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襲撃されるよ


エルディー先生、俺、アイワさん。

こちらは3人。敵集団は…16人。

タマちゃんのセンサーで捕らえたから間違いない。

そして、武装集団を発見した直後に飛行ユニットを呼び寄せている。

馬車の警護に当たってもらう。

小走りに駆ける。途中で手ごろな石を拾う。ちょっと大きいな。

「第1班の手前で知らせてくれ。」

そう言うと先生は何かぶつぶつと唱えだした。

詠唱魔法?

「まもなく遭遇。」

向こうもこちらに気付いた。

待ち伏せが失敗したことが分かったのだろう。何人かが街道に飛び出した。

「眼を逸らせ、閃光輝ライトニング!」

閃光が走る、目くらまし。

待ち伏せる側にとってはこれほどタチの悪い魔法もないだろう。

来るとわかっていても、相手を見ないでいるわけには行かないのだから。

要領の悪い奴は視力を奪われた。

とっさに眼を逸らした奴もいたが、ほぼ同時に先生の詠唱魔法が炸裂。

あらかじめ詠唱しておいて、発動のタイミングを調節できるのか。

雷神槌サンダーボルトの拡大版? 雀竜との戦いで見せた自動追尾型。

魔法陣護符のものとは威力が違う。地面を這った電撃が襲撃者に襲い掛かる。

たちまち3人が黒こげ!

おお? 雷撃を受けたのに動ける奴がいる。頑張るな。

「ほう、レジストしたか。やるじゃないか。」

だが、そこに俺の投げた石が。

電撃と石と、両方同時には防げないらしい。

雀竜のウロコをぶち抜いた投石、手加減したつもりだったが加減が難しい。

大き目の石だったんで貫通はしなかった。

野盗に偽装するための軽装鎧じゃ刃物や矢は防げても衝撃は防げない。

派手に吹っ飛んだ。たぶん肋骨とかへし折れてる。ぐしゃぐしゃ。4人目。


鬼人婦長アイワさんが男が振り下ろした剣をかわしその脇をすり抜ける。

と、ころりと首が落ちた。うわあ! 5人目。

リプレイ。

振り下ろされた男の剣をぎりぎりでかわすと、鞘を振り出して相手の剣を押さえる。

一歩踏み込んで体を密着させ、刀を抜く。

抜きながら刃をがらあきになった首筋に押し付けると、そのまま走り抜ける。

結果として、首を引き切る形に。一瞬で防、攻、そして次の敵まで視野に。

アイワさんの斬撃。迅い!

そもそも人間と鬼人とでは基礎能力が違うようだ。

雀竜のウロコを両断する日本刀…は背負ったまま、腰に下げていたカタナ風の剣を使う。

これは工房製。

後で聞いた話では、切れ味より丈夫さ優先らしい。曲がることはあるけど折れることはないと。

それなりの切れ味だから、派手にぶった切ったりはしない。

剣とか刀って要するに鉄の板だから縦にして殴れば斬れなくても骨は折れる。

ぶん殴って動きを止めて、こすって斬る。そんな感じ。撃と斬を使い分けてる。

押し当てて滑らす。あと、刺す。

小手から面! 剣を取り落として、殴られてからガードする絶望的な実力差。

頭を殴ったのは両手を上げさせるため。

がら空きになった股間にカタナを差し入れ、抜く。

太腿の動脈を切断すれば出血多量で終了。30秒で絶命するらしい。6人目。

すでに涙目で切りかかってくる奴の斬りこみをかわす。

いつの間にか逆手に持ち替えたカタナの柄で脇腹に突きを入れる。

反射的に身体がくの字に曲がる。

首筋に刃を押し当て頭をつかんで滑らせる。

頸動脈を切断すれば、脳への酸素供給が絶たれるから即、意識消失。7人目。

最後の一人は逃げ出そうとした。相手の方が速いのに背中見せる、もうパニック。

突きが入る。一見ちょんちょんと軽い感じで2回。左右二か所。

突き刺して両方の肺を破った。呼吸が出来なくなって窒息する。8人目。

第1班は全滅。


後方にいた第2班が飛び出してくる。

待ち伏せが失敗した時点で撤退した方が良かったんじゃないですかね。

こっちの戦闘力を完全に読み違っているぞ。

アイワさん、魔法護符ディスクを取り出して、投げる!

氷雪虎スノーレパード! 八つ裂き氷輪アイススラッシュ!」

水平回転、滑空するディスクから氷が成長。

巨大な雪の結晶、雪印回転手裏剣に!

先頭の男が剣でガードする。が、結晶のかぎかぎ部分が剣に引っ掛かってくるっと回る!

そして、男の首筋を切断。血を吹き出して倒れる。9人目。


これを見ていた先生。

「おお、それ、カッコイイ! そうかーその手がなー」

感心してる場合じゃないですよ。まだ来ますよ。

「じゃあ、こうだ。ダイヤモンドダスト!」

両手の間に魔法陣が、氷雪虎と…送風魔法?

ミニサイズの雪の結晶が男たちに吹き付けられる。

低温が維持されるから魔法氷は溶けにくいんだよな。

鋭利な結晶片が、皮膚に、目に突き刺さる。

「うわわあー!」

顔を覆う襲撃者たち。

「げは!」

血を吐いた、鼻血も!

刃物と化した結晶を吸い込んだために、喉と鼻、肺を傷つけられたのだ。

「んん? ダイヤ…ダスト…ブリザード…ホ、ホ、ホーロドニー…スメ」

名前考えるのは後にしてくださいな、先生。

てか、今思いついたの? その魔法。

「これはいい、臭くないしな。」

ああー確かに、雷神槌も炎縛鎖も相手が黒焦げになるからね。

はっきり言って臭い! 焦げ臭い。

「凍らせる方がいいな。」

弱めの雷神槌で動きを止めて、氷雪虎で凍らせる。

全身凍らせる必要はない。心臓か脳だけでいい。

成長した結晶によって体組織は切り裂かれる。

たぶん解凍しても生き返ったりはしない。10人目。11人目。


俺、なんにもやってない? そんなことはないですよ。

襲撃者の中でも一番でかい奴が斧みたいなやつを振りかぶる。

突進! 襲い掛かってきた。

いや、そんな遠くから丸わかりの構えで走ってくるってどうなの?

まあ、いいとこ見せないとね、俺も。

ここはビームでしょう。

今までのビームは貫通力は高かったが、それだけに制人力に欠けた。

ストッピングパワー、突進してくる相手を止める、押し戻す力。

普通の個体の弾丸とちがってビームにはこれがない。

投石なら強力だが、石拾ったりするのが面倒。

あと、モーション大きいので近接戦闘では不便。

あ、待てよ、指弾とかどうだろ? 指で小石を弾き飛ばす。

昔、忍者マンガで読んだな。後で練習します、横山先生。

ちょっと考えてたのが、この間練習したレーザープロジェクター。

あれの応用で一定の範囲を高速走査して10センチ四方くらいを加熱する。

一回スキャンするのに1/120秒しかかからないからあたかも太い熱線ビームのようになる。

光○力ビームじゃなくてブレス○○ァイヤーな感じ。

獣機相手に使った場合にはどのくらい効果があるかはわからない。

でも、今回みたいに相手が生き物だととても有効。

鎧の無いとこ、肩口のあたりに照射。

プロジェクションマッピングの要領で目標にだけ照射する。

これなら貫通しないから、後ろを気にしなくていいし。

体組織に含まれる水が一瞬で蒸発。体積がいっきに1700倍になる。

いわゆる水蒸気爆発。自分の体の一部が爆発して吹っ飛ばされる感じ。

うーん、腕が吹っ飛んじゃったね。ちぎれた。12人目。

持ってた斧がすっとんで、かえって危ない。

先生も、うひょっ!って感じで肩をすくめた。

ビームランプの過熱が心配?

ふふふ、氷雪虎を習得したから、もうその心配はないんだよなあ。

冷蔵庫製作のために練習したから、程よく冷やせるんですよ。

氷雪虎、すげー便利!


その間にアイワさんと先生が一人ずつ片付けてた。13、14人目。

見てなかった。あとでリプレイしよう。


そして、実は戦闘が始まると同時に、左腕拳骨シュートを発射してました。

石を拾えないのはこれも原因。

タマちゃんから送られてくる映像を利用してコントロール。

さっき敬礼されていた頭目風の男、たぶん隊長、を捕獲。

脚をつかんで推力噴射。人間ねずみ花火。

2,3回ひっ転がして、振り回して程よく四肢をへし折った。

ついでに、も1人巻き込んでぶちのめした。15、16人目


待ち伏せ作戦は始まる前に失敗。撤退命令を出すべき隊長は行動不能。

あ、逃げなかったのは俺のせいでした。

混乱した隊は全滅ってことに。

そして、俺たちの前には隊長頭目が。ボロボロ。

「さて、一応誰の命令で動いているか聞こうか?」

先生が見下ろす。

無様にへたり込んだ男だが、意外とふてぶてしい。

「くくく、勝ったつもりか。だが、今頃は刺客が…」

「何だと?」

あー、この人たちのことでしょうかね?

飛行ユニットがぐったりしたヒトを二人ぶら下げて飛んできた。

どさりと放り出す。

「なんだ?」

「いえ、レガシの街の方から馬車を追いかけてきていたんですが…」

偵察ドローン2号で会話を盗み聞きしたらこいつらの仲間だってわかった。

まあ、その後色々あってこんな感じに。

「そ、そんな馬鹿な…お前ら、いったい…」

狼狽する頭目隊長。

「しゃべらん! 俺は何もしゃべらんぞ!」

先生が肩をすくめる。

「もういいや、どうせ至上主義者の貴族かなんかだろ。」

男が黙り込む。図星ね。

「事情は支店長が知ってるだろうしな。」

「どうします?」

アイワさんが尋ねる

「せっかく盗賊に化けてくれたんだ。そう言う事にしとけばいいだろう。」

「そういうわけだから、死人に口なし。」

「ま、待ってくれ! 話す! 話す! モアブ伯爵の命令…」

「なんだ、ブレビーんとこのバカ坊主か。」

お知り合い?

「もう、いいよ。」

軽く頭に触れる。男の頭部が凍り付く。

眼とか、鼻とかから氷の結晶がつららみたいに突き出してきた。

先生、意外と冷酷だ。

実戦経験も豊富みたいだし、単なる研究者や魔導師とは違う。

どんな過去があるんだろうか?


「さて、馬車に戻る。アイザック、お前はこいつら、見えないところに投げといてくれ。」

人使い荒いな、先生。まあ、人じゃなくてロボですが。

「この辺、食べてくれるような野獣とかいたっけ?」

アイワさんも首をひねる。

「さあ、その辺はデイエートさんの方が詳しいのでは?」

あれだけ斬ったのに、全然汚れていないのが凄い。

致命傷を与えた後、よどむことなく次の相手にむかって移動するので返り血を浴びる間もない。


16人プラス2人投げるのはけっこう大変だった。

でもおかげで人の投げ方が上手くなりました。

今なら20メートルくらい飛ばせる。なにか役に立つとは思えないけど。

後でビクターさんが何とかしてくれるのを期待して一か所にまとめておく。

けっこう悲惨な光景になったな。これ。

襲ってきたのは向こう。盗賊に偽装したうえでお嬢様を暗殺するつもりだった。

逃がせばまた襲って来ただろうし、こちらの戦力を学習してもっと厄介になっていたはず。

この処置が正しい。

それは間違いないだろう。だが、割り切れたわけじゃない。

不快だとか後悔があるとかそういうのじゃない。

むしろ全く気にならないとか、ためらいがないってところが変だ。

雀竜の時のほうがまだ葛藤があった気がする…

この身体…ロボじゃなかったら決断できただろうか?

今の俺はどこまでが俺のままなんだろう?


さて、飛行ユニットは上空監視に戻る。

偵察ドローン2号もご苦労さん。

2号を改めて見てみると…え? タマちゃんと違う!

てっきり同型だと思ってたけど…全然、形、違う!

タマちゃんはテントウムシに蜘蛛をくっつけたようなスタイル。

たたんだ時はボール型、カプセルガチャアイテム。

こっちは…トンボ! でかいからオニヤンマって感じ。

4枚翅でスマート。

『飛行性能は1号より上です』

『水中行動も可能』

トンボの幼虫はヤゴ、水棲だもんな。

手にとまると、羽をたたんだ。ここはトンボと違う。

翅の一対がまるでカバーのようになって、角の取れた円筒形に。

表面はなめらか、つるつる。

なるほど、この状態で水中行動するんだな。

……あー、これ、見たことある…そっくり…

防水マッサージャー。 うん、マッサージャーだからね。

マッサージするんだからね、バイブレーションするけど。

マッサージャーだから独身OLが通販で買っても恥ずかしくないよね。

一人暮らしの女子大生だって肩がこるから必要だよね。

防水機能はお風呂で使うためだからね、必要だよね。

親近感、湧くわー。俺も結構、マッサージするからね、最近。

…この形、オ○ホヒーターとかにも似て… いやいや、そんなことないですよ。

トンちゃん。トンボだからトンちゃん。

タマちゃんと違って地上走行とかは無理みたい。

空中偵察はこっちに任せよう。君に決めた!

水中行動か…なら女湯でも…

『女湯は禁止』

おうっと!

じゃあ、交代。タマちゃんは先生の後を追ってね。

馬車にくっついて警護監視をお願いします。

おっと、トンちゃんと比べてるわけじゃないよ。

ローアングル撮影が必要な時はタマちゃんの出番だからね。



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