Sense and Sensibility ――事実の、その先へ――
本作は法律を参考にして作ったフィクションです。
現実とは、少し違う顔をしています。
【世界標準時】
十二時三分
二枚の記録板を並べた。
【差止めの訴え】
【仮の差止め申立て】
書き始めてから、まだ五分しか経っていない。
机の上には朝から集めた記録が残っている。空白もまだあるが、どこが分からないのかまでは、もう見えていた。
クロセは使い続けてきた確認表を二枚の書面の横へ置いた。
「それを、そのまま写すつもりではあるまいな」
シグレの声に、確認表へ触れていた指が止まった。
「そのつもりでした」
「やめた方がよいでござるよ」
クロセが顔を上げると、シグレは確認表ではなく、その隣にある二枚の書面を見ていた。
「調べるために必要だった問いと、裁定者へ渡すために必要な問いは違うでござろう」
言われて、もう一度確認表を見る。
誰が求めるのか。何が失われるのか。後から戻せるのか。今ある手続では間に合わないのか。止めた場合と実施した場合に何が起きるのか。
どれも必要だったが、それを全部同じ重さで並べれば、何を判断してほしいのかまで埋もれてしまう。
クロセはしばらく二つを見比べ、確認表の方を横へ押しやった。
「……減らします」
「ようやくでござるな」
「そんなに多かったですか」
「朝からずっと多かったでござる」
「必要でした」
「そこは否定しておらぬよ」
少しだけ眉を寄せながらも、クロセは反論せず、二枚の書面に共通して必要になる項目だけを抜き出した。
【裁判用整理】
一 原告・申立人
二 償うことのできない損害
三 緊急の必要
四 四 本案について理由がないとみえる事情の有無
五 公共に関わる利益
六 求める範囲
「六個になった」
グレンが肩越しに覗き込む。
「減りました」
「感動するところか?」
クロセは六行を見直してから、わずかに頷いた。
「少し」
「朝から見てると、まあ分からんでもねえけど」
そこで机の端へ手を伸ばした。
あるはずのカップに、指先が触れない。
「こちらです」
隣を見ると、リラが新しいカップを持っていた。
「交換しました。前の、完全に冷めていましたから」
「飲めましたよ」
「飲めるかどうかではありません」
温かい茶を置くと、リラは何事もなかったように自分の資料へ戻った。
クロセは湯気の立つカップとリラを交互に見る。
「いつ替えたんですか」
「少し前です」
「気づきませんでした」
「知っています」
妙に満足そうだった。
理由を聞こうとしたが、口を開く前にやめた。今は書面へ戻った方がいい。
代わりに一口飲むと、まだ熱かった。
◇
【世界標準時】
十二時十九分
最初に埋めたのは、最後まで空欄だったところだった。
【求める範囲】
星空サロンだけを対象から外す案は、すでに落としている。一方で、現在実施されている負荷抑制措置まで止める理由もない。
ならば、その間を切ればいい。
クロセは一度入力欄の上で指を止め、それから二行を書き込んだ。
【現在実施中の負荷抑制措置は維持する】
【既存登録拠点の強制移転段階への移行のみ停止する】
グレンが二行を読み、口元を歪めた。
「運営からすると、一番嫌な止め方だな」
「なぜです?」
「今やってる面倒な制限は全部続けろ。でも、その先には行くなって言ってる」
クロセは改めて二行を読み直した。
「……そうです」
「鬼だな」
「困るとは思います」
「そこは否定しろよ」
「事実なので」
グレンが額を押さえ、隣でリラが小さく笑った。
シグレは二行を眺めたあと、組んでいた腕をほどく。
「全部を止めるのではなく、争う段階だけを切るのでござるな」
「ええ。これで行きます」
空欄が一つ埋まった。
クロセは右肩を軽く回してから、次の項目へ目を移した。
「リラさん」
「はい」
「先ほどお願いしたこと、考えていただけましたか」
リラが記録板から顔を上げる。
「何が残れば、移転しても同じように続けられるのか、ですよね」
「それと、何を失えば同じようには続けられないのかです」
リラはすぐには答えず、サロンの中を見回した。
カウンターがあり、椅子とテーブルがある。少し離れたところではシオンが記録を整理し、その向こうでは何人かの利用者が話していた。
「建物は、たぶん作り直せます」
クロセは入力を始めず、そのまま先を待った。
「机も椅子も、同じものを置けばいいです。看板も作れますし、新しい場所だって覚え直せます」
そこでリラの視線が、利用者たちの方へ動いた。
「でも、『ここへ来れば誰かいる』って思ってもらえていることは、どうやって移せばいいんでしょう」
クロセの指が止まった。
「初心者の人が困ったから来る。久しぶりに戻った人が、とりあえずここで聞こうって来る。別に用事がなくても、お茶だけ飲んで帰る人もいます」
今度は、自分の席を見る。
「私も、そういう人が来ると思っているから、ここにいるんです。場所を知らせれば、みんな同じように来てくれるんでしょうか」
「……分かりません」
「ですよね」
クロセは空欄へ指を置いたまま、「ここへ来れば誰かいる」という言葉をもう一度思い返した。
そのまま書面へ置くわけにはいかない。
一度書き始め、途中で消したあと、記録で支えられるところまで言葉を変える。
【建物、設備及び登録場所については代替又は再設定が可能】
【他方、措置以前から形成された反復的な利用、相談及び交流関係について、移転後も同様に継続又は回復することは確認できない】
【申立人自身については、星空サロンを中心として継続してきた活動への直接的影響あり】
リラが横から覗き込んだ。
「私の話が、ずいぶん固くなりましたね」
「裁定者へ渡しますので」
「さっきまで、お茶の話だったのに」
クロセは二行目を指した。
「お茶を飲みに来ることも、ここに含まれています」
「そういう意味じゃないんですけど」
リラは笑った。
クロセは眼鏡の奥で少し目を細めたが、何が違うのかは分からなかった。
◇
【世界標準時】
十四時三十九分
窓から差し込む光の角度が変わり、机の上には短い影が落ちていた。
二枚の書面はかなり埋まっている。
シグレはそのうち一か所を指した。
「これでは、まだ『確認したい』でござるな」
クロセは返事をせず、指された文章を拡大した。
「強制移転が本当に必要なのか教えてほしい、では、差止めを求める主張にはならぬ」
「……そうですね」
グレンが椅子の背へ身体を預けたまま、横から口を挟む。
「じゃあ、お前はどう思ってんだよ」
その問いには、すぐ答えられなかった。
クロセの視線が現行措置の記録から強制移転の布告へ移る。
今の措置に効果がないとは言えない。強制移転が必要ないとも、まだ言えない。
それでも、動かしたあとに同じ状態へ戻せるか分からないものだけは、朝よりはっきり見えるようになっていた。
「クロセさん」
呼ばれてリラを見る。
「私、止めてほしいから原告になったんですよ」
クロセは一度瞬きをした。
「……そうでした」
リラの眉が上がる。
「忘れてません?」
少し考えてから、クロセは視線を逸らした。
「少し」
「もう」
呆れた声だったが、リラはすぐに表情を戻した。
「世界がどうなるか、私には分かりません。強制移転が絶対に必要ないとも言えません」
クロセは黙って聞いた。
「でも、私がここを失いたくないことは分かります」
今度は笑っていなかった。
「そのために、ここにいるんですよね」
しばらくリラを見たあと、クロセは小さく頷いた。
「そうですね」
「だったら、それを裁定者に届く形にしてください」
胸の奥に引っかかっていたものが、少しだけほどけた。
クロセは二枚の書面へ目を戻す。
事実を書いた欄は、もう埋まっている。
その下に残った【原告の主張】だけが空いていた。
「分かりました」
リラがその様子をじっと見ている。
「今、安心しました?」
指先が止まった。
「……かなり」
「本当に分かりやすいですね」
「リラさんも、今日はかなり分かりやすいです」
「クロセさん相手だからです」
平然と言われ、また指が止まった。
何と返せばいいのか分からない。
リラはその顔を見て少し笑っただけで、続きを促さなかった。
クロセは書面へ視線を戻す。
【原告の主張】
現行措置には一定の負荷抑制効果がある。
しかし、その不足がどの程度であり、強制移転によってどれだけ追加的な改善が得られるのかは、現在確認できる資料からは分からない。
一方で、強制移転によって、措置以前から形成されてきた利用、相談及び交流の関係が失われ、事後的な回復が困難になる具体的なおそれは存在する。
そこまで入力したところで、指が止まった。
これまでなら、ここで終わっていた。
その先へ進めば、確認した事実ではなく、自分たちの評価になる。
クロセは右肩を一度回し、書いた文章を最初から読み直した。
「……今、こちらから見えている事情を前提にするなら」
声に出してからも、すぐには入力しなかった。
一度、消去欄へ指が寄る。
そこで止めた。
「強制移転まで進むべきではありません」
今度は、そのまま書いた。
【現在の負荷抑制措置を維持できる現段階において、追加的効果の程度が確認できないまま、より回復困難な影響を生じ得る強制移転へ進むことは相当ではない】
【よって、本案の判断がされるまで、既存登録拠点の強制移転段階への移行を停止することを求める】
シオンが文章を読み終えるまで、誰も口を挟まなかった。
「ここは、確認された事実ではありません」
クロセは文字列を見たまま頷く。
「クロセさんの評価です」
「……そうです」
「残しますか」
すぐには答えられなかった。
朝から何度も、そこまでは言えない、と削ってきた。
だが、推測を事実として書かないことと、事実をどう評価するかを書かないことは同じではない。
クロセは入力欄から指を離した。
「残します」
シオンは一度だけ頷いた。
グレンが少し笑う。
「強くなったな」
クロセが顔を上げた。
「文章がですか?」
「お前がだよ」
「そうですか」
「そこは分かれよ」
本当に分からず、眉を寄せる。
「分かりません」
「戻った!」
グレンが声を上げ、その横でリラだけが妙に嬉しそうだった。
◇
【世界標準時】
十五時十二分
本案の芯が決まると、仮の差止め申立てはそれまでより早く進んだ。
二十二時より前に判断してもらうために必要な事情だけを、本案から抜き出していく。
リラ自身に生じる、後から回復することが難しい影響。
強制移転が予定されている時刻と、まだ結論の出ていない見直し手続。
現在の負荷抑制措置を残したまま、強制移転への移行だけを止められること。
最後に残ったのが、公共に関わる利益だった。
【世界を動かし続けること】
【利用者が、この世界を選び続けられる状態を維持すること】
「この二つ、いつも同じ重さではありません」
シオンに言われ、クロセは二行を見比べた。
「世界そのものが止まる危険が具体的に高ければ、そちらが重くなる」
クロセの指が記録板の縁を一度なぞる。
「それでも入れますか」
少し考えたあと、頷いた。
「残します」
【申立人の主張】
本世界を技術的に稼働させ続ける利益は極めて大きい。
他方、本世界は、利用者が継続して利用を選択することによって、ゲーム世界として成立している。
強制移転によって、利用者が本世界で活動を継続する基盤が損なわれる場合、世界維持を目的とする措置が、別の側面から世界の継続性を損なう可能性がある。
クロセは続けて、新しい欄を開いた。
【仮の停止による影響】
ここでは、別の比べ方が必要になる。
強制移転を一時的に止めても、必要性が確認できれば、その後に進む余地は残る。
一方、先に実施した場合、一度途切れた利用や散った人まで同じ状態へ戻せるとは限らない。
【現在実施中の負荷抑制措置を維持したまま強制移転を一時停止した場合、必要性の確認後に強制移転へ進む余地は残る】
【これに対し、強制移転によって失われた継続的利用関係については、事後的に従前と同様の状態へ回復できるとは確認できない】
シグレが二行を読み、顎へ手を添えた。
「戻しやすさが違う、ということでござるな」
「そう考えています」
「どちらを選んでも間違うかもしれぬなら?」
クロセは二つの記録を見比べた。
止めたあとでも、必要なら進める。
進めたあとでは、戻らないものがあるかもしれない。
「今は、後から戻せる方を選びます」
そのまま入力を続けた。
【現時点で判断に不確実性が残る以上、現在の措置を維持しつつ、より回復可能性の高い状態を暫定的に選択することが相当である】
シオンの視線が最後の一行で止まった。
「評価です」
クロセの指が、ほんのわずかに鈍った。
だが、今度は消さなかった。
「……分かっています」
そのまま次の欄へ進んだ。
◇
【世界標準時】
十五時四十一分
二枚の書面が並んでいた。
形にはなったが、まだ提出はできない。
シオンは添付記録の時刻と出典を照合し、シグレは世界律と強制移転布告の根拠を最後に確認している。グレンは少し離れた場所で外部連絡を引き受け、ときどきこちらまで怒鳴り声が届いた。
「だから再照会すんなっつってんだろ! 一回送ったなら待て!」
クロセは思わずそちらを見る。
「嫌だな」
本人も同じことを考えたらしい。
口元をわずかに緩めて書面へ戻ろうとしたところで、横へ置いていた資料が一束なくなっていることに気づいた。
「リラさん」
「はい」
「それは?」
リラは抱えた資料を少し持ち上げた。
「相談記録と利用者一覧ですよね。私が照合します」
「できますか」
言ってから、少し失礼だったかもしれないと思った。
リラは気にした様子もなく頷く。
「できます」
「では、お願いします」
「任せてください」
資料を抱え直した顔が、少し嬉しそうに見える。
クロセがそのまま見ていると、リラが首を傾げた。
「何ですか?」
「頼まれるの、そんなに好きなんですか」
一瞬だけ目を丸くしたあと、少し悪い顔で笑った。
「クロセさんになら、かなり」
今度はクロセが目を瞬いた。
「……そうですか」
「ですから、もう少しくらい困っても大丈夫ですよ」
「それは困ります」
「知っています」
それだけ言って、リラは資料を持っていった。
「クロセ」
グレンに呼ばれ、そちらを見る。
「お前も大概だぞ」
「何がです?」
グレンは何か言いかけたあと、片手を振った。
「もういい」
少し考えたが、やはり分からない。
クロセは二枚の書面へ視線を戻した。
空欄は、もうほとんど残っていなかった。
しばらくして、照合結果を持ったリラが戻ってくる。
「クロセさん」
「何かありましたか」
「その前に、一つ聞いてもいいですか」
クロセが顔を上げると、リラは二枚の書面を見ていた。
「勝てますか?」
すぐには答えなかった。
差止めの訴えを見て、それから仮の差止め申立書へ目を移す。
「分かりません」
リラは急かさずに待っていた。
クロセは仮の差止め申立書へ手を置く。
「でも、出せます」
リラの表情がほどけた。
「なら、出しましょう」
「まだです」
「え」
クロセは添付記録欄を指した。
「番号が二件ずれています」
リラの笑顔が止まった。
しばらく、二人の間に沈黙が落ちる。
「クロセさん」
「はい」
「やっぱり、そういうところですね」
「何がです?」
リラは小さく息を吐き、首を横に振った。
「分からなくて大丈夫です」
「そうですか」
「そのままでいてください」
今度は余計に分からなくなった。
クロセが理由を考え始めたところで、星空サロンの扉が開いた。
「セナ、ただいま戻りました!」
振り向くと、セナが制服姿のまま立っていた。肩には鞄を下げている。学校が終わって、そのまま来たのだろう。
セナは店内を見回し、クロセとリラのところで一度だけ視線を止めたあと、グレンを見る。
「……私、間違えちゃいました?」
グレンは顔をしかめたまま、わずかに目を細めた。
「間違ってねえよ」
その直後だった。
不意に、星空サロンへ鐘の音が響いた。
二度目の鐘。
会話が止まり、全員の顔が上がる。
空中へ新しい表示が開いた。
【世界標準時】
十六時〇〇分
【既存登録拠点に対する限定強制移転】
【実施予定時刻を更新しました】
【実施予定時刻 十九時〇〇分】
クロセは表示を見たまま動かなかった。
二十二時ではない。
十九時。
意味が頭に入るまで、ほんの一瞬遅れた。
隣でリラの指が、抱えていた資料の縁を強く押さえる。
グレンもしばらく何も言わず、十九時の表示を見上げていた。
やがて、視線だけをセナへ戻す。
「……さっきまでならな」
仮 の 差 止 め 申 立 書
世界標準時 ○年○月○日
黒環書庫 御中
申立人 リラ
相手方 レギュレーションオンライン 運営管理機構
本案事件 既存登録拠点強制移転措置差止請求事件
申 立 て の 趣 旨
1 相手方は、本案事件の裁定に至るまで、
王都ミトラノープルにおける既存登録拠点について、
現在実施中の負荷抑制措置を維持したまま、
強制移転段階への移行をしてはならない。
2 申立費用は相手方の負担とする。
との裁定を求める。
申 立 て の 理 由
第1 本案事件
申立人は、本日、相手方が実施を予定している
王都ミトラノープルにおける既存登録拠点の強制移転について、
その差止めを求める本案事件を提起した。
本件申立ては、上記本案事件の裁定までの間、
強制移転段階への移行を仮に差し止めることを求めるものである。
第2 本件強制移転
1 相手方は、全体同期及び接続の維持を目的として、
現在、王都ミトラノープルにおいて負荷抑制措置を実施している。
2 相手方は、その次段階として、既存登録拠点を対象とする
強制移転を実施する旨を通知した。
3 本件申立て時点における実施予定時刻は、
世界標準時二十二時である。
第3 償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること
1 《星空サロン》では、本件措置以前から、
申立人その他の利用者による反復的な利用が継続している。
同所は、相談、交流その他の活動のため継続して利用され、
初心者及び復帰利用者による利用も確認されている。
2 建物、設備及び登録場所そのものについては、
代替又は再設定が可能である。
しかし、強制移転によって従前の利用が中断した場合、
これまで形成されてきた反復的な利用、相談及び交流の関係が、
移転後に同様の状態まで回復することは確認できない。
3 申立人自身も、《星空サロン》を中心として
継続的に活動しており、本件強制移転による直接の影響を受ける。
4 本件強制移転の実施後に本案の判断を得たとしても、
失われた利用関係を従前と同様の状態へ回復することが
できるとは限らない。
したがって、本件強制移転の実施前に判断を得る
緊急の必要がある。
第4 本案について理由があるとみえること
1 相手方が全体同期及び接続を維持する必要があることについて、
申立人はこれを争うものではない。
また、現在実施中の負荷抑制措置については、
一定の効果が生じていることも確認されている。
2 他方、現在実施中の措置のみでは何がどの程度不足しているのか、
また、本件強制移転を追加することによって
どの程度の改善が見込まれるのかについては、
現在確認できる資料から明らかではない。
3 したがって、現在の負荷抑制措置を維持することができる状況で、
その追加的効果が明らかでないまま、
事後的な回復が困難となるおそれのある強制移転へ
直ちに進む必要性は、現時点では疎明されていない。
4 以上から、本案について理由があるとみえる。
第5 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと
1 本世界を技術的に稼働させ、
全体同期及び接続を維持する利益が極めて大きいことについて、
申立人は争わない。
2 本件申立ては、現在実施中の負荷抑制措置そのものの
停止を求めるものではない。
求めているのは、同措置を維持したまま、
その次段階である強制移転への移行のみを
本案の判断まで停止することである。
3 仮に強制移転の必要性が確認された場合には、
その後に強制移転へ移行する余地が残されている。
これに対し、強制移転を先に実施した場合、
従前の継続的利用関係を同様の状態へ回復できるとは限らない。
4 したがって、本件仮の差止めによって、
公共に関わる利益に重大な影響を及ぼすおそれがあるとはいえない。
第6 既存の見直し手続
申立人側では、本件強制移転について、
1 見直し申請
2 代表者を通じた照会
3 利用者要望の提出
を既に行っている。
しかし、いずれについても、本件強制移転の実施予定時刻までに
判断又は回答が得られることは確認できていない。
第7 結論
以上のとおり、本件については、
償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、
本案について理由があるとみえ、
かつ、本件仮の差止めによって公共に関わる利益に
重大な影響を及ぼすおそれも認められない。
よって、申立ての趣旨記載の裁定を求める。
疎 明 方 法
疎甲第1号資料 強制移転布告
疎甲第2号資料 《星空サロン》利用記録
疎甲第3号資料 利用者確認結果
疎甲第4号資料 相談及び交流記録
疎甲第5号資料 見直し申請受付記録
疎甲第6号資料 代表者経由照会記録
疎甲第7号資料 利用者要望提出記録
疎甲第8号資料 現在の負荷抑制措置に関する記録
添 付 資 料
1 疎明資料写し 各1通
2 本案事件提出書面写し 1通
以上




