表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
59/59

第58章:1990年7月終盤の「夏山合宿」の話(8)

 ・・・「なんだ、そんなことか。」


 「そんなクソつまんねーエピソードでシメたいがゆえに、ここまで俺たちを(あたしたちを)引っ張ってきたっつーのかえ??」


 「それで・・・?」


 などという、


 皆さんのためいきやクレームのたぐいが、


 この章の本文を書く前から聞こえてきそうな予感すらしている(苦笑)。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 夕食が何であったかはおぼえておらん。


 しかし、


 就寝前に、各班ごとにわかれ、


 それぞれがバンガローごとに散って、


 1、2時間くらい、


 おのおの、めいめいが、


 自分の経てきた人生のこれまでの道のりやら、

 

 今後の抱負ほうふ・目標、


 彼女や彼氏の話・・・こういったのを、


 「車座くるまざ」・・・つまり、輪になって座り、ゆっくりと語っていく、というこのイベントのことは・・・


 あれから36年経過しようとしている、


 2026年6月現在でも、


 ありありと脳裏のうりによみがえらせることができる。



 「えーーーー・・・、俺がパチンコを初めて覚えたのは・・・」


 「あたしのいまのカレシなんですけどぉ・・・」


 「なんで夏休み入ってから、わざわざ貴重な時間つぶして、こんなんやっかなぁ・・・?」


 ・・・くだらねぇ「雑談」が続く。


 最後はぼくの番だ。


 「えー・・・はっきりいって皆さんとは、今夜まで、なかなかこうして話す機会がありませんでした。非農家のぼくがこの農業大学校へ入ったのは、父の強い勧めがあったからで・・・それでぼくは・・・」


 ここで、ひとりの男子学生から「横槍よこやり」が入る。


 「そういえば栗原君って、なんでやせたの?」


 「あたしも、ソレ、聞きたい!」


 「俺も俺も。」


 「ねぇ、なんでここまで『やせちゃった』ワケ??」



 ・・・するとぼくの胸には、


 美絵子ちゃんとの再会があってからの寮生活の日々・・・


 1990年3月17日に寮を出てからの、過酷な減量・・・つらい食事制限とロードワークの日々・・・


 成長した美絵子ちゃんの姿・・・


 『魔物事件以前』の、天使のようだった美絵子ちゃんの笑顔の数々・・・


 来月に控えている「リマッチ」への緊張感・・・


 こういったモロモロの事情や複雑な心情が重なって・・・迫ってきて・・・


 気づくとぼくは、


 熱い涙にくれていたのである。



 ・・・うつむいて、無言で泣くぼくを意外に思った彼らは、


 思いがけない展開にコトバを失い、


 重苦しい沈黙が、


 バンガロー内を支配した。


 その空気を破ったのが、


 園芸科の『山崎順子さん』だった。


  

 「・・・べつにいいじゃない、太ってたって、やせてたって。」



 なんだかぼくは、とってもうれしかった。


 「きっと栗原君にもいろいろ事情なり理由があってダイエットしたんだろうから、そっとしておいてあげようよ。それに、私たちには直接関係ないじゃない・・・?」


 「そんな野暮やぼな質問なんかやめて、キャンプの残りを素直に楽しもうよ。もう寝るだけなんだけどね(笑)。」


 ・・・といった山崎さんの、続くセリフが耳に届いたような気がしていたからだった。


 だからといってぼくは、


 彼女に「恋ごころ」をいだくことはなかったけどね・・・。


 でも、


 山崎さんにも、


 まったく悪い思い出はないよ。


 m(_ _)m


 追伸:


 ・・・信じられないでしょうけど、


 このバンガローでの一夜はね、


 男子と女子が、一つ屋根の下で、


 布団を並べて寝ていたんですよ・・・仲良く♪


 19歳や20歳の若い男女の学生どうしが。


 よく「何も」起きなかったなぁ・・・って、


 いまでも不思議に思いますよ❤️

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ