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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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まずは通行路

トンネルが貫通した後。

現場は一気に慌ただしくなった。

作業員達は補強作業を始め、支柱やレンガの搬入が続いている。


私は少し離れた場所で、その様子を眺めていた。


すると文官が戻ってきた。


「お嬢様」


「向こう側の文官殿と打ち合わせをして参りました」


私は腕を組んだ。


「で?」


文官は手帳を開く。


「まず」


「トンネル内部の安全確保を最優先」


私は頷く。


「まあ」


「当たり前ね」


今はまだ掘り抜いただけ。

崩落の危険もある。

壁面の補強。床の整備。排水。

やることは山ほどある。


文官は続けた。


「その後、ささやかな開通記念」


私は眉をひそめた。


「……記念?」


文官は苦笑した。


「はい。さらにその後パーティーを」


私は思わず声を上げた。


「は?」


パーティー?私は頭を抱えた。


「何じゃこりゃ」


文官が慌てて説明する。


「いえ、その、一応、祝い事なので」


私は即答した。


「却下」


文官が少し固まる。


「お嬢様……」


私はため息をついた。


「今そんなことしてる場合じゃないでしょ」


トンネルはまだ危険。

工事は山ほど残っている。

資材も足りない。

そんな状況で宴会などしている暇はない。


私は腕を組む。


「開通記念くらいならいいけど」


「パーティーは無し」


文官は小さく頷いた。


「承知しました」


そして次の項目を読む。


「それと重機と呼ばれる機械の借受、もしくは買取の依頼」


私は少し笑った。


「なるほど」


ゆきちゃんの希望だろう。

ショベルカー。トラック。ブルドーザー。


向こうも欲しいに決まっている。

私は肩をすくめた。


「そりゃそうよね」


あれを見れば誰でも欲しくなる。

私は文官に言う。


「後でゆきちゃんと直接話すわ。貸し出すか売るか。その辺は相談ね」


文官は頷いた。


「最後に」


文官がページをめくる。


「石炭の輸入」


「鉄鉱石の輸出」


私は小さく笑った。


「やっぱり」


それが本命だ。

このトンネルを掘った理由。

資源交換。石炭。鉄鉱石。


この二つが安定すれば、両方の領地が大きく成長する。


私はトンネルを見る。

まだ工事中。支柱。レンガ。作業員。

私は小さく呟いた。


「まずは」


そして笑った。


「仮でもいいから通れるようにしないとね」


トンネルは貫通した。

本当の意味での開通は――これからだ。

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