。」
「自分の行いを反省しろ~!」
「明日で一学期も終わりですわね。」
「そうだね、あっという間だったね。」
「二学期も、その先もあっという間に過ぎ去るのでしょうね。」
「そうだね。でも、あっという間でもその時その時を楽しめばいいんじゃない?」
「あら、イリもたまにはいいこと言いますわね。」
「褒められた感じがしない…。」
「それは受け取り方の問題ですわ。」
「やっぱり褒められてないよ~。」
夏の風が、二人の間を吹き抜けていく。
春風はとうに過ぎ去った。それでも、あの春に始まった学園生活は、まだ始まったばかりだった。




