第二章8 『魔道士の娘』
【2018年1月20日改稿。内容に変更はありません。見やすくしました。】
ここはテスタラの教会。
その奥にある隠し部屋で、少女は一人、静かに笑みを浮かべていた。
「そうきますかぁ。面白いですねぇ」
バタンッ!
「姫ちゃん! 無事かい?!」
一人の町民が慌てながら部屋へとやって来る。
「歳なんですから、あまり走ってはいけませんですよ~~」
「げほっ、ごほっ、姫ちゃんが心配になったのさ。変な二人組は来てないかい?」
老婆の言葉に、少女は頬笑む。
「ふふ……もうすぐですよ」
「へ?」
少女は飾ってあるランタンを見つめ、静かに目を閉じる。
「来ましたです」
「え?」
「だあああああッッッ!!!」
ガシャアアアンッッ!!
「ひえっ……!」
急に大きな物音と叫び声が響き、老婆は尻餅をつく。
「痛つつ……。い、いったい何がおこったんじゃ?」
老婆が反応した直後、閉めたばかりの扉が開かれ、例の二人が入ってきた。
「見つけたわよ! 魔法使い!」
「お、お前たちは! うぐっ、腰が……!」
老婆は腰を痛めて立ち上がれない様子で、少女は溜息をつく。
「だから言ったんです。安静にしてくださいですよ」
「姫ちゃん……逃げんといかんよ!」
老婆は叫ぶが、少女は首を横に振る。
「いえ、彼らは、わたくしに話があるようなのですよ。ですよね、方々?」
「本人は話がわかる人で助かったわ。私はエリカよ」
「僕が勇者だ。しっかし可愛いなぁ。きっと大人になったらモテるよ絶対。僕の目に狂いはないからね!」
「あんたは引っ込んでて」
「あ、すんません」
その光景を見て、少女は頬笑む。
「ではでは、わたくしの番ですね。わたくしは『モル』。魔道士ナハトのただ一人の娘でございますですよ」
少女の自己紹介に赤い髪の女性が頷く。
「聞いた通りね」
「あ、それと――」
「わたくし、この町では神様ですよ~~」
少女はにこやかに、自己紹介を付け足した。




