新たなる力
~それから2年が過ぎた~
森の中を歩いているとなにか金属と金属のかちあう音と共に、怒号と喧騒が聞こえてきた。
「やめてください! 今は人類で争っている時では……!」
「は、国民を見捨てて自分達だけ逃げようってのに偉そうに! 野郎ども! 全員身包みはいじまえ!」
「姫様! 危険です、馬車にお戻りください!」
盗賊とどっかの金持ちみたいだな。
「ハーッハッハ! こりゃ上物だなぁ。今日はついてるぜ……うん? なんだこの匂いは?」
「お、親分! あれを!」
気付かれたか。まぁどうでもいいが。
「なんだてめぇは!?」
「通りすがりのただのうんこだ」
「なんだと、ふざけやがって! ぶっころしちまえ!」
盗賊の1人が矢を引き絞る。だがしかし
「硬運功」
カキィン!
硬くなった表面が矢を弾き飛ばす。
あれから2年。俺はレベル上げに明け暮れた。
しかしうんこと言う職業はちからもかしこさも伸びが悪く、通常のスキルとは相性が悪かった。
うんこの特性を生かしたバトルスタイル……その答えがこれ、運気操作だ。
実はこの世界には隠しパラメータと言うステータスウィンドウに表示されないステータスがあり、その中の1つ、運の良さが非常に高かったのだ。
運気とは運が高ければ高いほどオーラの量が増え、その効果は肉体の硬質化、軟質化、伸縮性の強化、毒化など様々に及ぶ。
「や、矢を弾いた!?」
「な、なんて硬いうんこなんだ!」
慌て驚く盗賊達。だが俺の力は硬くなるだけじゃない。
「軟運功……乱れグソ!」
ババッ!
硬質化した状態で体内から圧力をかけておき、一気に軟質化する事でほぼ液体となった体が四方八方に飛び散る。
「ぎゃぁぁ!」
「う、うんこがついた!」
盗賊達に体の一部がついたのを確認して、印を結ぶ。
「形質変化……腐れグソ!」
自身の体が鉄をも溶かす猛毒と化す。そしてその範囲は飛び散って盗賊達に付着している体も同様だ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「と、溶けるぅぅぅぅ!」
「再結合!」
印を結んで体を戻し……
「はぁぁ!」
ビシッ! バシッ! ドスッ!
全身を鞭のようにしならせて盗賊達を打ちのめす。
1人残らず地面に叩きのめすまで5秒もかからなかった。
「さて……」
呆然と立ち尽くす騎士達の横を通り抜けてそのまま立ち去ろうとする。
「お、お待ちくだされ! お礼をせねば!」
なにやら偉そうな紋章をつけた騎士が呼び止めるがそんなものに興味はない。
「いらん……とっととその寝転がってる連中を縛り上げて連れていけ」
「どこへいかれるのですか!? せめてお名前だけでも……」
馬車の中から白いドレスを着たお嬢さんが顔を出す。
名前……名前なぁ……元の世界にいた時の名はある。
だがもう呼ぶものはいない。元の世界に戻るまでは意味のない名前だ。
「止めてくれるな。ただの……うんこだ」
行こう。今はなにを言ってもただのうんこに過ぎない。
そして俺は振り返る事なく去っていく。
お嬢さんに俺の臭いが……移らないようにな。
「こりゃあ面白い小僧だぜ」
「いやこいつはうんこの事になるとすぐムキになるんだよ。すまん」
「そうはいかないぜ食いしん坊さん」
「短編が100Pいったら連載にすると大勢のお客さんの前で大見栄きったんだ。
こりゃあどうしても短編と同じ主人公で連載をはじめてもらおう」
「え!! 同じうんこで連載を!?」
……すいません、どう見ても一発ネタなのに連載はじめちゃってPV付かなくて心が折れそうです。
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