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第三十八話 「ぃ予感」

さて・・・。あの大演説から数時間。

夜の村は寝静まるとは真逆の様相を呈していた。

村のいたるところにはかがり火が焚かれ、皆目を爛々と光らせて村の防備を固めるため働いている。

そして此処、村の集会場あらため本陣・作戦司令部には数人の人間が詰めていた。

「・・・村の柵関係は八割完成でございますな」

「弓矢の増産も進んでいる。うちの村の怪我人も腕が使える奴は全員装備予定だ」

「魔王さまの指揮の下、老若男女怪我人に至るまで皆兵です!」

「・・・」

作戦司令部に詰めている、メティル、ヤンゴニ、コモム。

みんな目付きがやばい。

正直、怖い。

やりすぎた感が否めない。

確かに参考にした偉人は素晴らしい演説の成果を出したがいくらなんでもここまで効果が出るとは。

ちょっと異状だと思う。

「ほいで?砦には一人残ってるんだっけ?」

「えぇ、5人中4人が帰ってきてしまいましたが一人は見張りを継続しています」

「とりあえず、見張りの人が帰ってくるまではまだ時間があるな」

「さて、それまでにエリゴス軍団とやらが来てくれればいいが」

「ジン様!いや魔王様!エリゴス軍だんなんて待たなくても俺らで悪を滅ぼしてみせますよ!」

「その通りですよ魔王さま!私たちで悪しき天界兵に正義の!」

「だー!バカ野郎!軍団がくればそれだけこっちの被害が減るだろう!」

スパパーンとメティルとモコムの頭を叩く。

「我々の被害など!」

「だまらっしゃい!村人に被害が出ればそれだけ平和な日々が遠ざかると思え!」

「おぉーなんとお優しい言葉・・・ヤンゴニ、感服いたしましたぞ」

「はぁ~~。もぅええわ」

なんなのこの人ら、まじで怖いわ!

あれか?宗教か!?宗教の狂信者なのか!?

俺はなんとなくそばにあったみかん?のような物を口に含んだ・・・。



そんな風にジンが頭を抱えながらみかんを食べている村から西に行った森の中

周囲が薄暗くなる中、篝火が燃え周囲を照らす砦内。

そこに困惑する天界兵たちがいた・・・。

「くそ!どうなってやがる!」

「こっちにも誰もいやしねぇ!」

「こっちにもいねぇぞ!」

「がぁっ!食料庫も空っぽだ!」

元々、ここの設営をしていた部隊の本隊に当たる軍団に知らせが入ったのは一昨日の事だった。

力天使シェムアザを天に抱いたこの軍団は「力こそ全て」を掲げた3軍団のうちの一つだ。

その兵力1000に及ぶ。

その軍団に「一匹の魔族にいいようにあしらわれ、奴隷にも逃げられた」と知らせが入ったのだ。

この軍団を預かる大天使ォカマエルは怒りと冷静さを綯交ぜにしつつも「一日の猶予」を与えた。

そして、その猶予により全て事が成っていると思い砦まで全軍の半数500進軍してみればこのザマだ。

「ここの部隊長と構成天使数はいくつだったかしら?」

「はっ!部隊長はマシュマエル。構成員は108名であります」

「そう・・・で、その子達はどこに行ったのかしら?」

「・・・それは」

「・・・まさか、食料持って逃げた・・・なんてないわよね?ないわよね!」

「っ!」

事此処に至っても、ォカマエルの頭に返り討ちにあい全滅したなどという考えは浮かばない。

天使と魔族の身体能力はそれこそ天と地の差がある。

そして人数。

負ける可能性など微塵もないのだから。

「いいわ・・・とりあえず砦の建設状況を教えてちょうだい?」

「未だ、三割といったところでしょうか」

「ふぅん?・・・完成を期日までに想定して奴隷は何人いるのかしら?」

「ざっと400は欲しいであります」

「そう・・・なら明日にでも狩りに行くわよ?」

「明日、でありますか?」

「ふんっ!」

「アヒッ!」

ォカマエルは隣に立ち報告していた副官のケツを思いっきりつかみあげる

「当たり前じゃないの!夜ふかしはお肌の天敵よ!」

「は、はひぃ!」

「分かればいいのよ。なら私は寝るから。後ヨロシクネ」

「りょ、了解しました!」

大天使ォカマエル

長身の体に筋肉の鎧を纏い、女物と思われるマーメイドドレス?をピッチピチに着こなす。

見るものを絶望に変える姿をした力ある天使である。



今、ポポチ村を舞台に第二の幕が上がろうとしていた。








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