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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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早馬の知らせ

曖昧国境の草原。

私とゆきちゃんは、並んで地図を広げていた。

再会の余韻はまだ残っているが、話題はすっかり実務だ。


「この辺りの資源は本当に凄いわね」


私は地面を指さした。


「石炭」


「鉄鉱石」


ゆきちゃんも頷く。


「こっち側は鉱脈の反応がかなりある」


地下資源。


もしこれが本格的に掘れれば、この辺りは一気に重要な土地になる。


私は腕を組んだ。


「共同開発とか出来たら理想なんだけど」


ゆきちゃんが苦笑する。


「それ出来るのは私達じゃなくて父達よ」


確かにその通りだが私達はまだ五歳。

次期当主とはいえ、権限はほとんどない。

だからこそ今は、出来る範囲の打ち合わせをしていた。


資源に技術。それに通信。


今後どうするか。

そんな話をしていると――

遠くから馬の蹄の音が聞こえた。


ドドドドド……


私は振り向いた。


「早馬?」


ほぼ同時に、ゆきちゃん側にも一騎の騎馬が近づいていた。


私達は特に気にしなかった。

報告や連絡なら普通にある。


文官達の様子がおかしい。

やけに落ち着きがない。

目を合わせて、何か相談している。


私は首を傾げた。


「……どうしたの?」


文官が少し困った顔をする。


「いえ、その……」


ゆきちゃんの側でも同じ空気になっている。


私は文官を呼んだ。


「耳貸して」


小声で話を聞く。

そして私は固まった。


「……え?」


ゆきちゃんも同じタイミングで驚いている。


そして私達は同時に声を上げた。


「「うぇ!?」」


思わず顔を見合わせる。


……沈黙。


私はゆきちゃんを見る。

ゆきちゃんもこちらを見る。

数秒の沈黙の後。


私は肩をすくめた。


「……まあ」


ゆきちゃんも同じ顔になる。


「なる様になるでしょ」


私達は同時に苦笑した。

理由は簡単だった。

お互いの父親。つまり伯爵。


その現当主が――


ここへ向かって来ているらしい。


私は頭を抱えた。


「なんでここに?」


ゆきちゃんも同じ疑問を持っていた。


「それ私も聞きたい」


少し話しているうちに、すぐ理由が分かった。


私は言う。


「石炭」


ゆきちゃんが言う。


「鉱脈」


私達は顔を見合わせた。


……あ。ほぼ同時だ。ここに来た時点で。

私達はそれぞれ報告書を送っていた。


領主判断が必要な案件。


だから父に文を送った。

つまりその結果。


「……来ちゃったのね」


私は苦笑する。


ゆきちゃんも頷いた。


「どう考えても」


私達は同時に言った。


「「大事だったって事ね」」


草原の風が静かに吹く。


どうやらここから先は子供の話では済まないらしい。

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