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春風は魔女の名をまだ知らない  作者: カエデ
エピローグ

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13/13

エピローグ

本作は全話執筆済みです。

完結まで毎日1話ずつ更新する予定ですので、安心してお楽しみください。

 統一暦19年7月23日木曜日


 明日は終業式で、一学期の終わりが迫っていた。第一大学附属高等学校での生活にも慣れ、副会長の業務も問題なく回せていた。


「会長、この箱に入った書類にサインお願いします。」

「わかったよ、ありがとうイリス君。」


 望まずなった副会長だったが、務めてみると案外楽しかった。


「エリーとエリカ殿下とフロレンツ先輩、そろそろ書類締めたいんですけど、会長のサイン必要なのありますか?」

「僕のところは特にないかな。」

「私も同じくですわ。」

「私もだよ、イリ。」

「はーい。じゃあ今学期分の書類はこれで終了かな。」

「そうだね、あとは僕がサインするだけだね。仕事が終わったら帰ってくれていいよ。」

「それじゃあお言葉に甘えて、エリーはどう?仕事終わった?」

「えぇ、終わったわよ。」

「じゃ!一緒に帰ろ~。」

「そうしましょうね。」

「二人とも、忘れ物には気を付けるんだよ。」

「はーい、えっとたぶんなし!」

「たぶんって…それじゃあこの消しゴムはどなたのかしら?」

「あっ、私のだ!エリーありがとね。」

「やっぱりあなた、変なところが抜けてますわね。」

「ひどい言い方だな~。」


 役員室を出ると二人は並んで帰る。すでに夕日がさしていた。


「夕日ってきれいだよね~。」

「えぇ、そうですわね。」

「まぶしくてずっと見ていられないのが残念かな?」

「あら、あなたなら太陽を見れるようにするのは、魔法でできるのでは?」

「やってみたけど、夕日のきれいさがなくなった。ただ、星を見ているだけだったよ。」

「それは残念でしたね。まあ、一瞬しか見られないからこそ価値があるのでは?」

「あっ、その考え方いいね!採用~。」


「それはそうと、副会長の仕事、今では様になっていますわね。」

「誰のせいでやる羽目になったと思ってるんだ~!」

「さあ、誰でしょうね?署名欄を確認せず名前を書いた人のせいでは?」

「だましたそっちの方が悪いでしょ!」

「さあ何のことかしら。」

「これからエリーのこと、詐欺師って呼ぼうかな。」

「詐欺師とはひどい言い方ですわね。」

「自分の行いを反省しろ~!」


「明日で一学期も終わりですわね。」

「そうだね、あっという間だったね。」

「二学期も、その先もあっという間に過ぎ去るのでしょうね。」

「そうだね。でも、あっという間でもその時その時を楽しめばいいんじゃない?」

「あら、イリもたまにはいいこと言いますわね。」

「褒められた感じがしない…。」

「それは受け取り方の問題ですわ。」

「やっぱり褒められてないよ~。」


 夏の風が、二人の間を吹き抜けていく。

 春風はとうに過ぎ去った。それでも、あの春に始まった学園生活は、まだ始まったばかりだった。

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