中編
大広間に、フェリクスの声が響き渡った。
王立学園の卒業祝賀会は、単なる生徒たちの祝いの席ではない。卒業生の家族はもちろん、王族や高位貴族、将来有望と目される若者たちの後見人まで招かれる、社交界でも重要な催しの一つだった。
まして今年は、卒業生の中に王太子フェリクスと、その婚約者であるカトリーヌ・セインフォード公爵令嬢がいる。王家と公爵家の次代を担う二人の晴れ姿を見届けようと、会場には例年以上に多くの貴族たちが集まっていた。
その誰もが見守る中で放たれた婚約破棄の宣言に、華やいでいた会場は水を打ったように静まり返った。
フェリクスの隣には、鮮やかな桃色の髪をしたミレイユがいる。若草色の大きな瞳を潤ませ、不安そうに王太子の腕へ縋っていた。その背後には、フェリクスと親しい数人の令息たちも控えている。
「殿下ぁ……」
「大丈夫だ、ミレイユ。もう誰にも我々の愛を邪魔させない」
フェリクスは、これですべてが決着すると信じて疑わない様子だった。
対するカトリーヌは、驚くほど静かだった。
「婚約破棄、でございますか」
「そうだ!」
「王家とセインフォード公爵家が十年以上前に結んだ婚約を、この場で?」
「私には真実の愛がある!」
「なるほど」
カトリーヌは小さく頷いた。
「では、陛下のご許可も得ておられるのですね」
「……何?」
「王太子の婚姻は、王家だけの問題ではございません。まさか陛下にも王妃陛下にもご相談なく、卒業祝賀会の余興のように破棄を宣言なさったわけではございませんでしょう?」
「そ、それは……」
フェリクスの勢いがわずかに削がれた。
ミレイユが彼の腕を引く。
「殿下ぁ。カトリーヌ様は、また殿下を責めていらっしゃいます」
「そうだ! そなたはいつもそうだ!」
フェリクスは勢いを取り戻したように、カトリーヌを指さした。
「そなたはミレイユを虐げた!」
「具体的には?」
「彼女を階段から突き落とした!」
「いつですか?」
「先月十七日の午後だ!」
「その時間、私は王妃陛下のお茶会に出席しておりました」
ざわり、と会場が揺れた。
「王妃陛下を含め、十二名のご婦人が証人となります」
「な、ならば、ミレイユの教科書を破いたことはどう説明する!」
「私が破いたところをご覧になったのですか?」
「ミレイユがそう言っている!」
「では、殿下ご自身はご覧になっていないのですね」
「ミレイユが嘘をつくはずがない!」
ミレイユも大きく頷いた。
「本当です! 私の教科書が破られていたんですぅ」
「それを私が破いたという証拠は?」
「だって、私を嫌っているのはカトリーヌ様ですもの」
「つまり、証拠はないのですね」
「でも……!」
フェリクスが苛立たしげに声を上げた。
「そなたは令嬢たちにも命じて、ミレイユを孤立させただろう!」
「本当です! 皆様、急に私を避けるようになったんですぅ!」
カトリーヌは静かにミレイユを見た。
「では、お聞きします。この一年で、あなたが特に親しくされた男性を覚えていらっしゃいますか?」
「え?」
「子爵家嫡男。伯爵家三男。侯爵家次男。そしてフェリクス殿下」
「……それが何ですかぁ?」
「全員、あなたが親しくされていた当時、婚約者がおりました」
令嬢たちの視線が一斉にミレイユへ向かう。
「皆様が距離を取ったのは、私が命じたからではございません。ご自分の婚約者へ近づかれることを警戒したためです」
「でも……」
ミレイユは困ったように瞬いた。
「その方たちが、私を好きだと言ってくださったんですよぉ?」
「だから?」
「え?」
「好かれたら、相手に婚約者がいても構わないのですか?」
「だって、その人が私を選んだのなら、婚約者の方が身を引けばいいでしょう?」
「なぜです?」
「だって……選ばれなかったのだから」
大広間が静まり返った。
ミレイユは本気で不思議そうだった。
「好きでもない人と結婚するなんて、可哀想でしょう?」
「婚約とは、好き嫌いだけで結ばれるものではありません」
「でも、愛がないなんて……」
「私が殿下を愛していないと、なぜあなたに決めつけられなければならないのです?」
「だって、殿下に厳しいことばかり……」
カトリーヌはそこでミレイユから視線を外し、フェリクスを見た。
「公務を果たしてください。国費を私用に使わないでください。外国使節を待たせないでください。私が殿下に申し上げてきたのは、王太子として当然のことだけです」
フェリクスが顔を歪めた。
「だから息が詰まったのだ!」
「王太子の責務が息苦しいのであれば、最初からその座を降りればよろしかったでしょう」
その瞬間、大広間の扉が開いた。
「そのとおりだ」
低い声が響いた。
国王だった。その隣には王妃もいる。二人とも苦々しい表情を浮かべ、国王は眉間に深い皺を刻み、王妃は固く唇を引き結んでいた。
フェリクスの顔から、さっと血の気が引いた。
「ち、父上……」
「その口で余を父と呼ぶな」
国王の声には、一切の温度がなかった。
「余は、お前にこの婚約破棄を許可した覚えはない」
「ですが、私はミレイユを愛しております!」
「だから何だ」
「……え?」
「余が問うているのは、国王としての許可だ。お前の恋心ではない」
フェリクスは言葉を失った。
国王が合図すると、文官が分厚い帳簿を持って進み出る。
「王太子殿下がこの一年でハートリー男爵令嬢へ贈られた品々です」
宝石。
ドレス。
香水。
別荘への旅行。
高級菓子。
次々と金額が読み上げられていく。
会場からどよめきが起きた。
「そのうち、フェリクス殿下に認められていた私的な予算では足りず、約四割が王太子府の公務費から支払われています」
「な……」
「さらに帳簿上は『外国使節接待費』『孤児院視察費』『地方行政調査費』として処理されています」
「私は知らない!」
「では、誰が命じた?」
「それは……」
フェリクスが背後の取り巻きを振り返った。
令息たちの顔色が一斉に変わる。
「殿下がお望みだったので……」
「我々はただ……」
「殿下のために……」
「なるほど」
国王がフェリクスへ厳しい視線を向けた。
「では、一人ずつ調べればよい」
別の文官が一歩進み出た。
「すでに調べは済んでおります」
帳簿の改竄。
支出承認印の不正使用。
不正な支出に異議を唱えた文官への圧力。
さらに、帳簿の処理を拒んだ会計官を担当から外そうとした形跡まであった。
取り巻きたちは次々と青ざめていった。
「そんな……」
「殿下が王になれば、我々は……」
「我々は?」
国王が目を細める。
「何になるつもりだった?」
誰も答えられなかった。
「フェリクス」
国王が息子を見る。
「今この時をもって、お前を廃太子とする」
「父上!」
悲鳴に近い声が上がった。
「お待ちください! そんな……私は、次の王になるはずです!」
「今まではな」
「王位は私が――」
「継がせない」
短い言葉だった。
「お前が失ったのは婚約者だけではない。国庫を私物化し、確かめもせず虚偽を信じ、セインフォード公爵家の令嬢を公衆の面前で断罪した。そのうえ、側近たちによる不正を止めるどころか助長した。お前に人の上に立つ資格はない」
フェリクスは真っ青になった。
「では……私はどうなるのです?」
「辺境へ行け」
「……辺境?」
会場の一部から、小さなどよめきが起きた。
「辺境騎士団で、一から鍛え直してもらう」
「なぜ騎士団に!?」
「安心しろ。お前だけではない」
国王の視線が取り巻きたちへ向いた。
「全員一緒だ」
「え……」
「そんな!」
「私は侯爵家の……!」
「私は剣など握ったことが――」
「ちょうどよい」
国王は冷たく切り捨てた。
「下働きからやり直してこい」
フェリクスたちが言葉を失う中、国王の視線がゆっくりとミレイユへ向けられた。
その目には、王太子をここまで増長させた娘への嫌悪が隠されていなかった。
「お前が、ミレイユ・ハートリー男爵令嬢だな」
「は、はい……」
若草色の瞳に涙が浮かぶ。
「国外追放とする」
「……え?」
ミレイユは意味を理解できないように瞬きをした。
「ど、どうしてですか?」
「セインフォード公爵令嬢を陥れるため、複数の虚偽を申し立てた」
「でも……」
「王太子に国費で贈り物を買わせ、それを知りながら受け取り続けた」
「私、国のお金だなんて知りませんでした!」
「最初はな。だが途中で、王太子府の会計官から返却を求められている」
「それは……」
「そのとき、お前は何と答えた?」
文官が報告書を読み上げる。
「『殿下がくださったものを返すなんて、殿下のお気持ちを踏みにじることになります』と」
「だって、本当にそう思ったんです!」
ミレイユは涙をこぼした。
「私は殿下を愛しただけなのに!」
「愛情は、罪を帳消しにする理由にはならぬ」
国王の声は冷たかった。
「でも!」
ミレイユはカトリーヌを見る。
「カトリーヌ様は、殿下を愛していないじゃありませんか!」
「あなたに、私の感情を決められるいわれはありません」
「好きなら自由にしてあげるはずでしょう!」
「違います」
カトリーヌはきっぱりと言った。
「愛する相手が間違った道へ進もうとしているなら止めます。それを、嫌われたくないからと見て見ぬふりをすることを、私は愛とは呼びません」
ミレイユの唇が震えた。
「お母様は……」
「何です?」
「お母様は、愛される女が一番幸せだって。愛されれば、最後には何でも手に入るって……」
参列者の中から、一人の女が自ら進み出た。
「そう教えましたわ」
ミレイユの母だった。
その少し後ろには、ハートリー男爵の姿もある。男爵は青ざめていたが、後妻はまだ状況を理解していないのか、どこか不満そうな表情を浮かべていた。
「ミレイユは悪くありません」
「お母様!」
「この子はただ、殿下に愛されただけです」
女は娘を庇うように立った。
「悪いのは、婚約者なのに殿下のお心を繋ぎ止められなかったセインフォード公爵令嬢ではありませんか?」
大広間が凍りついた。
国王すら一瞬、言葉を失った。
だが、その沈黙を破ったのは別の女性だった。
「それでは」
静かな声が響いた。
クラリッサ・ハートリーが進み出た。ミレイユの異母姉であり、ハートリー男爵と亡き正妻との間に生まれた娘だ。
華やかな妹とは対照的な、落ち着いた栗色の髪をきっちりと結い上げ、深い茶色の瞳をまっすぐ前へ向けている。その顔には緊張が滲んでいたが、背筋は伸び、凛として立つ姿に怯えはなかった。
「お義母様も、同じことをなさったのですね」
後妻の顔が強張った。
「クラリッサ」
「私の母には、父という夫がいました。それでも、お義母様は父と関係を持った」
「それは……」
「父がお義母様を愛したから、妻である母が身を引くべきだったと?」
「男女の気持ちは、理屈では――」
「母は死にました」
クラリッサの声が震えた。だが、目は逸らさなかった。
「父が領政を放り出し、お義母様のもとへ通っている間も、母は一人で働き続けました。領民のために。家のために。私のために」
「……」
「そして母が亡くなったあと、お義母様は後妻としてハートリー家へ入り、母の次は私に我慢を求めましたね」
クラリッサが一歩前へ出る。
「『あなたはお姉さんでしょう』」
「……」
「『ミレイユは今まで何も持てなかったのだから、少しくらい譲ってあげなさい』」
「それは姉として当然でしょう!」
「何を譲るのが当然なのですか?」
初めて、クラリッサの声が強くなった。
「私のドレスを?」
「……」
「私が大切にしていた髪飾りを?」
「……」
「私が出るはずだった夜会を?」
「あなたにはまた次が――」
「ありませんでした!」
後妻が息を呑んだ。
「次も、その次も、ミレイユに譲らされました」
「ミレイユはそれまで何も持っていなかったのよ! あなたにはたくさんあったでしょう!」
「だから何なのです?」
クラリッサの問いに、後妻は言葉を失った。
「私にたくさんあれば、取り上げていい理由になるのですか?」
「取り上げるだなんて」
「では何です?」
「家族で分け合っただけよ」
「分け合った?」
クラリッサの口元に、かすかな笑みが浮かんだ。けれど、その目は少しも笑っていなかった。
「では、ミレイユから私には何が与えられたのです?」
「……え?」
「私ばかりが差し出して、ミレイユは受け取る。それを『分け合う』とは言いません」
後妻の唇が震えた。
クラリッサはミレイユを見る。
「ミレイユ」
「お姉様……」
「あなたは昔、私に言ったわね。『お姉様は何でも持っているんだから、一つくらい私にくれてもいいでしょう』と」
「……」
「私は何でも持っていたわけじゃない」
クラリッサの目に涙が浮かぶ。
「私に残っていたものを、あなたたちが一つずつ奪っていっただけよ」
ミレイユが首を振った。
「違うわ。私は……お姉様がいいって言ったから」
「言わなければ、お義母様に叱られたからです」
「でも……」
「私は一度も、喜んで譲ったことなどない」
ミレイユの顔が強張った。
初めて、自分が見ていた世界と姉が見ていた世界が違っていたことに気づいたようだった。
「そんな……」
「あなたは知らなかったのかもしれない」
クラリッサは静かに続けた。
「でも今、知ったでしょう」
「……」
「いつまで『お母様がそう言ったから』で済ませるつもり?」
「お姉様……私、どうすれば……」
「私に聞かないで」
「え?」
「自分で考えなさい」
「でも私は……」
「これからどうするのかくらい、自分で決めなさい」
その言葉に、ミレイユの瞳から大粒の涙が落ちた。だがクラリッサは、もう手を差し伸べなかった。
「クラリッサ!」
後妻が怒鳴る。
「妹が泣いているのよ! 姉でしょう!? 何とかしてあげなさい!」
クラリッサは、母ではない女を真っ直ぐ見た。
「だから?」
「……何ですって?」
「姉だから、何です?」
大広間が静まり返った。
「私はもう、何も譲りません」
その一言は、長年の呪縛を断ち切るように響いた。
「ハートリー家の名も」
「クラリッサ?」
「母が守った領地も」
「……」
「私自身の人生も」
後妻の顔から血の気が引いた。
いつも「姉でしょう」と言えば従った娘が、もう自分の言葉では動かない。その事実を、ようやく理解したのだろう。
今度は国王がハートリー男爵へ視線を向けた。
「さて。お前にも話がある」
「へ、陛下……」
男爵の膝が震え始めた。
「お前の領地について調査させた」
「……」
「正妻が領政を担っていたころ、ハートリー領の財政は安定していた。しかし、その死後わずか三年で赤字へ転落している」
「それは不作が――」
「三年間、不作だったのはお前の領地だけか?」
「……」
「領地予算から後妻の宝飾品、衣装、王都滞在費まで支払われているな」
「それは必要経費で……」
「何の必要だ」
「社交が……」
「その間、橋の補修費を削り、農業用水路の整備を延期している」
ハートリー男爵は俯いた。
「さらに、正妻が残した帳簿と現在の帳簿を比較した」
「……」
「お前は、妻が一人でどれほどの仕事をしていたかすら知らなかったようだな」
男爵の顔が歪んだ。
「もっとも、ここ一年ほどは収支に改善が見られる」
「……え?」
男爵が顔を上げた。
国王の視線がクラリッサへ移る。
「クラリッサ嬢」
「はい、陛下」
「亡き母から領政を学び、近年は領地の実務の大半を担っているそうだな」
「……はい」
「橋の補修計画を立て直し、延期されていた水路整備にも着手した。不要な支出も削減していると報告を受けている」
「恐れ入ります」
「つまり、赤字を生み出した者と、それを立て直している者が誰なのかは明白ということだ」
ハートリー男爵の顔から血の気が引いた。
「本日をもって、お前からハートリー男爵の爵位と当主としての権限を剥奪する」
「陛下!」
男爵は悲痛な顔で国王を見上げると、その場に膝をついた。
「お待ちください! では、ハートリー家はどうなるのです!」
「なくなりはせぬ」
国王はクラリッサを見た。
「クラリッサ嬢」
「はい」
「正式な審査を経たうえで、そなたをハートリー家の次代当主として認める」
「陛下……」
クラリッサが目を見開いた。
父も愕然と娘を見る。
「クラリッサが……?」
「何か不満か?」
「い、いえ……」
答えられるはずもなかった。
すると後妻が、媚びるような笑みを浮かべながらクラリッサへ歩み寄る。
「クラリッサ。では、これからは家族で力を合わせて――」
「家族?」
クラリッサは冷ややかに見返した。
後妻の足が止まる。
国王が低い声で告げた。
「ハートリー前男爵。お前は爵位を失い、平民となる」
「な……」
「妻とともにハートリー領を去れ。今後、王都ならびにハートリー領への立ち入りを禁ずる」
「陛下!」
「領地の金を私的に流用した分についても、可能な限り返還させる。今後、ハートリー家の財産にも領政にも一切関わることは許さぬ」
男爵は言葉を失った。
後妻の顔色もみるみる変わっていく。
「お、お待ちください! 私は――」
「裁定は下した」
国王は取り合わない。
後妻は慌ててクラリッサへ縋ろうとした。
「クラリッサ! あなたからも陛下にお願いして! 私はあなたを育ててあげたのよ!」
「母が亡くなったあとに後妻として入り、私の大切なものを次々とミレイユへ譲らせたことを、育てたとは呼びません」
きっぱりと言い切った。
後妻の口が開いたまま止まる。
「ミレイユ!」
最後の望みとばかりに娘を振り返った。
「あなたからも何か言いなさい!」
「……」
ミレイユは泣いていた。だが、先ほどまでとは違った。何かを初めて考えようとしている顔だった。
「お母様」
「何?」
「私……本当に、何も悪くなかったの?」
「もちろんよ!」
「でも……カトリーヌ様のこと、嘘をついた」
「あなたは殿下を愛していただけでしょう!」
「でも、嘘をついたのは……私よ」
「そんなこと、今さら気にしなくていいの!」
「お姉様のものも……」
後妻の顔が引きつった。
「もう済んだことじゃない!」
「……」
ミレイユは母を見つめた。
いつもなら、母の言葉で安心できた。
母が「悪くない」と言えば、自分は悪くない。母が「もらっていい」と言えば、もらっていい。
ずっと、そう思ってきた。
けれど今は、胸の奥に生まれた小さな疑問は消えてくれなかった。
国王が騎士たちへ命じた。
「連れていけ」
フェリクスと取り巻きたちは、辺境へ送られ、下働きからやり直すこととなった。
ミレイユには、一人で国外へ去ることが命じられた。
ハートリー前男爵は爵位を失って平民となり、後妻とともに王都とハートリー領への立ち入りを禁じられた。これまで領地の金で贅沢をしてきた二人には、もはやハートリー家の財産に触れることすら許されない。
そしてクラリッサには、母が命を削って守り抜いたハートリー家と、その領地が残された。




