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第十一章 神の棺

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第千四百十四話 跳びに跳ぶ

「ふむ、そういうことか」


 シェスターがうなずきながら言った。


「ええ、だってわたしたちは速攻で逃げるつもりだったし」


 イオーヌは悪びれずに答えた。


「ふむ……では戦ったわけではないんだな?」


「そうよ。だって危ないし」


「確かにな。あのガイウス君や、エル様が敗れたくらいの相手だからな」


 シェスターはそう独りごちると、あらためて問うた。


「それを思えば、よくその相手から逃げ切れたな?トポロが引きつけてくれたおかげなのじゃないか?」


 するとイオーヌがムキになったのか、少し口をとがらせた。


「そんなことないわよ。速攻で飲み込まれちゃったんだから」


「そうなのか?」


 シェスターがアルスたちの方を見て問うと、二人ともうなずき、代表してオルテスが答えた。


「確かに速攻で飲み込まれてしまっていたな。可哀相なことをしたと思っている」


「ほらね?」


 イオーヌが勝ち誇ったように言った。


「わかった。で、どのようにしてその後逃れたのだ?」


 すると、事も無げにイオーヌが答えた。


「跳びに跳びまくったのよ」


「飛んだのか?飛行出来たのか?」


「違うわよ。異空間に跳んだのよ。もっとも飛行もやれば出来るけどね」


「そうなのか?ならば何故先程は飛ばなかったのだ?何故地下道をわざわざ歩いて、ここまでコメットたちを運んだのだ?」


「簡単よ。疲れるからよ」


 あっさりと言うイオーヌに、シェスターが苦笑を漏らした。


「なるほど。確かに簡単な理由だな。だが異空間に跳ぶのは疲れないのか?」


「もちろん疲れるわよ。飛行よりもはるかにね。でもしょうがないじゃない。緊急事態だったのよ。疲れるからとか言ってられないわよ」


「確かにそうだな。だが緊急事態ということは、アルスたちが地下水路に向かったのは予想外だったのか?」


「そうよ。その前の日に地下水路に入るっていうから止めたのよ。そうしたらこの人たち、『わかった。やめておく』って言ったのよね。なのに次の日……」


 イオーヌが咎めるような視線をアルスたちに送った。


 するとアルスが申し訳なさそうに頭を下げた。


「すまなかった。我々は既に地下水路へ入ることを、心に決めてしまっていたので……嘘をついて申し訳なかった」


 イオーヌはうなずき、アルスの謝罪を受け入れた。


「いいわ。許してあげる」


 イオーヌはそう言うと、再びシェスターと向き直った。


「他になにか聞きたいことある?」


 するとシェスターが意を決したように言ったのだった。


「何故アルスたちを助けようと思ったのかをまだ聞いていないのだが?」

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