この果てが尽きた止まり路を、特等席と呼んでも差し支えない
掲載日:2026/09/05
前を遮るシャッターの壁で進めない
錆びついた匂いで
おなかのどこかがいっぱいになる
私は引き返す隣にいた少女を肩越しに見送り
満ちりたりない路の途中に座る
星があっちに着いて息継ぎした頃
私のお尻はすっかり冷えて
スカートがなんだかすーすーする
膝の上に落ちてきた
嘘みたいなありえない
さくら色の誰かさんの影が
私の太ももををゆっくりと撫でていく
それに私はえっちねと呟く
返答はなしで代わりにシャッターががたつく音でよしとした
私は立ち上がれなかった
立ち上がるとそれだけで
これまで背負って歩んで育んだ記憶という罠が
全部無駄に不発して終わってしまう気がした
離れてよかったのかもしれない
もちろん訊かなかったが
なんとなくどういう答えが返ってくるかは想像できる
置き去りにしてある
いくつか入った指一本分の
落ちる涙を受け止め拭う意地を
今だけは惜しく思う
前を遮るシャッターの壁を背後にし
錆びついた匂いで
血を思い浮かべ
そういえば私の身体はそれが巡っていたと
欠けた部位を見て改めて覚え知る
一体どこから私は破綻した理論を大事そうに
抱きしめて前を向かずに歩いてきたのだろう
それを知っていたはずの隣にいた少女はもういないから
証明してもらうことは二度とできず
こうして止まったまま星がよく見えるこの特等席で息絶えるらしい




