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死闘の果てに

「ぬぅぅぅぅぅぅぅ!!」


「汚ぉぉぉぉぉぉぉ!!」



ドンドンドンドンドンドン!


 お互いに足を止めて至近距離での打ち合い!


「せぇら!」


 グラウディスの右拳が唸る。この威力はまずい!


「軟運孔!」



 即座に体を液状化させて距離をとる。



「……やるじゃねぇか……こんなアツイ戦いは久しぶりだぜ」


「……燃えないクソは、ただのクソなんでな……」



 精一杯強がってみるがこれは虚勢だ。

 一見互角に見える両者。だが俺はやつの尋常じゃないタフネスに攻めあぐねていた。

 一方こっちはなんとかかわしてはいるものの、いいのをもらえば一発で飛び散るだろう。


「これをやると一瞬で終わっちまうんで普段は封印してるんだがな……お前なら楽しませてくれそうだ。本気でいくぞ! オォォォォォオオ!!」


 遠吠えのような雄たけびとともに、ヤツの筋肉が盛り上がり服が弾け飛ぶ。

 全身に体毛が生え、手には40センチはあろうかと言う爪。そして元々獅子のようなだった顔は完全にライオンのそれになっていた。



「はぁぁぁぁ……いくぞ!」



 はやい!

 さっきまでも速かったがこれは尋常じゃない。

 硬化を諦めて液体になって回避しようとするが……


「ぐっ!?」


 やつの爪がうんこを切り裂く!



「おめぇの液体化は物理攻撃を無効化する訳じゃねぇ。形状を変化させてうまいことかわしてるだけだ。爪に当たった部分は再生が出来ないんだろう? そらそらそら! 体が小さくなっていってんぞ!」



「ぐっ! くそが!」


 このままでは殺られる! そう思った時、俺の脳裏に老子の言葉が浮かんだ。


「うんこよ……硬きうんこはケツを切り裂き。また柔すぎるうんこは下痢となるだろう。硬すぎても柔すぎてもいかん。

 硬と軟を合わせるのだ。それすなわち快便となろう」



「ろ、老子……」


 それは、旅の途中で会ったフンコロガシ。糞古老子の教えであった。


「形質変化。軟運功。イカスミ!」


 俺は自身の体の一部を霧状に変えて相手の顔に吹き付ける!


「しゃらくせぇっ!」


 グラウディスは即座に爪を振って、風圧により霧状のうんこを吹き飛ばした。

 煙幕の効果は薄い。だが一瞬間合いをとれれば十分だ。



「新 陳 代 謝 毎 日 朝 快 便」


 詠唱とともに印を結ぶ


「硬軟融合……快運功!!」


 巻きグソ状の体の先が槍のようにとがり、極限まで硬くなる。

 一方全身はバネのように柔軟に力を蓄えていた。


 グ グ グ ……


「ブリブリのぉ……スプリングニードル!!」


 音速を超えた糞先がグラウディスを襲う!



「こい! 受け止めてやろう!!」


 ヤツは両手を交差させて真っ向から受け止めた。それが獣王のプライドなのだろう。



 ドスッ!


「……っ! ハっ!……」


 ついに俺の攻撃はヤツの体を貫いた。



「がふっ!」


 グラウディスが血を吐いて倒れる。


「負けたぜ……まさか俺の最後がこんなうんこに負けるとはよ……」


 やつは強かった。間違いなく今までで最強の好敵手だっただろう。

 俺はヤツを忘れない。だからやつに対して敬意を払いたかった。


「花も……クソも……死ねばみんな同じだ。ただ灰になるだけ。俺とお前は全力で戦った。それだけが事実。そしてそれで十分だ」


 ヤツは最後に笑った。


「ははっ。ちげぇねぇや。まったく……たいした……うんこだぜ……」





~一週間後~


「うんこさん!」



 例の砂浜で静養していると、幼女が走ってきた。


「うんこさん! あのね! すごく強い四天王がいなくなったからお引越ししなくてもよくなったんだって!」


 彼女はとても嬉しそうで、興奮気味にぴょんぴょんしてる。


「あのね! みんなはどっかのエライ勇者様のおかげだって言ってるけど、本当はうんこさんなんでしょ?」



 さ~って、どう答えたもんだか……ま、いっか。

 たまにはうんこがカッコつけたってバチはあたらねぇだろ。



「な、大丈夫だっただろ? 俺は世界一強いうんこなんだぜ」


 すると彼女は首を振ってこう言った。


「ん~ん。それだけじゃない。うんこさんは……世界一カッコ良いうんこさんだよ!」



「…………そっか!」


 

 お互いクスクスと笑いあう。


 報奨金も何もない孤独な戦い。

 だがそう言って笑いかける彼女の笑顔は、百万の富よりも眩しかった……

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