第二章Ex1 『魔王散歩』
【2018年1月20日改稿。内容に変更はありません。見やすくしました。】
「魔王様、お疲れ様です」
「これで終わり?」
「はい。……それにしても、本当に魔王様は働き者ですね」
ある日のこと。いつものように俺はサキさんと共に魔王としての業務をこなしていた。
勇者については既に手を打ってあり、今は待機の段階だ。
「ふんっ!」
バキバキメキィッ!
いま、すごい音だったな。
関節って、こんなに音鳴るの?
「魔王様、もしかして肩凝りですか?」
俺が腕を回していると、サキさんが心配そうに見つめてくる。
「魔界にも肩凝りはあるんだね」
「肩凝りですか。魔物にもありますよ? ミノタウロスはよく悩まされてるみたいです」
あぁ、成程。
あんなものぶら下げてたら、そりゃあ……。
「じー」
「え?」
「いいんですけどね、別に。ですが、魔王様の秘書はサキですから」
「そ、そうだよ?」
「わかってるなら、いいですけど」
なんだったんだ、今の。
しっかし、疲れたな。
「魔王様、どちらへ?」
「少し散歩に。大丈夫、3階からは出ないから」
「く、くれぐれも結界の外には出ないでくださいね」
サキさんから注意される。
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結界というのは、サキさんの張った防護壁のようなもので、この魔王城の特定の場所を囲むように作られており、魔王の直近以外は侵入することができないらしい。
ちなみにエリアが魔王城の3階。魔王の自室と執務室、庭園に加えて、その他複数の部屋となっている。
以前の大きな会議室は2階のため、対象ではない。
結界は護衛衆の命とリンクしており、彼らが死なない限り侵入出来ないという、随分と物騒な代物だ。
しかしそのおかげで、魔王は自室で堂々と眠ることができ、加えて護衛もいるため、万が一も結界内ではあり得ないらしい。
つまり簡単に言えば、3階から一人で出るなということだ。
「行ってくるよ」




