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第三十六話 「これが内政チートか!」


朝を知らせる小鳥の声で目が覚める。

眠りに落ちた時間を考えると随分長く、深く眠っていたらしい。

「あぁ~あ、良く寝た・・・」

朝の爽快な気分で目をこすっていると、押し入れの方から豪快ないびきが聴こえてくる。

ドカッ

「ぴゃっ!」

なんかイラっとしたのでて直にあった枕を投げつけると、押入れの中から変な声が聞こえてきた

「な、なんのおとですくぁ!?」

「さぁ?」

「・・・むむむ」

「なんだよ?」

「・・・魔王さまの仕業ですね!間違いありません!私に対する嫌がらせの数か!びにゃ!」

「うるせぇ。飯食うぞ」

俺は朝から元気のいい腐れ女の頭を叩きベッドから抜け出した。


朝食を昨日の晩と同じメニューで済ませる。

男の食事なんてこんなものですよ?

誠に遺憾ながらご飯を食べ尽くしてしまった炊飯器にまた5合のコメを仕込みスイッチを入れる。

こうしておけば直ぐに飯だけは食べれる。

「さて、どうすっかな?」

「何がです?」

「いや、俺ら一応魔王城めざしてんだろ?」

「そうでございますね」

「いつまでもあの村にいても意味なくね?」

「それはそうでございますが・・・」

「まぁ、人情的にエリゴス領軍団が来るまではいるべきか?」

「で、ございますね。ついでに魔王城まで護送してもらいましょう!名案です!」

「それもありかな?今のところお前の恥めてのおつかい方位磁石でしか場所分かんねぇし」

「はい!」

「なら、早速村に行くか」

そう結論づけて俺達は居間を後にした。


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「・・・」

今後の行動方針を決めてドアを潜って、魔界のポポチ村へ来たのはいいが・・・。

ぶっちゃけする事がない。

そりゃそうだ、軍団が来るまでやることないんだからさ。

「まお・・・ジン様?」

「ん?」

「何をなさっておられるのですかな?」

「あぁ・・・空堀つくってる」

「は、はあ・・・」

そして暇を持て余した俺は今村の周囲を覆っている柵の外側に空堀を作っている。

掘っているのではない

作っている。

俺はヤンゴニに答えながら。やっている事を肉体言語で示すように右腕を振り絞り

壁に拳を叩きつける。

ドゴオオオオオオオオオオン!!

魔力を拳に圧縮し、壁に叩きつけたそれは、前方に3M程吹き飛んだ。

良く分からないと思うが・・・。


村長宅で暇を持て余した俺は外から聞こえる作業音をききつつぼんやりしてたんだ。

んで、思った。

「そういや、あの未完成の砦、空堀作ってたな・・・」

と。

俺はそれを重い暇つぶしに村の外、柵の外側へやってきて。地面に向かって魔力をまとったパンチを放った。

すると、地面は直径6M、深さ3Mの縦穴があいた。

でも、悲しいかな・・・。

足場を無くし、俺も穴に落ちてしまった。

なんか、恥ずかしくなった俺は、穴から出るのも癪なので、そのまま横にパンチを繰り出し現在空堀を製作中なのである。

「いやさ、砦とかに空堀あるじゃん?空堀あったほうがよくね?」

「はい。確かにその通りなのですが・・・」

「まぁ、俺がこのまま作るわ。暇だし」

「村としては大助かりなのですが・・・良いのですか?魔王さま自ら・・・」

「良いよ良いよ。あ、メティル上から見た感じどうよ?ちゃんと空堀になってるか?」

「はい!魔王さま!横幅もありますし深さもいい感じかと思います」

「そうかそうか。ならこのままやっちまうわ。村の角の時は教えてくれ」

「了解であります!」

そうして本来ならもっと労働力が必要な作業を俺の内政チート(?)により短時間でかつ、必要最低限の労働力で完成させた。

出来上がった後完全に周囲を覆ってしまい出入り口がなくなってしまって焦ったが、丸太を渡して橋を作ることで何とかなった・・・。

一瞬、焦ったのは内緒だ。

無人島開拓しているアイドルのリーダーが舟屋の出入り口を塞いでしまった時もこんな感じだったのかと思う。


そうして完成した堀を眺めていた時、村に叫び声が響いた。

「来た!みんなきたぞーーーーーー!!」

ようやくエリゴス領軍団の到着か・・・。そう思った。


「森の砦に天界兵がきたぞおおおおおおお!!!」


時刻は夕暮れ。どうやら、待ち人は別人がきてしまったらしい。




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