第千四百三十八話 引き寄せ合う
シェスターの驚くべき発言に、カルラは二の句が継げなかった。
だがそれはガイウスも同じで、それまであまり興味なさげだったものが、首を極端に前に出して素っ頓狂な表情でシェスターを見つめたのだった。
「……え、何?……世界が変革するって言ったの?」
シェスターは大きくうなずいた。
「そうだ。もっと正確に言えば、その可能性があるということだった」
「相手は人間なんだよね?」
「そのようだ」
「そのただの人間と、俺が出会うと世界が変革する可能性があるって、イオーヌが言ったの?」
「そうだ。無論そう吹き込んだのは、ルキフェルだ」
「……ただ会うだけで……じゃあ偶然何処かで出会っちゃったらどうなるんだ?そりゃあ世界は広いし、万分の一の確率以下だろうけどさ?」
するとシェスターがゆっくりとかぶりを振った。
「いや、互いがそうと認識している必要があるらしい」
「……互いが認識……それってもしかして……」
ガイウスは何か言おうとして、途中で止めた。
そしてしばらくの間、難しい顔付きとなって考え込んだ。
シェスターはカルラと共にその間、静かに待った。
するとようやく考えがまとまったのか、ガイウスが重々しく口を開いたのだった。
「……たぶん、そいつも特異点だな……」
ガイウスの発言に、シェスターが大いにうなずいた。
「わたしもそう思う。というかそれ以外考えられない」
するとカルラが小刻みに首を縦に振りながら言った。
「もう一人の特異点か……だがそうなると一つ疑問点が浮かび上がるな?」
これにシェスターがすかさず答えた。
「はい。何故これまで出会わなかったのかという疑問点ですね?」
これにカルラはうなずいたものの、ガイウスは怪訝そうな表情となってシェスターに問い質した。
「うん?だから世界は広いし、そうそう出会ったりはしないんじゃないの?」
ガイウスの問いに、カルラが少々呆れ顔で言った。
「何を言っているんだお前は。お前自身の特性を忘れたのかい?」
「俺自身の特性?……あっ!そうか、あらゆる事象を引き寄せるって奴か!」
「そうさ。その引き寄せるの中には人物も含むんだ。だったらもう一人の特異点を引き寄せていなきゃおかしいだろう。何せ互いに引き寄せ合うんだ。力は二倍だろうさ」
「そうか……じゃあ何でだ?ていうか相手は特異点じゃないのか?」
するとシェスターがそこで二人の話を引き取った。
「そこでですが、ルキフェルとサタンです」
ガイウスはシェスターの発言の意味が判らず、ぼけーっとした表情で聞き返した。
「へ?……何?どういうこと?」
「先程の話しさ。思い出せないかな?」
シェスターはそう言うと、ニヤリと口角を上げて笑うのであった。




