中央監督官
「――中央側、条件を受諾しました」
行政区画の昼。
通信文官は、少し疲れた顔。
「正式に“中央監督官常駐制度”へ移行するそうです」
「……早いわねぇ」
私は小さく息を吐く。
でも予想通り中央側は、今潰すより中から見る方向。
つまり監視。その時、整備文官は、確認する。
「監督官人数は?」
「十名程度との事です」
「……」
少ない様で多い。
つまり。
「長期滞在前提」
その時。
私は机の図面を見る。空白地の行政区画端。
「となりますと」
私は静かに言う。
「常駐建物、新たに建てますか」
「――!」
周囲は、少し驚く。
「建てるんですか?」
「当然」
拒否は、逆に怪しい。なら。
「歓迎してる様に見せる」
重要。私は図面へ書き込む。
「寝泊まり区画、簡易台所、会議室、倉庫」
「……これ位あれば宜しいでしょうか?」
整備文官は、少し苦笑。
「十分過ぎる気もしますが、快適過ぎると逆に居座る」
「あー……」
納得。
その時、通信文官は、小さく呟く。
「……はぁ」
気持ちは解る。
中央人員。町内部に常駐は、普通に嫌。
でも必要。
「十名程度?」
「……そうですね」
私は静かに頷く。
その後、周囲確認。
文官達は、少し離れる。
その時、私は小声で言う。
「建築時に」
「――?」
整備文官は、近付く。
「各部屋へ盗聴機仕掛けて」
「……」
一瞬。空気かわ止まる。
その後、整備文官は真顔。
「承知」
即答。
今、必要なのは中央側が何を考えてるか。
そこがかなり重要。
その頃――地下工業区画。
小型通信部品を製造中。
「これ、本当に壁内部へ?」
技術員は、確認。
「そう」
通信技師は、静かに頷く。
「換気口内部、照明裏、会議室天井、全部」
かなり本格的。
その時、若手技術員は少し困惑。
「……中央監督官宿舎ですよね?」
「だからだ」
通信技師は、低い声。
「一番情報集まる」
重要。
その頃、市場では――
「中央の奴、本当に来るのか」
「監視役だろ?」
「面倒な時代だなぁ……」
人々は、少し不安。
でも以前ほど怯えてない。
今、地下都市は力を持ち始めてる。
皆、理解してる。
その時、私は建設予定地を見る。
監督官宿舎は表向き。
“中央との協調”。
でも実際は。
「情報戦の最前線」
そこになる。
風が吹く。遠くの通信塔は、静かに回る。
その日。
地下都市では――
中央監督官受け入れ準備が始まる一方、その宿舎自体が新たな情報収集拠点として作り変えられようとしていた。
文明とは、ただ強い武器を持つ事じゃない。
相手の言葉を聞き。動きを読み。
危険を事前に察知する事。
その見えない情報の積み重ねもまた――不安定な時代を生き抜く為に必要な力になっていくのだから。




