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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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疑念の煙

「……やはり、不自然です」


中央監察団の臨時会議室。

夜。

空気が重い。


机の上には、地下都市調査資料が山積み。


「落盤事故、本当に偶然か?」


若手監察官は、真面目な顔。


「タイミングが良過ぎます」


「……」


上級監察官は、黙って聞いている。

その時、別監察官が鼻で笑う。


「考え過ぎだ。地方開拓地だぞ?」


「……」


若手は、即反論。


「ですが物見櫓らしき設備」


「鉄消費量、地下構造、全部異常です」


「異常なのは発展速度だ」


別監察官は、吐き捨てる。


「だが、それだけだ」


空気は割れている。

その時、別の年配監察官。


静かに口を開く。


「……それより問題は、“死亡事件”だ」


「――」


空気が更に重くなる。


「地方側が中央貴族を殺害した」


「本来なら即時制圧案件だ」


「ですが……」


若手監察官は、資料をめくる。


「証言記録では、対象は子供へ暴力を加えようとしていた」


「……」


「警備兵への威嚇行動も確認」


「複数住民証言一致」


「……」


かなり嫌な沈黙。

その時、別監察官。


苛立った様に言う。


「だが中央貴族だぞ!?」


「地方が殺して良い訳――」


「法的には、“住民保護権限”範囲内だ」


年配監察官は冷静に遮る。


「――!」


空気が止まる。


「しかも現場では、既に警備兵への攻撃姿勢に移行している」


「……」


「地方治安維持組織による制圧行為としては、一応成立する」


「一応、な」


苦々しい。つまり。


「感情では潰したい」


でも。


「法的には面倒」


そこ。中央側も理解している。


その頃――地下都市。通信管理室。

こちらも空気が重い。


「中央側、完全に割れてます」


通信文官が盗聴し報告。


「“危険視派”と“証拠不足派”で対立中」


「……でしょうね」


私は静かに頷く。

予想通り。今回、重要なの。


「正当性を崩させなかった事」


そこ。


もし住民証言、現場状況が全部。

曖昧だったら、今頃、反乱地域認定されてた可能性が高い。

でも、実際に見ていた。

皆、中央貴族の子供へ暴力を振るおうとした。

しかも公衆の面前。


つまり。


「中央側も強引に潰し切れない」


その時、整備文官が少し不安そう。


「ですが、“疑われ続ける”のも危険です」


「そうね」


私は素直に頷く。

完全に目を付けられた。

つまり今後、もっと慎重さが必要。


「通信規律強化」


「地下搬入夜間限定継続」


「工業区画偽装維持」


「了解!!」


更に。


「村兵訓練、一時縮小」


「表向き農地警備訓練中心へ」


「了解!!」


今、必要なのは、強さだけじゃない。


「正当性」


そこを絶対に崩させない。

その頃――中央監察団宿舎。

若手監察官の一人が窓から地下都市を見る。

遠く。物見櫓。鉄道の灯り。

そして静かに広がる農地。


「……」


地方開拓地には見えない。

正直。もう小国家に近い。

その時、後ろから上級監察官。

静かに来る。


「まだ見ているのか」


「……はい」


若手は少し迷って、そして小さく言う。


「本当に、ただの地方なのでしょうか」


「……」


上級監察官は少し黙る。

長くその後、低く呟く。


「解らん」


「――」


「だが」


一拍。


「少なくとも、“自分達の住民を守る意思”だけは本物だ」


風が吹く。夜の地下都市。

静かでもその奥では、隠された工業。

通信網。防衛体制。全部が動き続けていた。


その日。


地下都市では――


中央監察団の中で、“危険視すべきか否か”を巡る静かな対立が始まっていた。


文明とは、ただ強い力を持つ事じゃない。


守るべき人々を守る意思と、その行動に正当性を持たせ続ける事。


その積み重ねこそが――不安定な時代を生き抜く為に必要な力になっていくのだから。

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