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歩くよ(遠足だからね)


さて、計画の場所に到着。

ここからは徒歩で行動。

馬車から荷物を降ろしてバックパッキング。

シェルパな感じになってるな。俺。

「これも。」

ちょっと待ってくださいよ、先生。

バランスってものがあるんですよ。

飛行ユニットと分担して運搬。

ネコミミメイド1号2号、荷物を担いだらさらに変な格好に。

スパッツとブーツを履いたフレンチメイド登山家的な。

うーん、何言ってるかわからない。

まあ、つっこみはしませんがね。

「すごい変な格好だぞ! サジー。」

先生が突っ込んだ、遠慮なし。

「メイド服はポリシー、動きやすさを追求した結果こんな感じに…」

「でも、スカートは短い方が動きやすいにゃ!」

「御屋敷でも短い方がいいにゃ!」

ダメだぞ、スカジィちゃん。

カロツェ家のお屋敷が怪しいサービスのお店みたいになってしまいますがな。

それは、それで結構なことですがね。

ベータ君も結構な荷物担いでるけど、大丈夫なのか?

獣人門番アトラックさんは街に戻る。

「では、導師、明後日の朝にはお迎えに参ります。」

「ああ、ビクター氏に『よろしく』な。」

ああ、うん。後始末とか色々ね。

あれ? あんまり遠くまで投げない方がよかったかな。あいつら。


ここから、鉄蜘蛛獣機の残骸までは直線距離なら5キロ。

歩く距離は約10キロってところか。

普通に歩けば3時間くらいだが、ちゃんとした道が整備されているわけではない。

一応、川沿いに猟師とかが使う獣道があるので、本当に道がないのはほんのわずか。

とデイエートから教わった。

このメンバーなら倍の時間がかかると見たほうが良いだろう。

飛行ユニットが積んでいる一番重い荷物が、実はロープ。

いざとなったら吊り下げで難所を乗り切ろうという考え。

まあ、襲撃者のせいであやふやになったが、このイベントの最大の目的はお嬢様のストレス解消。

楽して悪いことはない。

さあ、出発!


川沿いに遡って歩く。

川原なので草木が生えていないから歩きやすいとも言える。

それと引き換えに石がごろごろして歩きにくいとも言える。五分五分。

川原かわら」が川原なのは、そこが川底だから。

だから、草が生えてない。

つまり、増水すればここは全部、川になるってことだ。

転がっている石が角の取れた丸みのある石。

水流に流され洗われ、ぶつかり合って磨耗したから。

川の水は流域に降る雨が、全部集まって増水する。

どんなに今、この場所の天気が良くても、上流で雨が降ればあっという間に増水する。

川原や中州でキャンプするとか、命知らずに過ぎる。

飛行ユニットは天候も監視、雨雲がないかチェックする。

山歩きについてはデイエートの独壇場。先頭で案内役。

平坦な道を歩いているかのようにひょいひょい歩く。

ネコミミコンビ、鬼人婦長も快調。身体能力が元々優れているんだろう。

先生も意外と快調。昔取った杵柄って感じ?

ここ数日、3人組を鍛えていたのがリハビリになったのか?

ベータ君は見かけによらず健脚。鍛えてるな。

お嬢様も意外とタフだ。デイエートについていってる。

もちろん、妹エルフが気を使ってるんだろうが、楽しそうに言葉を交わす余裕がある。

そうすると割を食うのがキラすけ。

かなり頑張らないとついていけない。

ひーひー言ってる。

最後尾についている俺だが、自然とキラすけ専属みたいな感じになってる。

「大丈夫ですか? キララさん?」

「だ、だいじょぶ…頑張る。」

だんだん川幅が狭くなり、川原も小さくなってきた。

川原から上がって斜面に刻まれた小道に。

狭いので一列。自然と会話も少なくなる。

踏み固められたようになっているので、歩くのはかえって楽になったようだ。

「ふっ、ふっ、ふー、ふっふっふー」

おお、キラすけ、ちゃんと呼吸法やってんじゃん。

偉いぞ、頑張り屋だ。

ディスカムから境遇を聞いた後だけに、応援したくなっちゃうね。


川が二つに分かれている。

正確に言うと、支流が合流している。

「こっちね、この辺からきつくなるよ。」

デイエートがうれしそうに言う。Sっ気ありか。

チョロチョロと流れる支流に沿って移動。

もう、歩くって感じじゃない。登るって感じ。

お嬢様も余裕がない。

キラすけは半分俺が抱っこしてる状態。

ちょっと平らな所に出る。

樹木が密集してきた。鬱蒼とした森。下草が意外に少ないので、歩きやすい。

日差しがいい感じさえぎられている。木漏れ日。森林浴っぽい雰囲気。

木々の間から漏れる光がちょっと幻想的。

「うわわ…」

キラすけが声を上げる。

王都育ちじゃ、こんなのは初めてか。

「ふうー」

誰が言ったでもなく、休憩タイムになる。

キラすけ、体は疲れているんだろうけど、ちょっと興奮気味。

疲労回復に蜂蜜入りドリンクを

「蜂蜜じゃないぞ、樹液を煮詰めたものだ。」

え、メープルシロップでしたか。

「特製ポーション入りだからな、疲れが取れるぞ。」

大丈夫なんでしょうな? 変なもの入ってないよね? 先生。


デイエートと先の行程を打ち合わせ。

「もう少し行った所にいい場所があるんだ。そこで食事にしよ。」

「お兄ぃと見つけた場所…汗も流せるしね。」

ほほう! 水浴び! そう言えば、兄エルフと一緒に水浴びしてるって…

ほほう! その場所ですか?

ジト目でにらまれた。

「また何か妙なこと考えてるんじゃないのか?」

おおっと! 相変わらず勘が鋭いね。


「ちょっと、失礼。」

とお嬢様。

「ちょっと、失礼させてもらう。」

とアイワさん。

「ちょっとごめんにゃ!」

とスカジィちゃん。

「あ、ごめんなさい。」

とサジーさん。

「おしっこ…」

とキラすけ。

「私もおしっこ…」

と先生。

はっきり言っちゃうんですね、先生。

……

あ、思わずデイエートのほう首動かして見ちゃった。

「な、な、こっち見るな!」

そして、つい二人して同時に見る、ベータ君。

「あ、う、ううう~。」

真っ赤になって絶句するベータ君がかわゆい。


休憩&おトイレタイム終了。

ちょっと妖しいポーション入りドリンクのおかげだろうか?

みんな元気出た。キラすけもだいぶ回復。

「さあ、もうひと頑張り!」

デイエートの掛け声で出発。


さらに1時間ほど歩くと兄妹エルフおすすめの場所に着いた。

森の木々に囲まれた滝。

と言っても落差は5メートルくらい。

二階建ての屋根から落ちてくるくらいの高さ。

直接、水面に落ちてくるわけではない。

急斜面に沿って岩肌を覆うように流れ落ちる。

そのせいで水音は小さく、滝つぼも泡立つことなく澄んでいる。

滝から下流は流れが穏やかに見える。見た目より深そうだ。

先ほどまでたどった支流とは別の川なんだな。

下草と苔が川の流れぎりぎりまで迫っている。

森のエルフにふさわしい場所。

みどりの滝だ。

「素敵…」

お嬢様が感動してる。

キラすけも口あんぐり、言葉もない。

美しい。俺も感動。

「滝を登れば、目的地まで30分くらい、今日はここで泊まり。」

デイエートはかなり綿密に計画を立ててきたようだ。

「あ、あった。まだ残ってた。」

川べりの平地の片隅に石で組んだかまどがある。

「前来た時、お兄ぃと組んだやつ。」

「これ使えるにゃ!」

「アイザックさん、荷物を降ろしてくださいな。」

サジーさんの指示でキャンプの支度。

かまど用の触媒魔法陣をセット。

炭も持ってきたけど、明日もあるので節約。

枯れ枝を拾い集めて薪代わりに使う。


「食事の前に水浴びするか、アイワも洗いたいだろ?」

おう、先生。ナイス提案!

「そうですね、なんかついてるかもしれないし。」

いっぱい斬ったからね。

周囲を見回す。

あの岩のてっぺん。ここが見えるな。

よし、飛行ユニットはあそこで待機。周囲の警戒だ。望遠モードでね。

タマちゃん、飛行モード、歩行モード随時切り替えで、周辺の警戒をお願い。

ローアングルでね。

トンちゃんは水中モードのテストだ。川に危険生物がいるかも知れないしね。

『ちょ!何してるんですか』

おっと、ナビ君。わかってる。女湯での使用は禁止だよね。

でも、ここ、女湯じゃないしー。川だしー。

警戒は必要だしー。

どんな小さな危険も見逃しませんよ。

特にお嬢様とかね。

ええ、見逃しませんとも。



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