第七十三話 連撃と連弾
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「兄者いいのか!?こいつらやっちゃっていいのか!?」
レムルスはおもちゃを与えられてはしゃぐ子供のように言った。
「ああ。今度こそ本当にいいぜ。レムルス準備はいいか?」
「もちろんだぜ兄者!いつでもぶっ放せるぜ!」
レムルスが返答をした瞬間、レムルスの両腕の輝きがより一層増した。
ロンバルドはそれを見て警戒を強め、シェスターに警告を発した。
「来るぞシェスター!」
するとシェスターの両腕もレムルス同様、色こそ違えその輝きを弥増した。
「こちらも準備万端ですよ。いつでもどうぞ」
そして四人はひとしきりにらみ合った後、ついに戦いの火蓋を切って落とした。
まず動いたのはレムルスであった。
地響きのような雄たけびを上げながらレムルスは、真っ赤に輝く両腕を勢いよく振り上げた。
そして頭上高く掲げたそれを、ロンバルドたちめがけて両腕の光り輝く紅球を放つかの如く、力いっぱいに振り下ろした。
紅球は勢いよくレムルスの両腕から離れると、ロンバルドたちに向かってうなりを上げて迫った。
だがほぼ同時にシェスターもまた、レムルス同様その両腕から光り輝く蒼球を力強く放った。
二つの光球は二人のちょうど中間地点で衝突し、爆発的な激しい光を周囲に放った。
するとその輝きの中から一筋の影が凄まじい速度でロンバルドめがけて飛び出してきた。
ロンバルドはすでに抜き放っていた剣を両手で強く握り締め、正眼に構えて来るべき斬撃に備えつつ、その影の一挙手一投足を見逃すまいと目を細めて凝視した。
すると影はそのままの勢いで一足飛びに間合いをつめ、ロンバルドに袈裟懸けに激しく切りつけた。
ロンバルドは剣の切っ先を返して顔前で辛くも受け止めると、全身の力を込めて力強く跳ね返した。
「やるじゃねえか、お坊ちゃんのくせによ」
影の正体はロムスであった。
ロムスはレムルスの魔法攻撃に合わせ、見事な同時攻撃でまずはロンバルドを仕留めようと光球の爆発をものともせずに飛び込んできたのであった。
事実、ロムスのざんばらに散らばった蓬髪は、その一部が茶色く変色し強烈な焦げた匂いをあたりに撒き散らしていた。
ロンバルドはその香ばしい匂いに鼻腔をくすぐられながらロムスの次なる攻撃に備え、攻防のバランスがもっともよいとされる正眼の構えへと素早く戻した。
するとロムスは先ほどとは異なり、下段の構えから地を這うような逆袈裟に切り上げてきた。
ロンバルドはそれを剣で受けることはせずに後方へ大きく跳び退った。
ロムスは逆袈裟から振り上げた刀を素早く返し、大きく一歩踏み込んで再び袈裟懸けに切り込んだ。
ロンバルドはたまらずまたも後ろに大きく引き下がって回避しなんとか事なきを得たものの、誰が見ても劣勢は明らかであった。
すると先ほど二つの光球がぶつかりあった地点で連続する爆発音が激しく鳴り響いた。
「ほう。あっちもやるな。レムルスと互角とはな」
ロムスはロンバルドと対峙しているにもかかわらず、泰然とした態度で後ろを振り返り、爆発を楽しそうに眺めながら言った。
(やはりこいつ……強い)
ロンバルドは先ほどの鋭い連続攻撃や、今の余裕ある態度を見て改めて強くそう思った。
(いや、こいつだけではない……弟のほうもだ……シェスター気をつけろよ……)
ロンバルドがシェスターを思いやり、一瞬そちらをちらりと見やった瞬間、それを見逃すことなくロムスが一気に間合いをつめて飛び込んできた。
(しまった!)
ロンバルドは必死の思いでロムスの攻撃を剣で払って何とか受け流すも、ロムスは二の手三の手と次々に更なる連撃を繰り出し、ロンバルドに容赦なく襲い掛かった。
そのためロンバルドはまたも大きく後退を余儀なくされたのであった。
2
「ふむ。どうやら攻撃力は互角のようだな」
シェスターは次々と青白く輝く光球を、対峙するレムルスに放ちながら冷静に彼我の実力を見極めようと分析していた。
「だが魔力とは一発の攻撃力が全てではない……では、これはどうだ!」
シェスターは不敵な笑みを浮かべつつ、光球を先ほどよりも遥かに高速で次々と打ち出しはじめた。
シェスターは休むことなく十発二十発と次から次へと打ち放ち、その速度は射出回数が増えるほどに上がっていった。
そして百発ほども繰り出すころには点と点が繋がって、傍から見れば一本の線のように見えるほどとなった。
すると光球同士がぶつかり合う爆発地点が、見る見るうちにレムルスのほうに近づいていき、レムルスは完全に苦境へと陥っていった。
「ぐっ!ぐっそー!ごんの野郎ー!!」
レムルスは劣勢を挽回すべく光球の発射速度を自らの限界まで上げた。
しかしシェスターの発射速度には及ばず、さらに自分に近づいてくる爆発地点に恐怖を憶えたレムルスは、ついに悲鳴混じりにロムスに助けを求めた。
「兄者ー!やばい!助けてくれー!!」
シェスターはそれを聞いて再びにやりと不適に笑った。
「悪いが……とっとと片を付けさせてもらう」
言うやシェスターは、容赦なく連弾の速度をさらに速めたのだった。




