第四章Ex2 『四天王―アンデッド―』
【2017年10月30日改稿。読みやすく改良致しました】
魔王の動きと、ビーストを抑え込んだ報せは、魔界四天王にも魔王からの書面が送られ、説明がされている。
魔界にあるアンデッドの領域――天を貫く山々にある無数の洞窟。湿気と暗闇に包まれた彼らの楽園にも、報せは届いていた。
無数にある洞窟と山々が彼らの領域にして楽園。
一族ごとに洞窟が与えられており、アンデッドへの貢献度で大きさが違う。
中でも、とびきり大きな鍾乳洞を拠点にし、城のような空間を築いているのは、アンデッドの支配者一族だ。
アンデッドは不死の魔物を中心とした勢力にしており、特定の条件でなければ消滅しない魔物ばかり。
そんな彼らを統率するのが、女帝ヴァンパイア。
知恵の乏しい不死の魔物の中でも切れ者で、今回の件に関してニヤリと笑い、鋭い歯を光らせていた。
「魔王はビーストを抑え込んだ。……あは、興奮する展開になったわね。四天王は、どう動くかしら」
女帝ヴァンパイア。ゴシックな服に身を包む、長い金髪の小柄な少女。
見た目は人間の美少女だが、瞳が紅く、何よりも異質な黒い翼がヴァンパイアを象徴している。
そして彼女が座る椅子は骨の魔物スケルトンで、彼が今日の椅子担当だった。
超の付くドSで、逆らうものは全て従わせてきたのが、女帝。
しかし、彼女は唯一、魔王だけは従えることが出来ず、逆に従えられた。
あの時のことを思い出すと、動悸が激しくなる。
胸が苦しくなり、顔が火照り、昂ってくる。
「はぁ、はぁ……」
「じょ、女帝様?」
心配したスケルトンの声で途端に熱が引き、ヴァンパイアは鋭い目付きで椅子を見て、そこから飛び降りる。
「……椅子のくせに、喋るな」
その言葉と同時にスケルトンの頭をつかむと、ヴァンパイアは指を紅く光らせながら食い込ませていく。
メキメキィィッッ!!
「ギヤアアアアアアアアアアアア!!」
スケルトンの断末魔が玉座のある謁見の間に響くが、傍で眺めていた従者達は口を挟まない。
スケルトンは一瞬で粉々に砕け散り、その場で塵と化した。彼が蘇ることはないだろう。
「おい、そこのお前。掃除しておきなさい」
「かしこまりました」
命じられた魔物はすぐに掃除に取りかかる。
それを見ることもなく、ヴァンパイアは玉座に戻り、再び恍惚な表情を浮かべた。
「疼く、疼くの……胸が苦しい」
ズブシュッ! ズブシュッ!
頬を染めた彼女は、途端に懐からナイフを取り出すと自分の胸に刺し始め、血液を噴出させる。
「あ、あは……」
同時に快感を覚えたかのようにビクビクッ!と身体を震わせ、しばらくしてからナイフの血を舐めた。
「……今度はきっと、わちが屈服させてあげるわ。待っててね、愛しの魔王様。ふふ、あは、かははは!!」
ヴァンパイアの紅い瞳は美しく輝き、狂喜的な笑い声が響き渡った。




