第二十二話 「第一村人はっけん」
ブァアアアアアアアアアアアン!
今日も今日とて原付が絶好調に爆音を響かせ爆走する。
「魔王さま~このまま真っ直ぐです」
「あいあい」
魔界と自宅の往復にもだいぶ慣れてきた俺たちは
時折、方位磁石で方向を確認しつつ2ケツで走り続けていた。
「ん?」
「どうしました?魔王さま?」
「いや、あれって村かな?」
「んん?」
原付を停めて左前方をの方を指差す。
そこは周囲より若干小高くなっており、茶色い柵と家のような建物。
周囲には収穫を終えた麦畑のようなものも見える。
「あ!本当ですね!村です!第一村人発見の予感です!」
「おまえ最近TV見すぎじゃね?」
「ほほほ。情報収集ですわ!」
「うぜぇ!が、許す!このまま村にいくぞ!」
「いきましょー!」
再びアクセルを全開にして進む。
村に近づくにつれソコの全貌が見えてきた
魔界の村の規模などは良く分からないが見える範囲では家等も結構見える。
ただ、少しおかしい・・・。
「なぁ?なんか煙あがってね?」
「ん~?本当ですねぇ・・・かまどの煙ってわけでもなさそうな・・・」
「・・・?」
「どうしました?」
「・・・悲鳴だ!なんか悲鳴が聞こえる!」
「え・・・本当です!!」
「なんか知らんが急ぐぞ!」
「はい!」
その日、魔王都から随分南に位置するポポチ村を突然悲劇が襲った。
魔界全土を襲う天界兵との最前線から南東に位置するこの農村は
領主であるエリゴス公爵家の所領に位置するのどかな村であった。
そんな村に何の前触れも無く天界兵が襲ってきたのだ。
パッと見100を超える遠目で見れば光り輝く翼を携えた天界兵達(近くで見ればスキンヘッドにモヒカンといった濃い顔立ちの筋肉ダルマ)に村の柵は無残に叩き壊され、家は破壊され火を付けられ。村の魔族達はなす術なく蹂躙された。
「オラァ!お前らぁ!逃さず捕まえらよ!特に生きのいい奴だ!!」
「「「「「ういーっす!!」」」」」
「オラァ!捕まえた奴からロープで縛って撤収だ!」
「「「「「うぃーっす!!」」」」」
「ったく。ほんとにわかってんのか・・・?ん?」
その天界兵達の中でも他より少し豪華な黒革鎧を身につけた男の目の先
水瓶に隠れるようにこちらを恐怖の目で伺っている幼女が目に入る。
「あ?・・・ふひひ。なんだお前逃げ遅れたのか?ふ。ふひひ」
「ひぃっ!」
「だがまぁ?お前みたいなちんけな虫はようなしなんだよなぁ~」
にやにやと醜悪な笑みを浮かべながら右手に白銀に輝く手斧を出現させる。
「汚ねぇ虫はつぶしちゃわないとなぁ!!!」
「いやぁ!!!!」
幼女の命を潰そうと振り上げた手斧に太陽の光が反射し振り下ろそうと右腕の筋肉が膨らんだ刹那。
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
ドカッ!!!
「アーー!」
突然幼女の命を潰そうとした男は姿を消し、代わりに変な五月蝿い音を響かせるナニカに跨がる二人組が目の前に現れた。
「悪いブレーキかけるの忘れた」
「全然わるびれてないですよ魔王さま」
「うむ。・・・大丈夫か?」
「完全に伸びてますね・・・ってこの人!」
「ん?なんか見覚えあるなこのモヒカン・・・」
俺が轢き飛ばした男はかなり大柄で頭部はスキンヘッド。そして背中に羽が生えていた。
「魔王さま!こいつ天界兵です!あ、そいつも!そこのやつも!」
「あ~・・・なるほど、俺の家に突撃カマしてきた奴らか」
「はい!」
「お、おにいちゃ!たすけてくれちぇあ、あいがと・・・っ!」
「おう、気にするな幼女よ・・・ただ轢いただけだが・・・」
「魔王さま目が泳いでますね」
「うるさい」
俺はひとつため息をはいて周囲を見渡す
ロープで縛られた人と縛っているモヒカンにスキンヘッドの天界兵共がこちらを唖然と見つめている。
縛られ転がされた人たちの顔には殴られた形跡と血がにじんでいる。
「如何にも悪役ですって面のの奴らが、ひいふうみい・・・つかお前らなんか顔似てるな?兄弟か?」
「天界兵はみんな同じ顔をしてるんですよ・・・キモチワル」
「ふ~ん?とりあえず?こいつら片付けるか・・・おいメティル、この娘とちょっと離れてろ」
「は、はい!」
メティルが少女を抱き抱えて影に隠れるように距離を取る。
俺は首をポキポキ鳴らしながら原付から立ち上がる。
「さぁ・・・ショータイムだ!」




